DAMAGEPLAN.


<2004年3月2日: 渋谷O−EAST>

ステージ上で薬キメて歌詞全部忘れたあげくゴロゴロ転げ回るのが得意技という反則級のバカで
あるところの狂獣フィル・アンセルモにバックれられてポカーンとしているうちにすっかり時流に
取り残されてしまった感のある元パンテラのヴィニー&ダレルと、メタルゴッドのジューダス復帰の
煽りをうけてこれまた無職同然の身となってしまった元ハルフォードのパトリック・ラックマン、
そんな負け犬同士がもはや失うものなどなにもないとばかりに手を組んで出来上がった即席ユニット
:ダメージプランの初ライヴを観に、渋谷はO−EASTまで行ってきました。

で、中に入ってみて速攻であれと首をかしげる羽目に。なんだこのアホみたいなスカスカさは?
や、客はそこそこ入っているンだけども、何故か後ろの方ばっか混み混みで一番オイシイと言われる
ステージかぶりつき付近に限って妙にガラガラという、通常のライブとは逆の現象が発生しておりまして、
すわなにごとかと前方に注目してみますれば、そこにはことの原因と考えられる、ボク脳みそまで筋肉です!
みたいなヘルスエンジェルス然とした外人の皆様がたむろして、やたらと奇声をはりあげている姿が
見てとれまして。

あーこりゃ無理すぎるわーと一旦はきびすを返しかけたミーでしたが、よくよく考えたらこれは
ダレルの超ド級アーミング・プレイをかぶりつき状態で見られるものすごいチャンスなんじゃないの?
と珍しくポジティブシンキングに考えて、自らの存在をできうる限り空気の中に溶けこませつつ
何喰わぬ虫ツラでなにげなーく前進することにより、その外人軍団の横に見事陣取ることに成功した
のでありましたラッキーと思ったその5秒後には、何故かアニマル君(仮名)とぴったし目線があって
しまうという、神様ピンポイントで僕を弄んでいるンじゃないの?と勘ぐるほどの、僕の人生の中でも
10本の指に入るくらいの不幸な出来事が発生してしまったというわけでありまして、僕はその危機を
乗り越えるべく何故か一心不乱にケータイを弄り出すのでありました。正直あんなに一生懸命メールを
打つフリをしたのは今までの人生の中でもはじめてです。あんなに一生懸命「僕は忙しいので今は話し
掛けないでください!」的アピールをしたのもはじめてでした。だけどその甲斐むなしくいきなり奇声で
威嚇されたと思ったその次の瞬間に額と額をぴっちり強制的にあわされて「LOUD!」とこうたった
一言のたまわれてしまったその時はいっそのこと死んだほうがマシだぐらい思いました。

LOUD!
「ソー…(ソーリーと言おうとして無意味に謝ると外人はますます怒ると言うことを思いだす)」
LOUD!
「ひっ…!」
「UOHHHHHHHHHH!! LOUD!!」(見本?)
「…あアギっ…!」
MORE!
「…あギギギギギギ!」
「OK!」

なにがOKなのかな?と思った矢先にアニマル君から手渡されたのは缶ビールだったというわけで
ありまして、とりあえず僕を同じロックキッズとして認識してくれたのかな?と嬉しさが半分こみあげる
一方で、何故この缶ビールは完膚なきまでに空なのかな?ということへの疑問が半分わいてきてしまい
僕は非常に不安定な精神状態になりかけましたが、とりあえず「捨ててこい!」と言われないだけマシ
だと思い(ポジティブシンキング!)、黙ってアニマル君等とともにダメージプランの登場を待つこと
にしたのでありました。その間約10分、凄まじく長い10分でした。音楽とは別ベクトルでこれだけ
開幕が待ち遠しいライブというのも珍しいと思いました。これがライブの醍醐味?(大間違い)

そんなわけで会場のライトが落ちてようやくダメージプランの面々が登場してきたのを見たときの僕の
その安堵ツラと言ったらそれはもうぶっちゃけ素人の女の子と幸せなせっくすをしたときの御満悦ツラ
に勝るとも劣らぬほどだったと言います。正直この時点でライブなどもうどうでもよくなっていました、
が本当のお楽しみはむしろここからだったというわけでありまして、その頭の悪さ全開のギターリフが
鳴り響くとともにはじまったアニマルさん達の発狂モッシュに巻き込まれて息も絶え絶えになっている
ところへ、ステージ上からこれでもかこれでもかぐらいの勢いでウィスキー入り紙コップを次から次へと
投げられてしかもそれをもろ顔面に食らった日にゃあ、既にやりすぎを通りこして僕はすっかり楽しく
なってきてしまいまして、こうなりゃ矢でも鉄砲でももってこい!ぐらいの心境でヘッドバンキングを
繰り返し、自らウィスキー爆弾を浴びている外人軍団に混ざって俺にもかけてくれーと言わんばかりの
勢いでステージ上に向かって拳を突き上げたが最後、何故かその時に限って頭上から降ってきたのは
ウィスキーでなくまごうことなきキング・ザ・100トンさんだったという寸法でありまして、いきなり
アニマル君にクラウドサーフをブチかまされてしまった僕はそのままフロアの上にあの利根川もどうかと
いう焼き土下座ならぬ強制土下寝を強いられることになるのでありましたムギュ。ってか外人さん無理、
どうみても人外、故に外人、ついでに言うならその人外っぷりを見て全身硬直していたセキュリティの
お兄さんの引きつりツラが凄く印象的でした。あとドラムのヴィニーが投げたスティックを必死にとろう
と試み、セキュリィティゾーンにそのまま頭から落下していった最前列のイタ公が異常に頭悪すぎてステキ
すぎると思いました。その5秒後にゃ警備の人達によってたかって取り囲まれてそのまま連行されてった
その拉致られっぷりも最強に面白すぎると思いました。正直100回死ンで生まれ変わってもあそこまで
度を越したバカになれる自信がありません。結局のところ一番可哀想なのは何一つ悪いことしてないのに
ハッと気づけば1人その場に取り残されてしまったそのイタ公の彼女だったと思います、合掌。

で、肝心の演奏の方はどうだったかと言いますと、まあ多少時代から取り残されたとはいえ、もともと
漢度100%のブンブン系にかけちゃそう右にでるものはいないと言われたあのパンテラの心臓部を
なしていたヴィニー&ダレルの兄弟コンビが作り出すサウンドです、パンテラ級の骨太さ&ゴリゴリ感は
確約されたも同然、となると問題の焦点は、元々ギタリストなのに一刻も早く無職地獄から抜けだしたい
が故にヴォーカルを無理矢理とることになったラックマンと、ボブジラなる、何?お前はボボブラジルの
親戚なの?みたいな正体不明のベースのオッサンに絞られてくるわけですが、これが意外や意外、コイツら
予想外にやりおるわけですわ。小細工なしの直球勝負で迫りくるラックマンの全開パフォーマンスと、正直
お前どこのレゲエだと思うくらい乞食然としたその風貌に似合わぬボブジラの骨太リズムにはすっかり
やられました。加えて言うなら客を煽っても誰1人としてカマッてくれないというその放られっぷりに
すっかり惚れました。

しかしまあメンバー全員そろいもそろってミュージシャンレベルで考えるとありえないくらいカッコ悪い
風貌してる筈なのに(マジで乞食ばり)、よくよく見れば只の中年太りのオッサンである筈なのに、
この全身から湧き出る途方もないカッコ良さは一体全体どうしたことでしょうか。(僕の目が腐ってるの?)
むしろカッコわるいも突き抜けてしまえば、ぐるっと一周して逆にカッコよくなってしまうの?
そ…その夢のようなプランを僕にも教えてー!

そんなドリームを垣間見させてくれたその代償はと言えば、アニマル君にのしかかられたことによる
とてつもないあばらの痛みと、全身から滲みでるいかにもクズっぽいウィスキーの醗酵臭だけだった
という有り様でありまして、結局のところそのプランはダメージしか与えてくれなかったというわけ
であります。これがホントのダメージプラン。アホくさくてやってらんねと思いましたマル


<今日の一枚>

 NEW FOUND POWER / DAMAGEPLAN

結局のところコレまんまパンテラじゃん!と言いたいところですが、流石にそう言われるのは
彼等もイヤだったようで、究極のゴリ押しサウンドと呼ばれた元のソレよりもより聞きやすい
キャッチーなベクトルへと多少の方向転換がはかられています。
とはいえ、その超ド級の僕等アタマが悪いです!的魅力(誉め言葉)は全然変わることはなく、
むしろシンプルになっただけその部分がよりストレートに伝わってきます。
背骨をグイグイと強制的に伸ばされるような骨太リズムと吐き捨てるようなダミ声ヴォーカル
がつくりだす、いわば室伏のハンマーのようなサウンドにノックアウトされてどこまでも高く
遠く放り投げられちゃうが吉かも。


<今日の無駄Tシャツ>



#そもそもがキワモノ・デザインの極めつけである上に、フロントじゃ鉄板の上で胎児がジュージュー。
 亜米利加辺りの宗教的戒律が厳しい州とかでコレ着て歩いてたら、即、銃殺されかねません。
 着れる着れない以前のデザインセンス、まさに無駄T中の無駄Tといえるシロモノと断言。




<セット・リスト>

01:Wake Up
02:Breathing New Life
03:Cold Blooded
04:Blunt Force Trauma
05:Crawl
06:Save Me
07:Explode
08:Pride
09:Reborn
10:New Found Power
11:Soul Bleed
12:Moment Of Truth

13:Fuck You
14:Walk
15:A New Level


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