[MySelf]


1月26日

<離島プレイ、その8>

時間と金銭、そして心身の健康が充足している時でなければ旅には出れない、
一生のうちでそれを満たしている時期は実はそんなにない、だから旅には行ける時に行った方が
いいという、今じゃ誰が言ったかすら覚えてないけど何となく印象には残っていたこのプチ至言を
去年の夏辺りより絶賛実践中であるところのミー、
今回は岡山と香川の間の瀬戸内海にやたら浮かびまくってる群島の中でもその大きさと特産物の
オリーブによって特に目立った存在の一つになっている「小豆島」へと行ってまいりましたー、
てなわけでお約束の離島レポ。


<初日>



まず小豆島に渡る航路ルートには岡山側と香川側、二つの選択肢があるわけですが、
今回は空港から港までアクセスしやすいということで、羽田→高松空港→高松港の香川ルートをチョイス。
初っ端から空模様がいまいちなのが少々気になっていたり…



そしてここ小豆島は同海域に浮かぶ豊島・直島・犬島・男木島と並び、
「現代アートの島」として有名ということで、島のほぼ西端にある土岐港に着いた途端に
早速それらしきオブジェがお目見え。これ「太陽の贈り物」という名前のアートだそうで、
その輪を構成しているオリーブの葉を模した金属片の一枚一枚に小豆島の子供達が寄せた
海へのメッセージが刻まれているとか。あ、確かに寄ってみたらレーザー的な刻印処理で
全ての葉に文字が刻まれてるわ。思いきり近づいてみないとそのメッセージ性が分からないという
回りくどさは確かにアートっぽいかも。



んで次に向かったのが、ここ小豆島とその左下ド直近の距離にある前島とを隔てている
「土渕海峡」。全長2500mの海峡間で最小幅10mは世界一狭い海峡としてギネス
認定もされているとか。パッと見、単なる川にしか見えないので、欄干部分にデカデカと
ギネス認定アピールしている辺りのテイストは微妙に残念観光ポイントっぽいかも。



そのまま「世界一狭い 土渕海峡 ギネスブック認定」と書いてある橋を渡って前島へ。
卵型の海岸線沿いにグルっと回りこんだほぼ南端部分にて、その昔に弘法大師が悪魔を
封じて自ら刻んだ弁財天を祭ったとされるお寺「江洞窟」を見物。
大地震が起きたら割とヤバいんじゃ…感満載の岩壁の中にめり込んだ本堂の景観もかなり
見応えあったけど、その周囲に何気なく転がってる巨大岩石の存在も相当にインパクトあり。
とりま本堂にインして、ここがパワースポット地とされる最大の理由たる岩壁の中の玉石を
まずは拝んでみることに。中央に刻まれた梵字の意味は大日如来を表す「あ」だそう。



続いて脇の山道をちょい登ったところにて、なかなかにいい塩梅のビューポイントを発見。
本堂から湾内にずずいと伸びる堤防壁が醸し出すプチ天橋立感は結構面白いんじゃないかと。



次はここ小豆島のシンボル観光地たる「エンジェルロード」へ。
この地は元からトンボロ現象地(普段は海によって隔てられた陸地と島が引き潮の時のみ姿を
見せる砂浜で繋がる現象のこと)として名を馳せていたそうですが、そこに"手を繋いでこの道を
渡ったカップルは幸せになれる"という噂がクチコミで加わったことにより、今じゃ「寒霞渓」と
並んでこの島一番の観光地になっているんだとか。とりま付け加わったクチコミの方はあんまし
聞きたくなかったわ的な憮然顔しつつ、野郎4人で黙々と砂浜を歩くことに。



ここらで飯でも食うかということになり、すぐ近くにあった小豆島ラーメン「HISHIO」へ。
オリーブと並ぶこの島の特産物たる島醤油とカタクチイワシをダシに使っているそうですが、
これがマジ旨み。店内の窓から先程歩いたエンジェルロードが一望出来るところも高ポイント。
何よりもカップルを視界に入れずしてエンジェルロード観賞できることが一番最高、
ということで後述する寒霞渓と並んで、この島一番のオススメ観光地に挙げておきます。



腹も満ちたところで、この島最南端の岬にあるマイナー観光地「釈迦ヶ鼻園地」へと。
これだけ不自然に出っ張られてたら、先端好きとしては行きたくなりますわ。



そしてそこには特に何があるわけでもなく、ただ単に閑静な公園が。
この人気の無さと静けさ、そしてこのゆったりとした時間感覚、これこそが島旅の醍醐味よ、
と無駄に通ぶってみたところで周辺の無人ビーチを散策。視界良好とはいいがたい天気でも、
対岸の香川県はかなりクリアに見えてたり。



続いて園地の案内看板で近くに灯台と展望台があることを知り、そこまで行ってみることに。
そして20分後、その場所が普通に車道沿いであることを身をもって知り、わざわざ二足歩行
したことへの無意味さをその帰路にて粛々と噛みしめる羽目に。
瀬戸内ブルーを惹きたてる鮮やかな紅葉が見れたことだけが唯一の救い、としか…



ここらで観光の本道へと立ち戻るべく、この島最大の特産物にして国内でも最大の生産量を
誇るというオリーブを目いっぱいフィーチャーした王道観光地「小豆島オリーブ公園」へと。
まずはオリーブ並木を散歩しつつ、日本最古とされるオリーブの原木を観賞。
1908年植樹ってことは、日本じゃオリーブの栽培自体がわりと最近ってことなのかな?



更に奥へと歩を進めると、そこにはアートの島っぽいオブジェが何点か。
左は日系の現代彫刻家「イサム・ノグチ」がデザインした「Spiral Slide」なるオサレ遊具。
右はここ小豆島と姉妹島提携を結ぶギリシャはミロス島との友好の証として平成4年に建設
されたギリシャ風車。



そこから更に奥、オリーブ並木のトンネルを通って、園内の最高度地点にある展望台へと。
眼下の内海湾越しに見える半島は、これから向かう「二十四の瞳・映画村」がある権現鼻。
この展望台、お手軽に行ける割になかなかの景観が望めるということで、島内じゃかなり
有名な場所みたいで、初日の出の絶好ビューポイントにもなっているとか。



東南部の奥入り江にある権現鼻への道すがら、「マルキン醤油記念館」なるかなり年季の
入った合掌造りの建物を見かけたので、こら面白そうと思ってちょい寄り道してみることに。
ここは明治時代に建てられた当時の蔵を再利用して、江戸時代後期より醤油製造で栄えた
小豆島の文化と歴史を紹介する施設だそう。入場料が210円と格安な上に島醤油の小瓶が
おみやげで付いてくるのでなかなかお得かも。で、ここの名物の醤油ソフトクリームは……
うんまあ、正直微妙な味でした。



はい、てことで「エンジェルロード」「寒霞渓」「オリーブ公園」に肩を並べてこの島の
本命観光地の一角を担う「二十四の瞳・映画村」に到着。園内入口付近にある小川の中の
魚影がやたら濃かったので鯉でもいるのかなと思って寄ってみたらまさかのコブダイとは。
もはや寿司ネタにしたすぎるとしか。



園内はなんていうか、映画「二十四の瞳」の時代設定である昭和初期の寒村をまんま
再現してみましたという風で、咲き誇るコスモスのお花畑といい、その向こう側に見える
侘びた風情の建物といい、そこかしこにある古びた看板といい、もうこれでもかってくらい
牧歌的要素てんこもり。
ちな建物の中では二十四の瞳が絶賛上映中だそうですが、円盤パッケージの金八先生的な
ピース感に反比例して内容そのものは結構ハードな上に上映時間も2時間オーバーとかなり
重めなので、正直ここで見るのはあまりオススメ出来なかったり。



んで、こっちはこの施設一番の見どころたる、劇中内の島の岬の分教場を模した建物。
10年前だったら何一つ感じ入ることなくほぼ素通り感覚で流し見たであろうこれらの
侘び寂びテイスト満載な展示物の中に、「退屈」以外の何かを思うようになってきたと
いうのは人間的熟成の証? それとも単に歳をくってきたというだけの話でしょうか。



そんな和みフィール全開な園内の中でも特に印象に残った風景を2点ほどピックアップ。
左は「二十四の瞳」の登場人物であるおなご先生と12人の生徒を模したイメージ銅像。
右はその舞台たる当時の瀬戸内海べりを強く想起させる海岸風景。
ドでかい二つのお釜越しに広がっているのは、ただでさえ変化に富んだ海岸線を有する
この島の中でも一番深くえぐれた入り江内にある「内海湾」。波静かなこの湾は昔から
イワシ漁の絶好の漁場だとか。



というわけで本日の観光メニュー、ほぼ消化完了。
最後に今日の宿近くの坂手港付近に、今この島が推しているという現代アート展示が
数点あるというので、それを見にいくことに。
んで左はヤノベ・ケンジ作「スター・アンガー」。現代アート=難解というイメージが
強かったせいか、そのド直球に中二病的なフォルムを見た瞬間は思わず爆笑。
これ台座の球体がゆっくり回転しているので、いちいち視点を変えずとも龍の全体像を
眺めることが出来る辺り、とても親切設計で実に好感がもてたり。
そして右側は同ヤノベ・ケンジ作「ANGER from the Bottom」。
この作品、原案担当はなんとビートたけしだそうで、湖に意図的に落とした斧が神様の
頭に刺さってしまうというイソップ童話「金の斧」のパロディになっているとか。
いや、でもこれなんか神様というよりウルトラマンセブンっぽくね?


<二日目>



ほい二日目。
ここ小豆島最大の観光地である寒霞渓へと向かう前に、その途中にある観光スポット、
大阪夏の陣で壊滅した大阪城を再建する為に使われたという石切丁場の「天狗岩」を
観にいくことに。まあ結局使われずに放置された石ころの残骸だろうから、そんなに
大したことないだろうと思っていたらあにはからんや、これがメチャメチャでかくて
脳内想定とのギャップ差に少し笑っちゃったり。
この巨岩、高さ17m・幅8m・奥行12mのさイズでその重量は1700トンにも
及ぶとか。成人したアルリカ象284頭分の重さを島外に運ぶとか無茶振りにも程が
あるので、そりゃこの場所に残されるわけだわと。



アサイチから斜め上のサプライズくらってすっかり目が覚めたところで今小豆島行の
本命観光地「寒霞渓」へと。大渓谷と海の両方を一望できる珍しい地形である上に、
国の名勝指定地は当然のこと、日本三大渓谷、日本三大奇勝、更には「21世紀に
残したい日本の自然100選」にも選ばれている眺望ランキング的には全国でもかなり
上位の場所ですからね、そりゃ期待しない方が嘘ってもんでしょ、みたいな事を考えつつ
運転していたら、麓側に行く予定が間違って山頂駅側に着いちゃってしばし呆然。
まーでも今から戻るの凄く面倒くさいし、もう下りのロープウェイで一番下まで行って
そこから登山で戻ってくればいいんじゃね? と、まあこの時点じゃ完全に行き当たり
ばったりの行動だったんですが結果的にはこのチョイス完全に当たりでした。何故なら
眺望的には下りロープウェイの方が断然いいからなんですね〜 
ただでさえ絶景なところに加えて、この狭い崖の間を抜けていくスリル感が最高すぎ。



そうこうしているうちにロープウェイは渓谷地帯を抜けて、奇岩エリアへと。
1300万年前の火山活動によって出来た岩石が、その後の地殻変動や侵食などにより、
長い年月をかけて今のような地勢へと変容していったとか。



そこから地勢は徐々になだらかになっていき、やがてロープウェイは麓付近の岩場と
山林が入り混じった複合エリアへと。時期的に紅葉ドンピシャにはちょい早かったみたい
だけれど、それでもなかなかの景色が拝めたのでほぼ満足。
ところで前述した日本三大渓谷とか奇勝って、ここ寒霞渓の他には一体何処?と思って
調べたら前者は新潟の清津峡と三重の大杉峡谷、後者は大分の耶馬渓と群馬の妙義山だそう。
これが日本三大峡谷になると三大渓谷からここが抜けて、代わりに富山の黒部峡谷が入って
くるとか。以上、知っていてもあまり得になりそうもない豆知識でした。



下まで降りてきたからには戻るためには登らねば、てことで今度は「表12景」と呼ばれる
登山道…いや規模的にはハイキング道を自らの足で登っていくことに。
先程ロープウェイ上から見かけた各種奇岩を今度はゆっくりと歩きつつ眺められるところが
このルートの売りということでまず最初にお目見えしたのは左の「錦屏風」、続いて紅葉の
隙間から右の「ライオン岩」。



でもってこちらの左はタケノコに似ていることからその名が付いた「玉旬峰」、
その右はこの表12景の中でも1、2を争う見どころ「層雲壇」。これはロープウェイ上
からでも相当目立っていただけに、じっくり眺めてもかなりの迫力。



で、登りのほぼ終点位置にあるのが前述の層雲壇と肩を並べる見どころの「烏帽子岩」。
山麓を彩る紅葉と岩向こうにうっすらと見える半島景観の相乗効果も加わって表ルートの
中じゃミー的にはここがトップ。



最後に車を停めた山頂駅駐車場の近くにある「鷹取展望台」へと。
深くえぐれた内海湾越しに昨日行った映画村のある半島が一望できるこの場所は、
このすぐ近くにある四方指展望台と並んで、島内最高のビューポイントの一つだとか。
霧がなければもっと最高だったとうけど、まあ天候コンディションばっかはね……
ちな、この一帯にある著名な奇岩全てをみるにはこの表12とは別の裏8、この二つの
山道ルートを制覇する必要があるとのことで、もう一往復すっかとか事前にゃ考えていたん
ですけど、いざその段になってみるとまあぶっちゃけ無理ですな。登りはやっぱし疲れるわ。
でも何気にハズレ景も多い表と比べて裏はほぼ全景アタリと聞くし、後ろ髪引かれる思いは
かなりあったかも。



さて、次の観光地を目指して車を走らせていたら、とある交差点の信号越しにすこぶる
日常感のない物体を発見してしまい、えらく興味を惹かれたので急遽行ってみることに…
て、デカ!その名を「小豆島大観音」と言うそうで、足元にある車両サイズから鑑みるに
60m超はあるかと思われる代物。



この観音様、中にも入れるということで早速イン。
んでエレベーターで最上階まで登ってみたら、周囲を囲む螺旋階段の外壁に小スケールの
観音様がびっしり、しかもこの小観音様の下スペース全てに賽銭箱ときたもんで、
これ最上階付近だけにあるの?と思って調べてみたら、ここまで続く螺旋階段の外壁全てが
同様になってるっぽくて思わず「えー」なりました。大きさも凄いけど中の造りこみの方が
より凄いとは。



で、最上階の展望室から見た風景がこんな感じ。
立っている向きから察するに、どうも見えているのは中国地方側の瀬戸内海っぽいすね。
てことは遠方にうっすら見える大陸は岡山県かな?寒霞渓側を向いていると思われる別窓
からはのどかな田園風景が望めましたが、それよりも観音様の太い指の方が気になったり。
後日、この手の建造物が国内にどれくらいあるのか興味沸いたので、少し調べてみました。
これ「高層大仏」というジャンルだそうで、そのベスト10が以下。

 ・牛久大仏(茨城県牛久市):120m
 ・仙台大観音(宮城県仙台市):100m
 ・世界平和大観音(兵庫県津名郡):100m
 ・北海道大観音(北海道芦別市):88m
 ・加賀大観音(石川県加賀市):73m
 ・小豆島大観音(香川県小豆郡):68m
 ・救世慈母大観音(福岡県久留米市)62m
 ・会津慈母大観音(福島県河沼郡):57m
 ・東京湾観音(千葉県富津市):57m
 ・うさみ大観音(静岡県伊東市):50m

今や廃墟と化して周囲に大迷惑な世界平和大観音像と、実際50mはないんじゃね?と
疑問符を投げかけられてるうさみ大観音を除けば、残り全ての観音様の中には入れるそうで
(胎内巡りというらしい)、何気にコンプ欲が出てこなくもないかも。



ふと気づけばお昼をとっくに過ぎていたので、千枚田で有名な「中山の棚田」近くにて
その田園風景を眺めつつ、場にマッチしたおにぎり系の昼飯を食うことに。
…と、その近辺にて藁で出来ていると思われる謎の建造物を発見。後日、色々と検索して
みたけれど未だにその正体は掴めず。何か知っている人がいたらメールくださいよろ。



そしてるるぶ推薦のこまめ食堂でおにぎり定食を食す筈が、よもやの激混みで入店できず
結局のところすきっ腹を抱えたまま棚田周辺を歩き回ることに。
うむ、のどかやー、だけどとんでもなく腹減ったわー、ということで棚田プレイを早々に
切り上げて、帰りの船便が出る土岐港付近にてオリーブと並ぶ小豆島の特産品そうめんを
食べまくり、さて一息つけたところで、船が出る時間までまだ2時間あったので、今回は
手つかずになりそうだった島北部を少し探ってみることに。



てなわけでやってきたのは島の北中央は海岸沿いにある「大坂城残石記念公園」。
朝一にみた天狗岩同様、使われずに放置されてしまった石ころの残骸たる通称「残念石」を
一通り眺めた後、公園付属の資料館を見ていたらタイムリミットになったので撤収乙ー

いや丸二日あればほぼ全てを観光しきれるかなと思っていたんですが今回はかなり見残し
ちゃった感ありました。特に「恵門之不動」「奥之院・碁石山」などの景観や眺望に優れた
寺院関連をまるで見れなかったり、最大の見所たる寒霞渓を半分しか回れなかったというのは
心残りかなと。オリーブの島ってことでなんとなく草食的、つまりは観光的に薄いイメージを
若干持っていたんですがさにあらず、ホント特濃な島でした。こりゃ数年先に再訪かなー


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