Nov. 12 (Fri)

Alba(Barbaresco)

今日は午前中アルバの街をうろうろして昼からGajaのワイナリーの見学。
出がけに車の脇を通ったらしっかり駐車違反のチケットが切られていた(泣)
車を移動してパーキングメーターに小銭をあるだけつっこむ。

後で追っかけられて面倒なことになるのもあれなのでとっととお金は払うことにする。
6万リラだかなんぼの罰金だったような。

メインストリートをぶらぶらすると、Mercato di Tartufi と書いた横断幕が掲げられている。
メインストリートに面した建物の中庭にテントのような仮設の建物が立っている。
ををを、とりふ市やってんのかあ、と思って覗いてみたが、テントは閉まっていて人影はなかった。

街のいたるところには、Il Re di Tartufo(とりふの王)とかいうシリーズものの
横断幕が掲げられている。握り拳ぐらいのとりふを持っている写真もある。
とりふで財を成した人なんだろうか、でも詳細はよくわからなかった(^^;;

5年前に買った全国版の地図は持ってきていたが、大きすぎてわからないので
本屋でアルバ近辺の地図を入手。連れは食料品屋で店頭に並んでいる乾燥ポルチーニを買っている。
お土産にするらしいがグレードが3種類ぐらいあってどれにするか悩んでいた。
店先にある虫篭(でわないだろうが)に入れたトーマ(熟成中)というのに興味を引かれる。

金を払いに店に入ると、謎な物体発見。ただのたまねぎなんだが
皮付きのまままるごと焼いてある状態で売られている。
昨日入ったスーパーにもおいてあった。これってどうやって使うんすか?と
きくとおにーちゃんも奥に尋ねている。おひおひ(^^;;
よくおぼえてないが料理の下味に使うとかなんとか(^^;;
鬼のように大変なカレーのタマネギの炒めが省略できるとかなのだろうか(^^;;

街をブラブラするうちにAさんと遭遇(^^;;
メインストリート高々300mの狭い街である。昨日のホテルを一晩で
おんだされて、結局我々の泊まっているホテルに投宿したそうだ。

Aさんお薦めのバールは、ここもどちらかというとワインバー的な店である。
地元ピエモンテのワインは葡萄別に何十種類か黒板に書いてあるが、
それだけでなくフランスや新大陸などワールドワイドな品そろえで少しびっくり。
でもそれらは日本でも安く買えるようなチリやオーストラリアのワインなのでそそられず(^^;;

だがしかしワインの本場に来たからといってバールが全部そういうワインバー的な店ではなく、
普通のバールの方が圧倒的に多い。酒屋も古いのや珍しいのなどお宝ざくざくかと思っていたが
そうでもない。95年前後の新しいヴィンテージばかりが目についた。

このへんの状況はブルゴーニュと良く似ているのかもしれない。それなりのワインはそれなりの
流通ルートでそれなりの場所に出て行ってしまっているのだろうか。
ひょっとするとマントヴァのような北部の金持ち小都市の方が、ワイン事情的には恵まれて
いたのかもという疑念は残る。

カウンターには16才ぐらいの少年と40前後のおやじがいて仕事をしている。
すでに常連のAさんは顔を覚えられているらしく、少年から声を掛けられていた(^^;;
いかにも小生意気な感じのガキだが、親方?にあれこれ言われながらも真面目に仕事をしている。
そのうち立派なバリスタになるのだろうか。

この街も金持ち喧嘩せずなのか、カウンターの上には生ハムの脂身やサラミやカナッペなどの
フリーおつまみ(とはいえ残り物、端物感ありありだが直径30cmぐらいのモルタデラもあった)
とグリッシーニが並び、パンは自分で棚から取り出して、お勘定は最後にレジで自己申告である。

しかしグリッシーニがうまい。イタリアでもピエモンテ以外のトラットリアな
どで出てくるのは
日本でもよく見る袋入りの大量生産のやつで、これは大してうまいとは思えない。
だがここ地元ピエモンテで出てくるのは1本1本手で焼いたやつで、これに生ハムの脂身を
巻きつけて食べるとそのうまいことといったら、今までのグリッシーニに対する偏見をすっかり払拭してしまった。

改めて本場というのはいいもんだと思いつつ、街をブラブラしてから昼食。
昨夜断られたレストランへ。
今夜も予約してあるのだがまた行くことに。

ピエモンテはイタリアの他と比べても開店時間が遅く、昼が1時〜、夜は8時〜
というところが多いようだ。3時にバルバレスコ村まで行かねばならないので
ゆっくりと昼食を取るわけにもいかず、私と連れはプリモのみで中座することに。

Tajarin バターあえ
Tajarin ソーセージのソース
トリッパとひよこ豆の煮たの
rava rosso のサラダ

プリモだけでやめとけばいいものを調子に乗って赤蕪というかビーツ?のサラダを頼んだら、
こいつは直球勝負されてアウト。ざくざく切った赤蕪を軽くゆでたものをシンプルに
あえただけのもので、ごめんなさいして残す。だが前夜といいこの日といい、
一般的に見てほとんどの皿は暴力的な量ではなく、イタリア標準から見れば少なめのようである。

アルバの街からバルバレスコ村までは数km、高々15分なのだが、ピエモンテの道路は
狭くてくねくねで迷いやすいと物の本にあったので1時間ほど前に出発。
今朝買ったばかりの地図を広げてさほど迷わずバルバレスコ村の入口へ到着。
道端に車を止めて摘み残された葡萄を連れはつまんで、思ったほど甘くないとのたまっていた。

Gaja も迷わず見つけることができたが、予定よりだいぶ早くついたので
あたりをうろうろしていると、通り沿いの別のワイナリーにでかい観光バスがのりつけ、
イタリア人のじじばばの団体がワイナリーに吸い込まれていく。

なんかこういうのは万国共通なのねと感慨を抱きつつ、時間になったので
Gaja の門のインターフォンを押して中に入れてもらう。
通されたのは小さな会議室のようなところで、ワインのボトルがディスプレイ
されている。Gaja の古いボトルなどがあって、へえーと思う一方、日本でも
よく見るようなチリやカリフォルニアの安ワインのボトルも並んでいて、なんで?と
思いつつも部屋の中をぶらぶら見ながら待っている。

今日のワイナリーツアーは総勢8名らしいのだが、他の客がまだ来ない。
もともと午前中の見学を依頼したのに午後に回されたのはそういうわけだったのねと
納得しつつ待っていると、スイス人の観光客らしき中年カップル2組がやってきた。
残りの2人がまだ来ないがワイナリーツアー開始。

スイス人のおじさんその1は英語、ドイツ語、イタリア語がぺらぺらだが、その2が
ドイツ語しかできないらしく、案内のおねいちゃんがイタリア語で話すのを
逐一ドイツ語でカップルその2に話している。
こちとらイタリア語で話されるとわずかな単語しかわからないので、
おねいちゃんはイタリア語の解説の合間に英語の解説を入れてくれる。

ワイナリーツアーも二度目三度目になると、基本的には同じ内容だから
新鮮味もなくなってしまうし、おねいちゃんはスイス人とばかり話しているので
多少しらけつつもひとまずツアー終了。

ショウルームに通される。Gaja は輸入代理店もしているようで、
扱っている世界のワインや食器が並んでいる。ワインは先程の会議室に並んでいた
チリやカリフォルニアの他にもルイジャドなどが並んでいる。
そういうわけだったのねと納得。
リーデルはグラスよりもガラス器をいろいろ展示していた。
リーデルの食器は初めて見たけどきれいだったのでほしいと思ってしまった。

遅れた二人も合流。パドヴァあたりでレストランを経営しているとかいう
30代後半ぐらいのいかにもという感じのカップル。
最初の会議室へ戻ってテイスティング。

Sauvignon blanc 1997
Barbaresco 1996
Barolo sperss 1990

しかし Barolo のうまいのうまくないの。
新しいビンテージのものをちょいちょいと出されて終わりかと思っていたので、
こんな物を飲ませてもらえるとは予想外の驚き。

しかしおれの隣に座っていたスイス人のおばちゃんその1はおれにどっちがいい?と聞き、
わたしは若い方がいいわなどとのたまう。

この2つを並べて若い方を取るだあ?

人の好みはわからないもんである。 若好みにもほどがあると意味もなく憤慨しているとおやじその1が 何やらおねいちゃんに頼んでいる。おねいちゃんはグラッパを持ってきた。 Grappa sperss Costa russi このうえ二杯もグラッパ飲んだら帰れなくなってしまうので舐めるだけ(^^;; Gaja印のグラッパは前夜にも街のエノテカで結構見かけたので、まあいいかとパス状態。 どれか買ってみようかと思ったが、わりと見かけていたので買いそびれた。 こんなにうまい酒はじっくり味わいたいのに、皆はBarolo も Barbaresco も 残したまま席を立とうとするので慌てて Barolo だけは飲み干して席を立つ。 観光客やらビジネス客やらが多くて捌くの大変なんだろうな、と思いつつ 機械的な対応でちょっとがっかり。しかしfaxを送った当初は返事が来ず、 まったくfaxを無視されたかと思っていたから、まだましか。 結局日本の輸入代理店から電話で身元調査(^^;;された後に返事のfaxがきた。 プロの方じゃないですよね?だと。うーむ。素人です素人。 近くのバルバレスコ村のエノテカに入ってみるが、今ひとつぐっとくるものが ないので見るだけ。そんなに詳しくはないので実は無名の凄い物を見落としているかもしれない。 来たときとは違う道を通ってアルバへと戻る。 ホテルの前も近くの広場も空いていないので少し離れた役所の前に車を止める。 手持ちのコインをありったけ突っ込むと駐車可能時間がどんどんのびて翌朝になった。 うーむ、そういうことだったのか。くそ。 夕食までまたアルバの街をブラブラ。 酒屋や土産物屋など見て歩く。食材屋(というかとりふ屋というかとにかく 前を通っただけで匂いがすごい)の前を通ると、中で買い物をしているAさんを発見。 結局また例のワインバーでつまみ(朝より皿数や中身が少なかった気が)を食べつつ ワインを飲む。彼はあの後電車でブラの街までいってきたそうだ。 ブラの駅前になんだか怪しい酒屋があったとかなかったとか。 夕食は昨晩断られた時に今夜の席を予約してある。今日の昼もここで食ったから都合 三度目である。開店時間だというのに店の中はまだまっ暗。 他にも開店を待っている観光客風の人たちもいる。 しばらく待っているとカメリエーレのにーちゃん(生意気)が出てきて何事か話している。 後ろで一緒に聞いていると停電らしい。 電気がつかないのでは店は開けない、というわけですごすごと帰る。 三度も来てやったというのにどうもこの店には嫌われてしまったようである。 また昨夜の如く席が空いてる店を求めて歩きまわるがどこも満員。 もともと小さい規模の街でレストランもそう多くないところに、観光シーズン?で 客が集まっているのだろうか。なんとなくだが、地元の客で賑わっているガテン系のトラットリア、 というのは街の中心近くでは見なかった気がする。 泊まっているホテルにもレストランはあるのだが、どうも呼ばれないので いこうとは思っていなかったのだが、この通り夕食難民になってしまっては しかたがない、覗いてみると席があったので背に腹は変えられず入ることに。 入ってみたら入口近くに Gaja Barbaresco 1985 なんつーボトルがぽつんと立っている。 こっこれは…うーむむむむ。 この時期にここに来たからには、とりふ尽くしなメニューにすることに決定。 しかしメニューに出ているのはとりふ抜きの値段で、とりふの値段は時価、 みたいなことが書いてあるがそんなことは気にしない(^^;; ワインはどうしよう、あの入口のバルバレスコ85がどうしても気になる。 Aさんがソムリエのにーちゃん(どことなくアングロサクソン風で生意気その2)を呼んで 値段を聞くと、85 で 40万リラ、 88 で 30万リラだという。 うーむむむ。ひとしきり悩むAさん。 決断したAさんがソムリエに88をくれっす、と言った瞬間、まさか頼まないだろうと たかをくくっていた彼の目の色が変わった。 身の程知らずな日本人観光客をなめてはいけない(^^;; レバーパテ(メモには残っているが食ったんだったか、記憶なし) バターあえのTajarin +とりふ Plin(とりふなし) フォンドゥータ+とりふ プリモはアルバ滞在中にすっかりお馴染みになった皿である。 カメリエーレのおっちゃんがいやというほどとりふをスライスしてくれる。 ついついおっちゃんの手元をじっと見つめてしまうわれわれ(^^;; そしてスライスする手元の往復をカウントしてしまうAさん(^^;; この皿には何枚、こっちには何枚入ってますね、などとひとしきり盛り上がる。 でかいホテルのダイニングだけあってレストランも広い。 斜め向かいにはどういう集まりなんだかわからないが30人弱の イタリア人老若男女の団体が宴会を繰り広げている。 カメリエーレがつぎつぎと山のような料理を運んで来るので何食ってんだろうと ついつい気になって見てしまう(^^;; 無茶苦茶盛りあがってみんなで歌でも歌いまくるのだろうかと勝手に 期待していたがそんなことはなくそこそこ盛り上がっていた。 メインは子羊のロースの焼いたやつ(とりふなし)に、かるぱっちょとりふのせ x2。 カルパッチョの肉自体はそれほど美味ではないのだが(だって冷凍肉をスライスした だけつー感じなんだもん)、これにも皿いっぱいに肉が見えなくなるまで おっちゃんがスライスしてくれたとりふのおかげでうまいのなんのもー大変。 かるぱっちょ(というよりとりふだな)にすっかり満足した連れが一発、

ん〜、かるぱっちょにはパルミジャーノより白トリュフよねぇ

などとのたまった瞬間Aさんとおれは目が点になって見つめあってしまった。 沈黙が食卓を支配する。 …こんど前後の脈絡を無視してそのセリフだけぶっぱなしてみてね(^^;; というのが精一杯であった(^^;; いや、別に間違ったことを言ってるわけではない(^^;; 全くその通りなのである。おれにも異論はない(^^;;

パンが無いならケーキをお食べ

と言ってるだけなのである(^^;; チーズを少しもらってワインをたいらげる。 連れはボトルをもらって帰ってきていた。 入ってくるときは外からだったが、帰りはフロントへ通じる出口から部屋へ戻る。 ではまた日本で会いましょう、とエレベータでAさんと別れる。 彼は明日の朝イチでトリノへ行き、一泊して帰国。われわれは明日と明後日は予定なし。 とりあえずまっすぐリグーリアへ下って海を見るつもりではある。
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Text and photo: nigel@st.rim.or.jp