川村渇真の「知性の泉」

広い視野で解決案を提示するのが基本方針


3つの点を重視して各テーマを検討

 本サイトでは、重いテーマをいくつも扱っています。どのテーマも非常に重要なので、安易には結論を出せません。深い分析を基礎にしながら、より良い解決方法を得るために、以下の3点を特に重視しています。

本サイトが重視している重要3点
1. 論理的で科学的な分析や説明に
  (論理的でない部分も論理の中に組み込むといった工夫も)
2. 可能な限り全体を見て、総合的に分析や評価する
  (部分的な分析結果は、全体での最適と異なることが多い)
3. 問題点を指摘するだけでなく、解決方法を提示する
  (小手先の解決方法ではなく、根本的な解決方法を)

 この3つのうち、1番は今さら説明する必要はないでしょう。2番は、かなり重要です。論理的で科学的な分析をしていても、テーマ全体を幅広く見ていないと、正しい分析結果や評価を得られません。部分的な評価が、全体を見たときの総合評価と一致しないことが多いからです。教育問題を例に挙げるなら、教師の問題や学校の問題だけを独立して考えて最良の結論が得られたとしても、教育の目的から考え直した最良の解決方法には、遠く及びません。実際には、個別の検討だと、教育内容や学校組織の壁に突き当たり、最良の結論すら得られないでしょう。
 3番目も、非常に重視している点です。悪い点を指摘するだけで終わるのは、どちらかというと簡単ですし、ある意味で無責任でしょう。そうではなく、解決方法を提示することが大切です。それも、現状を少し改善するような小手先の解決方法でなく、問題を根本的に解決する方法を常に考えています。小手先の解決方法では、一時的に改善したように見えても、根本的な解決を遅らせるだけで、後から大きな痛みを伴います。長期的な視点で評価すると、全体として損失が大きいことを意味します。根本的な解決方法のほうが、全体としての損失は少ないわけです。これを少し違う目で見るなら、2番の全体的な検討する考え方を、時間軸で広げたことになります。つまり、時間軸を含めた全体的な分析や評価をするわけです。

解決方法もできるだけ詳しく説明したいが

 解決方法の内容も、何段階かにレベル分けして考えなければなりません。分け方はいろいろありますが、とりあえず3段階に分けてみました。

解決方法を提示するレベル
1. 解決方法を大まかに示す
  (基本的なアイデア、大まかな手順、主な注意点など)
2. より具体的な内容で示す
  (機能、条件、注意点、人材の能力、作業手順など)
3. 習得するための教育方法まで示す
  (教育内容、教育方法や手順、教育組織など)

 もっとも荒い内容が1番で、解決方法を理解するための最低限の情報を含みます。それより詳しいのが2番で、具体的な機能や条件、実施の際の注意点、実施する人材に必要な能力、具体的な作業内容と手順などが求められます。1番と2番に明確に分かれるわけではなく、その中間の場合がほとんどです。
 3番だけは少し特殊で、一部のテーマにだけ当てはまり、解決方法を教育する方法が対象です。たとえば、議論手法がテーマなら、解決方法は良い議論手法になります。それを教育する方法が、3番目のレベルなのです。ここまで含められると、相当に充実した内容となります。
 解決方法をどの程度まで提示できるかは、限りある時間との戦いです。解決方法を詳しく説明するほど、検討する時間と書く時間が必要だからです。多くのテーマを抱えている身としては、まず前テーマで大まかな解決方法を提示し、その後で解決方法を詳しく説明するのが、ベストな選択でしょう。

重要3点を満たして伝えるにはコーナー分けが必須

 以上のような基本方針なので、扱っている各テーマは、独立したコーナーに分けて整理しています。その理由を簡単に説明しましょう。
 重いテーマを扱って重要3点を満たすには、問題点の分析でも、解決方法の検討でも、かなりの労力が必要です。また、その内容を説明するときも、短い評論ではほとんど無理でしょう。どんな範囲まで検討しているのか、ある程度まで細かく内容を伝えなければならないからです。
 ある程度の量になると、書いた内容を整理して見せる必要性も生じます。それなら、テーマごとに独立させてコーナー分けするのが最適です。また、内容を整理して見せる意味で、各コーナーを小さなサブコーナーに分けるのも必須です。こうすると、コーナーごとに全体像が把握しやすく仕上がります。
 重要3点の2番と3番は、時間軸まで含めた全体的な検討を意味し、それを上手に整理した内容は体系的になるはずです。コーナー内のサブコーナー分けでも、できるだけ体系化を意識しています。ただし、1ページごとに書き加える方法だと、体系化が難しい面もあります。今のところ、最終的に体系化できればよいと考えています。
 もう1つ、読み手への考慮も必要です。現在の多くの人は、レビュー可能な堅い書き方に慣れていません。普通の文章でないと、読んでもらえない可能性が高いのです。また、非常に細かく分析した内容を含めても、面白みをまったく感じないでしょう。そんなわけで、できるだけ普通の文章で、要点だけを抜き出して書くようにしています。

重要3点を満たした評論は非常に少ない

 新聞、テレビ、雑誌、単行本、ウェブページなど、いろいろなメディアを通して、数多くの評論を目にします。それらに共通するのは、重要3点を満たしている内容が極端に少ない点です。もう少し詳しく説明しましょう。
 重要3点の中では、1番の論理的で科学的な説明が、もっとも満たしやすい項目です。これすら満たしていない内容が多くあります。少し良い内容でも、1番しか満たしておらず、2番と3番の両方を満たす内容は極端に少ないのです。短い評論しか書く場がないのも原因の1つでしょうか。2番と3番を同時に満たすのが非常に大変なのは理解していますが、そうしないと意味がないだけに、とても残念な状況です。
 異なる意見がぶつかるとき、2番を満たさない意見ばかり出ると、単なる言い合いで終わることが多くなります。お互いに一面だけしか見ていないので、話がかみ合わないのです。もちろん、1番の論理的で科学的すら満たしてない発言も多く、もっと情けない状況といえます。
 読み手のほうにも原因があるでしょう。1番すら満たしてないのに喜んだり、1番だけを満たしている内容に高い評価を与えたりしているからです。特に問題なのは、重要3点を満たしている内容よりも、1番しか満たしていない内容を高く評価する人が意外に多い点です。一部の面しか見てない内容だから、読む側も評価しやすいためでしょうか。今後は、読み手の側でも、重要3点の重要性を理解する必要があるでしょう。本質な内容が見極められる能力を高めるためにも。

 ウェブページの普及により、多くの人が意見を発表できるようになりました。きちんとした意見や評論を述べたい人は、ぜひ重要3点を理解し、より総合的で体系的に内容をまとめてください。それができるようになれば、仕事を含む幅広い領域で役立てられる、汎用的な問題解決能力が少しは身に付くでしょう。


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