[MySelf]


11月8日

<さきばしるものたち、インド・5>

インド5000年の歴史が生んだ無敵のエクスキューズ・ワード、
 「モウスコシ、ジカンクレレバ、デキルヨー」
 「オコッテモ、カイケツシナイヨー」
シリーズに続く待望の第三段、「ソレ、サキバシリスギダヨー」を、くだんのインド人に
披露されて以来、とかく「先走る」という言葉に異常に敏感になってしまっている今日この頃
である。

まあ、確かに先走りはよくない。
実際、開発日程や仕様詳細などを現場チームにネゴらないまま先走って決めてしまったせいで
人間関係に軋轢が生じてしまい、その結果プロジェクトが立ち行かなくなった、なんてことは
わりとよく聞く話だし、そういうことへの指摘なら真剣に耳を傾けるぐらいの度量は持ってる
つもりだけれども。

でも、定食屋で誰よりも速くハヤシライスをオーダーしただけで「ソレ、サキバシリスギダヨー」
と上述のセリフを宣われ、かつ、その後一口食われた末に「コノカレー、アタラシイワー」的な
ピュアな感動を眼前でまざまざとみせつけられたとあっちゃ話は全然別だ。大体がハヤシライス
はカレーじゃねーよ。先走ってんのは俺じゃなくてお前の方じゃんー

「エー、デモ、カレーッポイジャン」
「ダカラ、カレーデイイジャン」
「ハヤク、ツクリカタオシエロヨ」

かくして、今まで幾度となく学んできた筈の絶対的摂理の一つ、「インド人と口論しても無駄」
を今日もまた体でもって再認識させられることとなったのであった。作り方なんて知らねーよ。


しかしまあ上のは特殊例としても、実際、近頃の世の中は先走る人々で溢れすぎてると思う。
性交時の昂ぶりにおける陰茎先端からの迸りを筆頭に、新作ゲームの発売日に行列するマニア達、
刃牙のネームを考えてる時の板垣先生の脳内、重度の声優ヲタが堀江由衣を見た瞬間のリアクション、
オリックスの谷選手 等々、ここ近年は特に酷いことになってきているような気がする。
そんなに先走って生きたって疲れるだけで何一ついいことなんてありゃしないのに。

そいや、この前コンビニでも見たよ、とびっきりの先走り。
いやね、俺、セブンイレブンのおでんシリーズが凄く好物なんだけど、その日も買った弁当暖めて
もらってる間につい目をやっちゃったのが運の尽きで、あっさりと誘惑に負けてホクホク顔で選び
始めちゃったのね。したらそのときの店員がめちゃくちゃ先走り野郎でさ。箸で具材をこう持ち上
げた瞬間、もうレジにピッってカウントしちゃってんの。速すぎるだろ、せめて器の中に入れる
まで待てよって。しかもその先走り、どんどん加速していくの。ダイコンは箸で触れた瞬間ピッ、
かまくらはんぺんなんか触れるか触れないかギリギリのところでピッ。でもってわりと得意げツラ。
どんな名人芸だよそれ。で、なんかやたら気ばっかしあせってきちゃったもんで、煮たまご取ろう
としてやっぱもういいやってその場で箸をカチンとやったら、今度はまだ触れてもいないのにピッ。

会計の際、なんか薄〜くにらまれた。セブンイレブンで売ってるおでんのレジの速打ちをこよなく
愛する男の誇りを傷つけてしまい本当に申し訳ございませんでした。でも、やっぱし先走り野郎は
苦手だよ。そんなことを考えながら帰途について、で、自宅ドアの前で改めて、あーって思う羽目
になったわけ。 なあ、弁当は? 

おっれ自身が、さっきばっしりー

とって返したエレベータの中が猛烈に犬臭くて、心底まいった。


11月16日

<とおざかるものたち、インド・6>

エンタングル!(ペニスをオナニーカップにねじこみつつ)


でだ。繰り返しになるけど、セブンイレブンのおでんって滅茶苦茶おいしくね?
あまりにおいしいんで、ぶっちゃけここ一週間、毎日会社帰りに立ち寄ってホクホク顔で選んでる。

だけど、先日その存在が確認された「セブンイレブンで売ってるおでんのレジ速打ちをこよなく
愛する男」が、ほぼ2回に1回の割合で、この麗しきおでんライフに水を差そうとするわけ。
だって相も変わらず選んでる最中にピッ、ってやられるんだもの。それマジうざいんですけど。

だから先日おそるおそる聞いてみたの。いや特に文句はないんだけどね風に。
自分が嫌いな奴の悪口を引き出そうとする女子コミュニティばりの悪意のなさを装って
「いやー、レジ打つの速いっスねー」って。

したらすっごく真摯に答えられて、ちょっと反省。
あのさ、おでんって器に大小あるじゃない。で、小の器は円筒形になってるんで、だいこんの上に
はんぺんとか乗せられると下に何の具材が入ってるのかすぐ分からなくなっちゃうんだって。
だからそれの予防策としてお客が選んだすぐその場でレジ打ちするよう義務づけられてるんだってさ。
ねー、勉強になるね、皆も覚えておいて損ないよ、このプチトリビア。

だけど次の日、また会社帰りに立ち寄ってホクホク顔で選んでる際、「あれ?」って思った。
よくよく考えたらこの店が小さな器使ってるとこ見たことないなーって。いや、正しくはレジの後ろ
に積んであるとこまでは見たことあるんだけど、おでんの器を選ぶ台にそれが乗っかってるところって、
ちょっと記憶にないのね。

そこで昨日、再びおそるおそる聞いてみちゃったの。「あの、小さな器、置いてないんですか」って。
したらあっという間に「あ、今は使ってません」って即返しされたもんで、あともう少しで、再度
「いやー、レジ打つの速いっスねー」って、レジに触ってもいないのに、聞きそうになったよ。
お前、義務付けあんまり関係ないじゃん。やっぱしレジの速打ちにカタルシス感じてるだけなんじゃん。
なんていうか、ほら、キーボードの打鍵が無駄に速かったり異常に強かったりする奴に「うわカッケー」
って突っ込みたくなるような、そんな気持ちにさせられた。その「仕事できる俺様像」はどこらへんに
置いてありますか?的な。デルコンダルの西の洞窟辺りでしょうか、的な。

そいや、くだんのインド人もキーボードの打鍵ストローク音が異常にラウドなんだよね。
まあ概ね外国人、特に韓国人辺りは例外なく高いんだけど。で、もはや日印友好の改善を完全放棄
してる自分としては当然そこんとこ突っついてみたくなったわけ。「いやあ、キー打つ音、デカくて
カッコいいねー」って。もちろんいつものように「バカニスンナー」って返ってくんの折り込み済みで。

したらね、なんか普通に「ソウダロー」って返ってきた。

ずるいよなー こういう時だけ至極真っ当に返事しやがんだものなー 
なあ、お前、もっと空気読まないと、マジ幸せになれないぞー
とか思ってた矢先、かなり綺麗めな嫁さんと可愛い男の子の写真を見せられたりしちゃうわけなのね。
へー、奥さん、日本人なんだー

「デ、オマエ、ケッコンシテンノ?」

いやあ、まだ…

「ソウダロー」


帰宅後、デッドゾーンやりながら、ゲーム中の合成音を幾度となく呟いた


11月27日

<ボルサリーノははじけ飛び コンクリートにキスをした>

というわけでゲームの話し。
いやさ、最近、自分の中じゃゲームが、それもファミコンが熱くてさ。
アクション系じゃ「リンクの冒険」とか「迷宮寺院ダババ」、それに「アルマナの奇跡」。
アドベンチャー系だと「デッドゾーン」とか「消えたプリンセス」、それに「ジーザス」とかね。
もう、これがやっててびっくりするくらい楽しいの。

といっても、もちろん真っ当な楽しさではないのね。
あの不親切極まりないゲーム内容と洗練されてないにも程がある操作性が、こう、なんていうか。
もはや失ってしまった筈のチャレンジ・スピリットに再び火を灯してくれるとでもいうか、まあ
そういう類の楽しさだよ、うん。分かりやすく言うと、やりながらめちゃくちゃ腹たててるよ。

でも、よくよく考えたら、もともとゲームって、非生産的な上に時間の浪費、加えて視力も悪く
なるという三重苦を十分理解した上で、それなりの金払ってその刹那的快楽を買うもんだものね。
元々、危ないキノコやドラッグばりに不条理なものだもの。そら、プレイすりゃ何らかの形でムカ
つくに決まってるよね。そいや昔もプレイしつつ、よくムカっ腹たててたわ。

特に印象深いのが「カルノフ」ね。ただでさえ主人公の外見が中年・ハゲ・デブとマイナス三拍子
揃ってて見てるだけでもイラっとくるのに、その上、動きまでもが緩慢極まりないところへもってきて、
挙句の果てにゃ背中に羽つけて空を飛び回りやがるからねコイツ。ちょっと人生的に許せないとこ
あるよね、どう贔屓目にみてもさ。

それから「ドラクエ1」。何も知らない序盤の頃に、あ、この白っぽいカーテン綺麗だねー的感覚
で突っ込んでったら、唐突にバシ!バシ!バシ!って大ダメージくらった挙句、戻ろうにも薬草が
なくてその場に延々と立ち往生とかね。もはや自殺するしかないと分かっていながら、妹の前で
自慢げにプレイしてた手前、その一歩がどうしても踏み出せなくて、あまりの空気の気まずさに
思わず顔をふせちゃったりね。

あと「FF2」。いかにも金持ちが飼ってそうな猫みたいな外見の敵と遭遇した末に、こりゃ
チョロそうだわーとナメてかかったが最後、全員がブラスターくらって即滅した時とかね。
モニター前で冗談抜きにマジ絶叫。で、2回はやらせんぞーとばかり次は気合いれて望んだら
「6かいヒット 0ダメージ いのちをうばわれた」みたいなね。なあ、お前0ダメージって意味、
本当に分かってる?、って、TVに向かって真剣に問いかけた。世の中の理不尽さというものを
まざまざと思い知らされた瞬間だったね。

でもって「暗黒要塞レリクス」。これには心底まいった。ただでさえ激ムズなところへ加えて
一画面スクロールさせただけでもロード発生という、ちょっと冗談のような極悪仕様をやっとの
思いで乗りこえて、遂にラスボス前と思わしき扉の前に立ったのち、昂ぶる気持ちを落ち着けて
いざ最終決戦へ望まん!とばかり運命の扉を開こうとした途端、カギ切れ判明でもはやその場に
呆然と佇む以外の選択肢が残されていないと知った日にゃね。意味も分からずアンダルシアに憧れた
小学生ばりのいっぱいいっぱいツラで叫んだね。必ず行くからそこで待ってろよー

だけどこれらの上をいくレベルで、より高みへと導いてくれたのが女神転生シリーズのデビルサマナー。
ある程度強くなったところで攻撃をオートにして小説読みながらの優雅なレベル上げライフこいてたら、
本人の伺い知れぬところで物理攻撃反射属性を持つギリメカテ君と戦闘状態になってて、ふと気づけば
TV画面が「あれ、なんでタイトル画面に戻っちゃってるの?」みたいな。うん、怒りというよりもむしろ
哀しみ?崖に取り残された野犬っぽく三回遠吠えた末、その後は一週間コントローラー握らなかった。

あとアレだ。腹一杯飯を詰め込んだ後の昼休み空けね、かなり切羽詰ってる状態の時。
便所の個室が全て満室でやんの。この会社、ウンコしてる奴しかいないわー


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