川村渇真の「知性の泉」

既存技術の評価を通して、
情報中心システムの考え方を理解する


既存技術の評価では、その位置付けが重要

 コンピュータの世界では、新しい技術や規格が続々と登場する。その中には、コンピュータの進歩に大きく貢献する技術がある。逆に、長い目で見ると重要度が低いものも含まれる。それらを的確に評価することは、将来のシステムを考えるうえでは重要なことだ。
 評価の結果は、評価基準によって大きく異なる。評価で大切なのは、どのような評価基準を採用するかだ。ここでは情報中心システムという新しい仕組みを提案するので、その考え方を評価基準に採用するのが当然である。
 評価と言えば、良し悪しを決めるものと思いがちだ。しかし、技術の評価では、良し悪しではなく、位置付けが重要となる。システム構造や開発段階のどの部分で役立つのか、きちんと理解する必要がある。また、どのような条件を満たしたら最大の効果を発揮するのかも、十分に考慮しなければならない。そのうえで良し悪しを評価するべきだ。
 情報中心システムは、新しい概念のシステムである。既存の多くのシステムと比べると、仕組みがまったく異なる。そのため、その可能性を“深く”理解するのは難しい。情報中心システムの視点で既存技術を評価することは、情報中心システムの考え方や意義を理解するのにも役立つ。

既存技術の良い部分は、情報中心システムでも利用する

 情報中心システムの目指す方向は、既存システムとはかなり異なり、ユーザーから見るとまったく違うように感じる。とはいうものの、実際に作るときには、既存の技術をできる限り利用する。とくにシステムの下位の層では、既存技術を利用できる部分が多い。ただ評価するだけでなく、どの技術のどの部分が何に利用できるのかも一緒に述べる。

(1997年4月27日)


下の飾り