[MySelf]


10月30日

<いつもの>

最初にまず謝っておこうと思う。
この件について何か日記を書くことはもうないだろうと思っていた。
これについては今までさんざ書いてきたし、もうこれ以上新しいネタはないだろうと、
誰よりも俺自身が一番強く思っていた、その筈だった。 
でも「また」なんだ。本当にすまない。申し訳ないとしかいいようがない。

ってことで早速ウンコを漏らしそうになった話をしまーす。
例のごとく今回も帰宅途中の車内で便意さんが突然やってきてしまったというわけでね。
ま、でも伊達にこれまで片手じゃ少し足りないくらいの回数をアウトにしてわけじゃないから。
自慢じゃないけど何度も窮地を乗り越えてこれなかった経験って奴がミーにはあるからね。
その辺のノウハウをうまく使って上手い具合に尻圧をいなしつつ、まあこの分なら次の駅
くらいまではギリ持つかな、くらい思っていたわけ。あれ?今日はちょっと余裕?的な
軽テンション混じりで。

だから眼前でそれが起こった時は心底驚愕した。
まず新百合ヶ丘からそっち、神奈川方面に居住する輩共を少なからず妬ましく思い、
次に世田谷区区長になる方法と当選した場合の小田急グループに対する影響力をおおまかに
想像せざるをえなくなり、最後に毎日の利用客8万人を誇り、今まさに眼前を猛スピードで
通り過ぎようとしているこの大「成城学園前駅」を快速通過駅にした奴の存在をDメールで
なかったことにするにはどうしたらいいかを、本気で考えざるをえなくなった。

てかこんなに腹がたったのは本当に久方ぶり。顔色がみるみる朱に染まっていくのが自分
でも分かった。以前、同じ状況時に人身事故の巻き添えくらって電車が緊急停止した時も
「どうして飛び込むの?死ぬよ?」と思わず口に出しちゃうくらい腹がたったけど、今回のは
完全にそれ以上。今後を戒めるべく、額に「快速め」と刺青を入れたくなるくらい腹がたった。
そして今の状況下、まったく予期していなかったこの延長ラウンド15分を戦い抜くには、
この理不尽な「怒り」こそが唯一の救いでもあった。

というわけで、快速の表示を見逃してしまった己から始まって、成城学園前が快速停車駅に
ならなかった事に関与する全ての市民・役人・企業・団体・運動家・政治家に対して遮二無二
腹をたてまくることで便意を誤魔化しきった末、電車が止まるや否や、駅構内のトイレまで
猛ダッシュきめて、最後の関門である「個室満室」トラップも無事回避し、いざズボンを脱いで
最終目標地点たる和式便所の上に座り込み、全身を脱力させて全てを開放しきろうとしたその瞬間、
右足が吊った。冗談でもなんでもなく、口から自然と「アッー」って漏れでた。

そしてなんとなく分かるだろうが、足がビーン!となってしまったら、己が意志を無視して
足はピーン!と伸びてしまうものであり、結論的にそれは和式における排便姿勢のバランスを
決定的に崩してしまうことを意味していた。
だが既に便は尻からまけ出つつある。無様に床上を転がり四方八方に便を撒き散らすような
大惨事だけは避けなければ!そう瞬時に思ったかどうか自分にもよく分からないのだけれど、
結果からいうとピーンと反った右足に合わせるかのように、体自体が勝手に後方へと反り返り、
気づけばなんかちょっと無理目な感じのブリッジみたいな体勢してた。

まあ体勢的にはかなり無理あるけど、とりあえず着弾点は便器から外れてないようだし、
後は手早く済ましてしまえばどうにかなるだろう、とこれを読んでいる素人の諸君は思うかも
知れない。実際ミーも右足が吊っている状態でブリッジしながら排便を試みることでこれを
初めて知ったのだけど、そもそも体重が両手両足できちんと4分割される正式なブリッジ
ですらかなり体力的にきつい筈なのに、今回のこれは右足が役立たずな3分割の不完全版。
つまり全身にものっすごく力が入ってるわけ。だけどウンコって体から力を抜かないと出ない
ものなんである。この相反する矛盾、しかも体勢はブリッジ、加えて便意はもはやパンパン、
そして体勢を仕切り直した先の未来予想図はダム崩壊で未曾有の惨事と究極的に詰んでいる。
そんな中、否応なくやってくる彷魔が刻、残された時間はもうない、最後の力を振り絞って、
残された手足の腱を突っ張りきり、臀部の括約筋のみの消力(シャオリー)を試みて…
その刹那、頭の中で鳴り響くホイットニー、エンダ−−−−−−−−−−−−−−−−−!

(写真はイメージです)

たぶんもう1回やれと言われれば、出来ないと思う。
ただイメージ的には「後の先」だった。今ふり返ってみれば「その時」の境地は時の剣豪、
武蔵の域にまで達していたんじゃないかと自分でも思う。
…表に出てベンチに座り込み、しばし放心。
間に合った筈なのに全身が汗びっしょり、だが同時に生への実感にも溢れまくっている。
そう、これが「生きる」…

実際、仕事や家族・友達関係がうまくいかなかったり、彼氏・彼女がいなかったりで、
つらかったり、不幸だと感じたりすることは、何時だって何処でだって誰にだって、ある。
だけどちょっと視点を変えれば、幸せはどこにでも転がってる、とも思う、たぶん…

そう、たぶん、そんな気がするんだ。


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