Michael Schenker Group.


2007年2月25日: 中野サンプラザ

昨年11月のライブ中、泥酔したのかお薬切れだか分かんないけど、とにかくリアルプッツン
しちゃった末、たったの3曲でライブを完全放棄してそのままバックれてしまった我等が
「神」転じて単なるうつ病患者と成り果てた感のあるマイケル君。そんな困ったちゃんな
彼の代替公演を観に、中野はサンプラザまで行ってまいりました。

ただ前来日時のベースだったレヴ・ジョーンズの「マイケルは誰も気にかけちゃいない、
自分自身にすら」というコメントを見る限り、どう考えても楽観視できる状況でないことは
明らかであり、こりゃ今回もひょっとしたらひょっとするかも…などと絶対考えちゃいけない
最悪の事態をふとイマジンしながら彼の登場を今か今かと待っていましたらあら不思議、
開演がたった10分遅れただけにもかかわらず僕の胃はすっかり痛くなってしまいました。
始まる前からここまで会場に緊張感漂うライブってのもそう滅多にないんじゃないでしょうか。

開幕前からそんなんでしたからね、それから程なくしてステージに出てきた彼の姿を見た時は
どんだけホッとしたことか。そしてまだ単に「登場」しただけだというのに会場全体からライブ
終盤を思わせるような大歓声が巻き起こるというね。皆、よっぽど不安だったんでしょうな。
常日頃忘れがちな、何気ないことへの感謝の気持ち… 僕自身、よもやこんなことでしみじみ
再実感させられることになろうとは夢にも思ってませんでしたよ。

しかしこれでもまだ余談を許さないのが彼の本当にすごいところ。正直、今日の調子を伺う
試金石になるであろう1曲目"Assult Attack"のソロを聞き終わるまではまるで気が抜け
ませんでしたね。本当いつどんな拍子でまたプチっていくかと思うともう気が気じゃ… 
あ、でも今日は前回ヘロヘロだった問題のアルペジオもかなりスムーズに…あっそんな無理
して愛想振りまかなくていいから!もうプロにあるまじき指元ガン見プレイでいいから、
頼むから演奏だけに集中してー!(心の悲鳴) 

というわけで前半はマイケルの一挙手一投足に完全釘付けとなる羽目に。運動会とかで自分
の子供を見守る気分ってこういう感じなのかなーって。でもって背面アンプを時おり神経質
そうに弄るその度、場全体の空気がもう凍る凍る。いや、こんなにも心臓に悪いライブってな
そうそうないんじゃないかと思います。更にはステージ上のメンバーのみならず観客側も皆が
皆どうにかしてマイケルに気持ちよく演奏してもらおうと必死こいて盛り上げるもんだから、
観客同士の一体感と連帯感がこれまた半端じゃないというね、なんかもう色々な意味で初もの
尽くしって感じの雰囲気に。

そんな綱渡り度満点のステージ一番の山場が、中盤最大の見せどころ"Into The Arena"。
高揚感を煽るソロパート前半部分をほぼ完璧のプレイで折り返して、さあ、いよいよあの至高
の叙情フレーズへ…!と身構えたその刹那、彼がプイっと体を翻してアンプ裏に引っ込んで
しまったのを見た時は、もう、本当にどうしようかと。そんな神不在の中でやたらと気合の
入ったソロプレイを連発しているドラムとベースの人の行動が指し示すファイナルアンサーは
やっぱし単なる時間稼ぎ!?アヒー!と1人青ざめてたところへぶらりとマイケルが戻ってきて
ほぼ全盛期ばりの神プレイを披露してくれたときのその感動と言ったら…!(実際には元から
予定されていたドラム&ベースソロだったそうで。いや、頼むからまぎらわしいことすんなと。
アンタの場合、本当シャレにならんのだから)

これで完全に調子を掴んだか、そこから先の終盤以降も彼最大の特徴である「音像のはっきり
した」流麗プレイを炸裂させまくるマイケル。あの恍惚の表情さえ見られないものの、背中を
若干丸め気味にしながら白黒ツートンカラーのフライングVをかき鳴らすその姿はまさに往年
の「神」そのもの。特に"On And On"ラスト間際の上昇フレーズにおける素晴らしさたるや筆舌
に尽くしがたいものがありました。アンコールで演った"Rock Bottom"においても、途中の
ぐだぐだアレンジだけはいただけなかったものの、最後の連続フレーズのキメにおいてはほぼ
完璧だったし。やっぱし腐っても神… いや、改めて聞いてみりゃ、もはやその才能は枯渇した
と言われて以降の"Dust To Dust"や"Arachnophobiac"を始めとする最近の楽曲群の端々にも
まだまだ非凡なものは感じられるし、あとは酒を控えて精神的安定を取り戻すことが出来さえ
すれば、まだまだ第一線で活躍可能なんじゃないでしょうか。

…精神的安定か〜 難しそうだなー
(ライブ後に行われたサイン会でみるみる不機嫌になっていくマイケルのご尊顔を眺めながら)


で、この初日があまりに素晴らしかったので、勢いあまって次の日の渋谷公演も見に行って
きちゃいましたー ので、ざっと箇条書き感想。

 ・この日もマイケル、超ご機嫌。
 ・女の子に「マイケルゥ〜」と黄色い声浴びせられて、ニカっと笑ってました。
 ・まあ野郎の野太いコールにゃ相変わらずガン無視なんだけどね。
 ・この日は他メンバーと絡んでの腰振りフォメーションまで披露。
 ・これまでステージ左側で微動だにしなかったのに、どういった心境の変化?
 ・"But I Want More"でのソロ後、ドラムを指指す仕草が超絶カッコよすぎ。
 ・本日は"Lights Out"のソロプレイに神光臨。
 ・今日も順調かと思いきや、"Armed & Ready"前にアンプを弄り始めた時は思わずドキッ
 ・トラブル復調せず"Attack Of The Mad Axeman"で一旦演奏を止めさせた時は、もう駄目かと。
 ・慌てず騒がずクルーに指示出しという大人の態度を見てひとまず安心。
 ・あと相変わらず脇を固めるサポートメンバーのフォロー具合がピカイチ。
 ・ヤリ(Vo)&ベースの人は、常に笑顔を絶やさず、ステージ上を満遍なく動き回って客アピール。
 ・キーボード兼ギターの人の"Arachnophobiac"ソロ、マイケルより上手かったような…
 ・ドラムの人の「台を離れてステージ床とかモニター相手にスティック連打」ソロにゃ笑いました
 ・なまじ出来が良かっただけに"Rock Bottom"のぐだぐだアレンジは返す返すも残念。


<今日の一枚>

 MSG(邦題:神話) / Michael Schenker Group

MSGデビュー作「神」と並んで、ギターヒーロー好きなら是が非でも抑えておかねば
ならない名盤中のド名盤。かのコージー叩きだす軽快なリズムと重厚なフルーヴの同居
するドラミングも確かに際立っているが、それ以上に特筆すべきはただでさえ名曲揃い
なところへ加えてそれら楽曲群の毛色がほとんど同一でないということ。「同タイプの
良い曲」を書けるギタリストは数いれど「個性ある良い曲」を量産出来るギタリストは、
界隈広しと言えどそう何人もいない筈。そんな彼の「ナンバーワンよりオンリーワン」
な存在感を明確に証明するがごとき一枚。まだ聞いていない奴は即ツタヤへダッシュ!


<今日の無駄T>



#普段着はおろかライブ着にすら使えなさそうな、あの古き良き時代「1980」年代を
 彷佛とさせるこのデザインは一体…!? うん、今までの例に漏れずこれも完全封印決定〜☆



<セット・リスト>

01:Assault Attack
02:Ready To Rock
03:Let It Roll
04:Dust To Dust
05:Love Trade
06:Shadow Lady
07:Lights Out
08:Into The Arena
09:But I Want More
10:Too Hot To Handle
11:On And On
12:Only You Can Rock Me
13:Armed & Ready
14:Attack Of The Mad Axeman

15:Arachnophobiac
16:Doctor Doctor
17:Rock Bottom


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