ELTON JOHN.


2007年11月21日: 日本武道館>

米のビリージョエルと双璧を成すピアニストロッカーにして、英が世界に誇る超一流
ミュージシャン、「サー」、エルトン・ジョン。「ベストヒットUSA」直撃世代のミー的には、
当時ヒットしていた「TOO LOW FOR ZERO」からの"I'm Still Standing"でその名を知り、
そのまま70年代のアルバムを総ざらいして「黄昏のレンガ路」にあっさりハマるという至極
分かりやすい道筋を通ってきたライトファンということで、「ピアノソロ」という条件設定アリな
今来日については、行くべきか行かざるべきかかなり考えあぐねていたのですが。

が、まあライブに「還暦記念」と銘うってあるようにかなりの高齢でもあることだし、
他の大御所ほど頻繁に来日してくれるわけでもないし、今後見にいく機会はそんなに数多く
ないんじゃないかということを公演ギリまで考えに考えた末、ふらりと立ち寄ったローソンにて
翌日チケを至極あっさり購入。後は次の日が来るのを楽しみに待つだけだった筈が、翌日とばかり
思っていたチケ日付が実は当日であったことをその日の夜22時に知ることとなり(その時点で
単なる無駄紙)、自身のうっかりさんっぷりに思わずカーっとなってしまったその結果として、
更に翌日の当券狙いで日本武道館へと着実に歩を進めている自身を認知するに至った次第なので
あります。ていうかこうなったら意地でも!

しかしまあ当日券なだけあり、割り当てられた席は1Fアリーナのほぼ最後尾、
しかもピアノ手前じゃなくて奥手側なもんだから座って弾いてるエルトンの顔しか見えないという
ほぼ最悪のコンディション、正直ヨージヤマモトがデザインしたという燕尾服もただの赤いちゃんちゃんこ、
御大自身も単なる小太り気味なおっさんにしか見えませんでした。加えて大スクリーンの設置すら
ないので、もはや俯いて音に聞き入る以外なす術なくなるという、意図せぬクラシックコンサート
状態へと強制移行させられ、こりゃ今日は駄目かも分からんねと心底思っちゃう羽目に。

そんなミーを初曲の"Your Song"にて「あ、これなら姿見れなくてもイケるかも」と聞き入らせ、
その後に続く「僕の歌は君の歌」からの4連発にて「これならイケるぜ!」とバキの千春ばりに
思わしめたほどその立ち上がりは強烈でした。特に自身の還暦を祝うかのような"Sixty Years On"
と、これまでの道筋を振り返るがごとき"Border Song"(人生の壁)、その切々としたホロ苦テイスト
がもう胸に染みる染みる。イージーリスニング的な良さと、本来ならそれと合反する重厚さの同居
とでもいうか。

また中盤におけるハイライトの一つ、"Daniel"・"Honky Cat"と初期の軽快ナンバーで
場を存分に暖めたところで満を持して繰り出した珠玉の代表曲"Rocket Man"が、ハリある声といい、
迫力のピアノ演奏といい、また後半のシャウトパートにおける「ロケッーマ〜〜〜〜ン」の伸びといい、
全てをも含めて格別に最高。こんな小太りでチンチクリンな60過ぎのお爺さんがよもやここまで格好
いいとは…!と、昨年のビリージョエルに続いて、まったく同じことを思わされちゃいましたね。

その後、ピアノ直結(と思わしき)シンセがトラブって"Philadelphia…"の出だしがヘタるという
トラブルに見舞われるものの、"Sacrifice"・"Ticking"という新旧レア曲によるマニアへのサービス、
チャートバスターとしてその名を馳せた「黄昏のレンガ路」〜「蒼い肖像」辺りの黄金期ナンバー連発
という垂涎ものの繋ぎで、再び流れを取り戻したその展開力はさすが大御所といった感強し。
今ライブでもっとも聴きたかった曲の一つ"ブルースはお好き?"をその直後にプレイしてくれたと
いうこともあってか、先のハイライトと並んで一番胸がジーンとなった時間帯でした。アンコールの
"I'm Still Standing"でも感じましたけど、やっぱしリアルで聴きかじった曲から受ける感銘度は、
他のそれとは一味違うものがありますね。

が、ショー終盤における"Carla Etude"から"Tonight"中ほどまでのひたすらピアノソロが続く辺り、
あまりにけれん味がなさすぎて、曲後半のエモーショナルな展開に至るまでに多少ダレたりも。
うーむ、どうやらこれを手放しで「いい…!」と思えるほど僕は熟成しきってはいないようです。
まあ未だにメタルやらパンクとかが大好きなんだから当たり前っちゃ当たり前なんですけど。

本編終了後の再登場時、最前付近の客にその場でサインをするというサービス過剰にもほどがある
所行をしでかし始めた御大を遠方から眺めつつ、その恩恵にあずかれない悲しさはあれど、その他の
客をほぼ無視したそのパフォーマンスにまるで腹を立てていない自分に… いや、それどころかむしろ
微笑ましく見てさえいられるその心の余裕に自分でも驚いて、それを与えてくれた今日のライブがいかに
ハートウォーミングなものであったかということを改めて実感させられる一幕も含めて、無理してでも
行って良かったと心の底から思えるライブ内容だったと思います。
"Goodbye Yellow Brick Road"が聴けなかったことだけが唯一の心残りかな。


<今日の一枚>

 「フレディ・マーキュリー追悼コンサート

92年、ロンドンのウェンブリースタジアムで行われた伝説のフレディ追悼コンサート、
その「QUEEN」パートのみをクローズアップしたライブ映像作品。
とてつもなく豪華絢爛なゲスト達が次から次へと飛び入り参加して、今は亡きフレディの穴を埋めていく様は
まさに圧巻という他なし。その中でも「エルトン・ジョン&アクセル・ローズ」という今じゃ絶対考えられない
ようなドリームコンビによる"Bohemian Rhapsody"、その後の鬼気迫らんばかりな"Show Must Go On"は、
最大の見どころの一つ。音楽好きなら絶対見ておいて損のない一作です。


<今日の無駄T>



#これまた還暦すぎたミュージシャンのグッズとは思えないくらい、随分とはっちゃけたデザイン。
 もちろん1回たりとて袖を通すことなく、永遠に封印の予定です。



<セット・リスト>

01:Your Song
02:Sixty Years On
03:The Greatest Discovery
04:I Need You To Turn To
05:Border Song
06:The Ballad Of The Boy In The Red Shoes
07:Daniel
08:Honky Cat
09:Rocket Man
10:Tiny Dancer
11:Mona Lisas and Mad Hatters
12:Nikita
13:Philadelphia Freedom
14:Sacrifice
15:Ticking
16:Roy Rogers
17:Sorry Seems to be the Hardest Word
18:Candle in the Wind
19:I Guess That's Why They Call it the Blues
20:Electricity
21:Carla Etude
22:Tonight
23:Take Me to the Pilot
24:Blue Eyes
25:Levon
26:Bennie and the Jets
27:Don't Let the Sun Go Down on Me

28:I'm Still Standing
29:Circle of Life


[ MenuNext ]