終戦の詔勅3
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するに出て、他国の主権を排し領土を侵すが如きは固(もと)より朕が志にあらず。然るに交戦己(すで)に四歳を(けみ)し、朕が陸海将兵の勇戦、朕が百僚有司の励精、朕が一億衆庶の奉公、各ゝ最善を盡せるに拘らず戦局必ずしも好転せず。世界の大勢亦我に利あらず。加之(これにくわえ)敵は新に残虐なる爆弾を使用し、頻(しきり)に無辜(むこ)を殺傷し、惨害の及ぶ所、真(まこと)に測るべからざるに至る。而も尚、交戦を継続せむか、終に我が民族の滅亡を招来するのみならず、延(のべ)て人類の文明をも破却すべし。斯くの如くむば、朕何を以てか億兆の赤子を保し、皇祖皇宗の神霊に謝せむや。是れ朕が帝国政府をして共同宣言に応ぜしむるに至れる所以なり。

朕は帝国と共に終始東亜の解放に協力せる諸盟邦に対し、遺憾の意を表せざるを得ず。帝国臣民にして戦陣に死し、職域に殉じ、非命に斃(たおれ)れたる者、及其の遺族に想を致せば五内為に裂く。且戦傷を負ひ災禍を蒙り家業を失ひたる者の厚生に至りては、朕の深く軫念(しんねん)する所なり。惟(おも)ふに今後帝国の受くべき苦難は


閲し(経過し)
無辜(罪のない者)
五内(五臓)
軫念(心を痛める)