混沌の廃墟にて -17-

この手の話題が最近賑やか

1988-10-24 (最終更新: 1996-10-09)

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何となく人が増えて廃墟でなくなってきたような気もするが…とりあえず RUINSは継続するのでご安心を。長い文章の嫌いな方は、BRで読んでスキップして ください(*1)。そろそろ話題が尽きてきたが…。


朝日新聞、1988/10/22 朝刊の社会面に、「首相通信網にハッカー侵入/秘密情 報盗み見る」という記事が載った。ブリュッセル二十一日=AFP時事、によると、 ベルギーのマルテンス首相と閣僚がメッセージの交換に使用しているコンピ ューター通信システム「ビステル」にハッカーが侵入し、一カ月余にわたって同 首相の電子メールボックスに収められた秘密情報を盗み見ていた、というもの。

こういうのは一方的に管理する側が悪いというのが、私の持論である。もちろ ん他人のデータを盗み見るのも悪い。しかし、システム管理者の犯行でない限り、 一介のハッカーの侵入を防ぐ方法はいくらでもあるはずだ。

カーテンを閉めずに着替えている所を見られて、「ノゾキだ」と騒ぐようなも のである。もちろん普通に外から見える所で誰かが裸になっている所を写真に撮 っても、何の罪にもならなかった筈。着替えるのなら、カーテンを閉めましょう。 それでもカーテンの隙間から見るのは…それはノゾキそのものだ。

以上は、かなり極論だが…それよりも、面白いと思ったのはハッカーいわく、 「対して興味はわかなかった」と言っていることである。首相と閣僚のメールと 言うとまるで想像つかないが…? 「おぉーい、美味しい店見つけたぞ、週末食 事にでも行こうか?」なんてやっていたのだろうか?

当局側は、「ビステル」には「極秘」のメッセージが送り込まれたことは一度 もないと強調したらしいが、二千五百万ドルもかけて作ったシステムでたわいも ないメールのやりとりをしていたと仮定すれば、その方が社会問題のような気も する。


もう一つ新聞から。1988/10/23 日本経済新聞によると、某社で作成したソフト にウイルスが感染していることがわかったという記事があった。これは流通前に 気がついたので出回ることは避けられたとのことだ。

ここで興味深いのは、なぜウイルスが感染したかという原因と、どのようにし てウイルスに気がついたかという2点である。もし開発担当がウイルスを組み込 んだのだとしたら、これは大変なことである。仮にもプロなら、ちゃんと潜伏さ せて出荷してから…いやいや…なんのなんの…要するに、シナリオがなってない。 いやちがう。

もっと妄想すると、ライバル会社がスキを見て開発中の作業用マシン室に忍び 込んで、ササッとコードを組み込んでおいたとか…ますます尊敬か? いや、ま さかありそうにない。とにかく、感染経路については何も報じていなかったので、 不安と言えば不安である。

ウイルスに気づいた点については、出荷前のチェックが行き届いている…あた り前という考え方もあるが…と評価して、良しとしたい。しかし、ウイルスに気 がつくというのも、よほどすご腕の検査係か、よほど間抜けなウイルスである。

まだまだ日本ではウイルスの被害は本格化していない(さらに私に言わせると、 ウイルスの被害が表面化するほどソフトの質が向上していない…ウイルスがファ イルを破壊しても普段と変わらないようでは情けない)。とりあえず、これから の動向を注目しよう。(*2)


会社で私が使っているマシンのディスクの調子がおかしい。エラーが頻発する ようになってきた。季節の変わり目にエラーが出るという話もあるが…まさかと 思う方も多いかもしれないが、これは経験から言えば最もありそうなケースであ る。春、秋にエラーが集中しているのだ。

しかも、一日、二日使わないと毎日使っている時より格段にエラーが発生しや すい。仕方がないので毎日出社してbootとhaltだけしてくる。するとエラーが少 ない。CPU が寂しがっているとしか思えない。:-)

もちろん、パソコンを家で使っている人がハードディスクをクラッシュさせて、 ファイルが全滅した…どうしよう…という様なことはない。一応ちゃんとしたプ ロだから、バックアップは万全である。エラーが出始めた時点から、仕事に影響 しないようにファイルの配置も構成し直した。この辺はNFSの強い所と言えるだろ う(*3)。セキュリティの面が若干面倒になるが、 別の箇所にあるディスクをあたかも手元にあるようにアクセスすることができる。

しかし、一番困っているのは、hack をやろうとすると、どういう訳か決まって この i/o error に遭遇することである。hack とは何かって? 単なるゲームで す、あまり気にしないように。なぜ仕事用のマシンにゲームがあるかって? そ れはノーコメント。しかし、仕事している時ではなく、ゲームを起動するとディ スクエラーになると言うのは、所謂天罰というものである。


補足

(*1) NIFTY-Serveの電子会議のBRコマンドは、発言タイトルを一つずつ表示して、 インタラクティブに選択しながら読むことができる。高速回線ではもったいなく て使えない過去の仕様というべきコマンドだ。ちなみに、この頃「内容とは無関 係に、長い発言はイヤだ」という人が結構いたのである。

(*2) 結局全然本格化しない。コンピュータウィルスは自然発生するものではないから 当然である。それに、市販ソフトの破壊力の方が、はるかに凄まじい…という状 況も当時と変わらない。

(*3) 今読むと何が言いたいのか分からないと思うが、リモートファイルサーバーに情 報を一括して保持することのメリットを言っているのである。


        COMPUTING AT CHAOS RUINS -17-
        1988-10-24, NIFTY-Serve FPROG mes(?)-301
        FPROG SYSOP / SDI00344   フィンローダ
        (C) Phinloda 1988, 1996