川村渇真の「知性の泉」

システム設計を様々な分野に適用した結果


システム設計は幅広い分野に適用できる

 本サイトには、いろいろなコーナーが含まれています。先端技術から社会問題までと、扱っている内容はかなり広範囲です。しかし、共通点が1つだけあります。どのコーナーで扱っている問題も、システム設計を適用して解決案を求めている点です。
 システム設計というのは、コンピュータ上で動くソフトウェアを設計することだと思われがちです。しかし、人間が関係するシステムの設計だと、人間が担当する作業とコンピュータが担当する作業を切り分け、全体としてベストな仕組みを目指します。コンピュータのソフトウェア技術はもちろん、人間や組織の特性まで理解していないと、設計できない仕事です。
 もう1つ、システム設計には面白い特性があります。対象となる分野のルールや問題点を調べ、それを解決するための仕組みを設計する点です。つまり、問題解決でもあるわけです。大きなシステムの場合は、大きな問題解決と言えるでしょう。ただし、単なる問題解決とは違った面も持ち合わせています。コンピュータ上で動作するソフトウェアを仕上げるので、構築する仕組みは、細部まで厳密に規定しなければなりません。その中には、高い論理性も含まれます。このような厳密さは、一般的な問題解決にはない部分です。
 システムを構築する過程では、問題点やニーズの分析、新しい仕組みの設計、細部まで厳密な設計と製作、レビューによる設計内容の評価、きちんとしたテスト、他の分野と比較してもっとも困難なプロジェクト管理、提案書や仕様書などの作成、運用に向けた準備と要員教育、運用後の保守といった作業が行われます。どれも非常に重要で、他の分野でも幅広く役立つ技術が多い点も魅力です。
 以上のような技術を習得すれば、コンピュータ以外のシステムも設計できるようになります。教育方法や学校が対象なら、教育システムや学校システムとして捉えればよいだけです。現状の問題点と理想の姿を分析し、それらを最大限に満たす仕組みを設計します。このようにして分析や設計した内容を、本サイトの各コーナーに書いているわけです。

多くの未改革分野は、過去からの惰性で続いているだけ

 現在の世の中では、コンピュータが幅広く利用されています。設計、製造、物流、金融など、多くの業務がシステムとして再構築されました。その際に、問題点やニーズが深く分析されることで、最適な仕組みができあがるわけです。ビジネスとして競争力を付けなければならないからこそ、システム化という洗礼を受けて、仕組みが良くなっていきます。
 ところが、この種の洗礼を受けていない分野が、まだまだ数多くあります。政治制度、報道方法、教育制度、行政組織などです。ほとんどが、ビジネスから遠い分野か、実質的に競争が少ない分野です。そうした分野では、過去からの惰性により、以前と同じ状態が長く続いています。黙っていれば、このままの状態がずっと続くでしょう。
 変わらないことが問題なのではありません。前と同じ状態でも、問題が生じてないなら変える必要はないでしょう。しかし実際には、重大な問題が発生しています。にも関わらず、改善される見込みは立っていません。だからこそ、より深刻なわけです。
 過去からの惰性で同じ状態が続いている分野は、多くの問題を持っていると同時に、それらを利用する人のニーズを満たしていません。全体をシステムとしてみた場合、レベルとしては相当に低い位置にあります。問題点やニーズを分析して改善された仕組みではないため、低い評価になるのは当たり前です。

システム設計で様々な分野を改革できる

 もう既に、社会のいろいろな部分で、多くの問題が吹き出してきました。市民の価値観が変化し、システム化された部分の仕組みが進歩したために、陳腐化した部分で不具合が目立っています。対応が遅れるほど、問題は大きくなり、修復するのも大変になります。
 このような状況を打開するためには、何らかの改革が必要です。といっても、その分野にいる人は、何をしたらよいのか分からないでしょう。また、外から黙ってい見ていたり、悪い点を指摘するだけでは、解決方法を見付けられません。
 そんな状況で役立つのが、システム設計のノウハウです。現状の問題点やニーズを調べ、どのような仕組みなら改善できるのか、きちんとした手順で設計するわけです。設計ですから、仕組みを論理的に求めるのは当然です。仕組みを設計する作業では、コンピュータのシステム開発で利用した多くの技法やノウハウが生かせます。それにより、きちんとした手法を用いない場合に比べて、理想に近い仕組みが構築できます。
 得られた仕組みへ一気に移行するのが無理なケースもあるでしょう。そんなときは、何段階かに分けて、少しずつ移行するのが得策です。どのような方法で移行するにしろ、もっとも重要なのは、問題を解決できる良い仕組みです。
 残念ながら、時間の余裕はあまりありません。少しでも早目の対処が求められています。21世紀に適応できる仕組みを作ろうとするなら、システム設計を活用すべきです。まず最初は、以上のことを認識する必要があります。とくに、遅れている分野の責任者がです。
 本サイトの各コーナーでは、システム設計を適用して得られた内容のうち、要点だけに絞って書いています。こうした方法でも、問題点や解決方法が通じるでしょう。より多くの人が気づき、被害が大きくならないうちに対処することを望んでいます。


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