Nov. 10 (Wed)

Mantova

ホテルのロビーでAさんと待ちあわせて朝のマントヴァの市内を散策する。
彼は昨日早めにマントヴァ入りして下見していたので、すでにマントヴァに3年も
住んでいるかのように街を案内してくれる。

彼によればどうも気になるバールが2軒ほどあるとのこと。
おれも昨夜リストランテに行く道すがら眺めて気づいていたのだが、
この街のバールには GAJA とか書いたボトルが気軽に並んでいる(^^;;
GAJAつーか鳥の絵つーか(^^;;

ホテルのすぐ近く、劇場?の隣のバールにはカウンターの上に簡単なおつまみの
皿が並び、おつまみはフリーだそうだ。ワインの品揃えもよく、GAJAが何種類か
おいてあるとのことで、もちろんグラス売り。Aさんはここを GAJAハウス と名付けていた(^^;;

もう一軒、広場の近くのバールには Marchesi di Gresy のバルバレスコの
ハーフが 88 89 と置いてあってこれもどうやらグラス売りしてくれるらしい、
後でなんとしても飲まなくては、と胸をときめかせていた(^^;;

風もなく快晴でおだやかな一日になりそうだ。宮殿前の広場を通りぬけて
湖を左手に見ながらしばらく歩く。商店街に戻ってバールで軽く朝食をとる。
本屋で Risotto alla Mantovana という料理本(というよりはブックレット)と
Funghi という茸図鑑を購入。

Aさんと別れた後 coin (=イタリアの長崎屋)をぶらついて雑貨など見るが
所詮は長崎屋である。連れはフィレンツェで買った絵が入りそうな額と
バスケットにきれいに飾られたソープや化粧品などをお土産をゲット。

お昼はマントヴァ市内から南西に40kmほど離れたリストランテを
予約しているため、余裕を見て11:30に待ちあわせて出発。
クレモナ方面へ向けて市内を出てしまえば、目的地の近くまでは一本道である。

日本の感覚で平日昼間の下道を40kmというと、1時間ではつかないかなと
思って早めに出たのだがここはイタリア。片側一車線の国道だが、ほとんど直線で
見通しも良く信号もほとんどないからみんな飛ばす飛ばす。
110km/h で流しているKaをガンガン追い越していく(^^;;
おひおひ(^^;;

そんなこんなで30分も前に店に着いてしまった(^^;;
なにせまわりは田園地帯でそのなかにぽつんとあるリストランテである。
時間を潰そうにもいい手が思い浮かばず店に入ってしまった。

昨年時点で唯一のミシュラン★★★女性シェフということで有名な
この店は(といえばわかる人はわかる)日本の雑誌にもよくとりあげられるので、
名前は覚えていなかったが連れでもこの店は知っていた。

おかあさんとおばあちゃんでやってる店で、
裏が畑になってて鶏とか飼ってて…

それって、これでしょ、と雑誌を見せたらそれそれ、ここ行く、というわけで
決まってしまった。前回ラムロワーズでフランスの★★★は初体験したが
イタリアの★★★というのは初めてなので、おれ的にも期待いっぱいで
勝手に前半戦のハイライトに据えていた(^^;;

てゆーかイタリアでは今まで★が付くような店に入ったことがない(爆)

ミシュランの★というのはイタリアに関しては必ずしもあてにならない、
必要以上にフランス料理ナイズされていてイタリア料理でなくなっている場合がある、
とか文章レベルの知識で知っていても、★つきの店で食うのは初めてだし、
イタリアの★★★がどんなものだかどきどきわくわくなのであった。

まだ店はがらんとしていて人の気配がしない(^^;;
やっとおねいちゃんが出てきて入口で待っててと言われ、
調度品など眺めながら時間を潰す。なぜか体長3cmぐらいの七福神の人形が飾ってある。
日本の客のお土産だろうか。

そうこうするうち席へ通される。

なぜかは知らないがマントヴァはかぼちゃが名物らしい。
そういうわけかどうかは知らないがつき出しにカボチャのスープが出た。

前菜は、
豚足
キュラテロとサラミ
カルチョフィと子牛のレバー

★★★でも相変わらず皿を交換して(もらって)それぞれ食べる。
カルチョフィと子牛のレバーが好評であった。

サフランのリゾット+カルチョフィx2
カボチャのトルテッリ

ここに来たのなら生パスタは食わねばいかんでしょう、というので
カボチャのトルテッリ、リゾットは2人前からなので2つオーダーする。
たぶん裏の畑で放し飼いにされているとおぼしき鶏の卵を練り込んだ
パスタは黄色というよりはオレンジ色が強かった。

味は普通においしいんだけど、変に期待が強すぎたせいか肩透かしである。
一口食べてくううううとうなるようなのを期待していたのが悪かったのか。

この頃から他の客も増えて賑わい始める。我々を含めて5〜6組ぐらいか。
俺の正面にはビジネスマン風の男性客が8人ぐらいで食事をしている。
なんとなく仕事風ではあるがしっかりワインを飲んでいる。

ちょうど真後ろでおれは見えないのだが、Aさんからは正面にあたる
部屋の角のテーブルにはカップルが座っているらしいのだが、
その男性客の方がすごいらしい。

でっぷり太った体は椅子からはみ出るようで、のけぞるようにして椅子に
はまり(座るというよりははまっているようだったらしい)、そしてその食いっぷりも
それはそれは見事なものだったようだ。

連れとAさんは彼を百貫さんと名付けて、逐一彼の食いっぷりを
きゃあきゃあいいながら報告してくれるのだが、振り返るわけにもいかず
なんとも悔しいったらありゃしない(^^;;

口直しにでてきたのはグラニテではなく、6cm角ぐらいのリコッタのラビオリを
バターで和えたものであった。何のてらいも技巧もなくただ丸い皿にラビオリが一つ
でーんと乗っている(^^;;

もしプリモで生パスタ頼まなかったとしても、何としてでも私どもの
生パスタは食っていただきますと、そーゆーわけね(^^;;

あーはいはいと思いつつメインは、鴨のフィレバルサミコソースに
川?すずき(branzino)、そしてluccio というのがわからず脇に立っていた
ロベルトカルロス(うそ)に尋ねると、にっこり微笑んで、

カ・ワ・カ・マ・ス?

むむむむ。日本人客多いのね(^^;;
きっと厨房にもいたりするわけね(^^;;

しかしあくまでも上品であろうとするところがさすが★★★で、
某店のようにオカンジョウネー!(with指で×)とはえらい違いなのであった(^^;;

ワインは結局 Alsace Pinot Bianco Hugel 1990 で最後まで。
食事を終えて裏の畑を勝手に見にいく(^^;;

裏庭の家庭菜園ていどの大きさの畑があってそこから川へと土手になっている。
土手ではアヒルが飼われていた。
季節のせいかもしれんが雑誌等からそれなりにでかい畑をイメージしていたら、
けっこうしょぼくてがっかり(^^;;
レストランまかなえるぐらいの畑が本当は近くにあるのかもしれんが。

すっかり日も西に傾き夕方になってしまった。
卵パスタでいっぱいのおなかと結局イタリアの★★★って何だ?と
疑問でいっぱいの頭を抱えマントヴァにもどる。
結局この店はマントヴァの卵屋とよばれることになった(^^;;

すぐ夕食なのだがそれまで時間を潰さねば(^^;;
テ宮殿にでも行こうかということになる。地図も見ないで走っていたので
市内よりまだまだ手前にある公園らしき場所を宮殿と勘違いして入ってしまう。

そろそろ閉まる時間らしいのだが我関せずと入ってしまってから気がついたら墓地だった(^^;;
イタリアの墓地はおもろい(というか美しいのもある)墓碑彫刻があって
そればっかり写真に撮ってる人がいるくらいで、一度行ってみたかったのだが
こんなところで迷い込むとは(^^;;
道の向かいに花屋があったのはそういうわけだったのかー(^^;;

しかし、座って頭をかきむしってる墓碑彫刻とは、この人は生前なにやってたんだろう(^^;;

でも彫刻までついてるお墓は数えるほどで残りは質素なものだった。
死者の安眠を踏み荒らしつつ今度は本当にテ宮殿へ。
すっかり暗くなってしまって月がきれいだった。
有名な(らしい)馬の間など見てからホテルへ戻って夕食へ。

でも昼間は少ししか飲んでないしその前に GAJAハウスで一杯ひっかけてから(^^;;

Ca'del Bosco spumante(Franciacolta?2種類)
Sito Rey 1996 Gaja
Illusion 1997 Gaja

Illusion はピキピキでまだまだ飲み頃は先であった。
しかしこれが立ち飲みでグラスで一杯500円以下で飲めるんだから
マントヴァに移住しちゃおうかな(^^;;

カウンターの上に生ハムの切れっぱしだのオリーブだの乗っていて
食べ放題である。で、おまけにお勘定は帰るときに精算である。
ローマなんぞではたいがいはレジで注文して前金、
レシートを渡して作ってもらうことが多かった。
そういえば朝飯を食べたバールでも自分で勝手にパンを取り出して
食べ終わってから申告精算だったし、随分勝手が違うものである。

軽くドープしてから気になっていた店へ。
すでに9時ぐらいだったからであろうか、店はそこそこ賑わっていた。
ここも古い店らしく、落ち着いた雰囲気であった。
ただ、昨夜の店よりは華美な雰囲気を抜いたところが、
トラットリアと名前についている理由を感じさせた。

昼にしっかり食べたのであっさり目に攻める。
ジャガイモとポロ葱のスープ
ポルチーニと茸のスープ
ビーゴリ小豆ソース

ををを、と思って頼んだビーゴリのあずきソースは案の定少し
もてあましたような気がする(^^;;
どこがあっさりだってか(^^;;

鳩
子牛頬肉煮込み
タイのグリル+ズッキーニ

ワインはBarbaresco bricco Asili 1978 Ceretto

ああ、うまかった。満腹になってバカ話をしながらホテルにたどり着いたのは
深夜近かったのではないだろうか、だがよく覚えていない。
 
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Text and photo: nigel@st.rim.or.jp