混沌の廃墟にて -89-

保証規定

1989-11-23 (最終更新: 1996-09-05)

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 DynaBook(*1)をまたまた交換してもらった。時計がやたら進む件もあるが (*2)、先日、バッテリーパックを取り外したらRAMの内容が全滅してしまった ので(*3)、どうもよくないという事で買った店に相談してみたのである。結局、 初期ロットはどうも不安定ということなので、交換するケースが多いのだそうだ。 実は、今日になってバッテリーパックの件を再確認しようと思ったら全然再現し ないので焦ったのだが、時計の件がやはり変なのは確かなので、やはり交換しよ うという事になった。

 ところで、もちろん本体には保証書が付いているわけで、保証期間は1年とな っている。正常な使用状態で保証期間中に故障した場合には、無料修理が保証さ れている。そこで気になるのはソフトウェアの保証の件である。あからさまに書 けば、ソフトウェアに関しては、一切の保証は行われないという契約になってい るようだ。なぜなら、保証範囲が次の通り。

  1. ソフトウェアの機能がユーザーの目的に適合することは保証しない。
  2. ソフトウェアの品質・性能の問題はユーザー負担。また、使用結果について はユーザーの責任。
  3. 事故・誤用の保証はしない。

 さらに、責任の制限として「弊社はいかなる損害についても責任を負わない」 としている。早い話が、ソフトウェアに対して何が起こっても関知しないわけだ。 しかも、このソフトウェアに対してユーザーは逆コンパイル、逆アセンブルして はならないと書いてある。バグがあっても、ユーザーは逆アセンブルして直すこ ともできないし、バグに対するメーカーの保証は一切ないわけである。

 現在、ソフトウェアの契約というのはこのようにユーザーに一方的に責任を負 わせるだけのものが多いと思う。話がいきなり発散するが、これは、不正コピー を助長する大きな原因になっているような気がする。こんな契約でソフトを買う 気になる方がおかしいという意味である。(*4)

 もちろん、実際はソフトウェアにバグがあった場合にはマイナーチェンジを行 うことがある。これは普通ユーザーには知らされないが、ユーザーからクレーム を付ければ、オリジナルを送りつけるなどの手段で最新のものを返送してもらえ る場合も多い。

 ちなみに、私が最初に買ったDynaBookは7月末の製品だったので、ソフトウ ェアのタイムスタンプはそれ以前になっていたと思われる。MSDOSまで含めて全 部交換してもらったので、古い方のMSDOSの日付がわからない。しかし、今手に しているMSDOSのタイムスタンプをみて、89/08以降のものがいくつかある。こ れらは、今まで使っていたものより新しくなっているはずだ。

COMMAND  COM    28263  89-08-12   8:06
AUTOEXEC BAT     2362  89-09-08  13:25
ATOK7RA  SYS    18009  89-09-12  13:29
ATOK7RB  SYS    64001  89-09-12  13:29
RAMDISK  SYS     8284  89-09-12  15:17
CHKBT    COM      608  89-08-28  13:38
MENU     COM     8015  89-08-28  18:06
BACKUP   EXE    24972  89-09-12  11:20
MENU             4101  89-08-28  15:26

ATOK*.SYSの日付が新しいのだが、今まで「なにに」と入力したら「菜にに」 と変換されて、「何に」が一発で出なかった。このバージョンでもまだ出ないの が、悲しい。


 さて、DynaBookを買うと、「J-3100用ソフトウェアをお使いいただくにあたっ て」という一枚の紙があって、

下記事項を御精読の上、「ご愛用者カード」により遵守を御誓約下さいます ようお願い申し上げます

 と書いてある。

 このご愛用者カードの内容だが、製品名、シリアルナンバー、氏名等の他に、 購入年月日、購入店、購入価格、用途、利用場所、周辺器機、ソフトウェア名、 購入理由、商品を知った場所、職種、感想、意見を書く欄があるのだが、誓約に 関係するような記述は一切ない。CDや本を買った時に付いてくるアンケート葉書 と酷似した内容である。これを返信しただけで誓約したことになるのだろうか? 何となく納得できない気がするのだが…。

 最後に一つ。DynaBookのマニュアルは、DynaBookガイドという薄い冊子になっ ているが、実にこれが「平成元年8月9日 B1版発行」と書いてあるから、MSDOSだ けでなく、マニュアルもマイナーチェンジしていたようだ。本体交換ではなく、 一式全部交換してもらったので気付いたのだが、実は最初は本体・電源アダプタ のみの交換という話だったのである。それが、私が「MSDOSも新しくなっている そうですね」と話を切り出したので、MSDOSも交換することになって、それがマ ニュアル等と同じ袋にパックされていたので、結局全部換えてもらってきたので ある。MSDOSのマイナーチェンジの噂は、もちろんNIFTY-Serve等から仕入れた情 報なので、このような役にたつこともあるという話。

 総合すると、DynaBookを出荷するのにいかに慌てたかわかるような気がする一 幕であった。さて、98Noteは今月末に初期ロット発売開始らしい。お手並み拝見。


補足

(*1) ここではJ3100-SS001のこと。

(*2) 一日に数分進んでしまう。

(*3) バッテリーパックを取り出しても補助バッテリーがあるのでしばらくはデ ータが消えないことになっている。

(*4) 買ってみてバグだらけで「こんなの使えるか!」となっても、売った側は一 切責任を取らないで済む。ソフトウェアでなければ冗談では済まないと思う。


        COMPUTING AT CHAOS RUINS -89-
        1989-11-23, NIFTY-Serve FPROG mes(4)-367
        FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
        (C) Phinloda 1989, 1996