川村渇真の「知性の泉」

気に入ったモノ:写真関連


●Carl Zeiss Biogon T*28mm F2.8

コンタックスGシリーズ用の交換レンズで、広角としてはもっともポピュラーな28mmの焦点距離を持つ。対象型にかなり近いレンズ構成は、歪曲収差を限界まで取り除いている。もちろん、描写力は抜群。名レンズとして名高いのディスタゴン(コンタックス一眼レフ用の広角レンズ)でさえ、足元にも及ばないほどだ。撮影したポジフィルムを最初に見たときは、本当に驚いた。細部までビシッと写っていて、思わず興奮してしまった。これ以降、一眼レフの広角レンズを使うことはなくなったほど。このような良いレンズは、ベストの条件で撮影することも大切だ。最高の性能の出すためには開放や絞り過ぎを避けたいので、中央の絞り値となるF8前後で撮影するように心掛けている。絞り過ぎは絶対にダメ。レンズの良さを殺してしまう最小絞りのF22は、使用禁止とした。ライカMシリーズの28mmと比較してみたいが、かなり高価で手が出ない。Hologon 16mmもほしいけれど、これも高すぎて..。

補足:カメラのボディ側がレンジファインダー方式なので、一眼レフでは当たり前のミラーボックスがない。その結果、広角レンズはギリギリまでフィルム面に近づけて配置できる。逆に一眼レフの広角レンズでは、ミラーボックスの空間分だけフィルム面までの距離を確保するために、特殊な光学設計(レトロフォーカス型)を採用している。これが画質の低下を招き、画角が広く(焦点距離が短く)なるほど、その影響は大きい。広角レンズで画質を追求するなら、一眼レフでなくレンジファインダー方式だ。

製品の基本スペック

・名称   :Carl Zeiss Biogon T*28mm F2.8
・レンズ構成:5群7枚
・焦点距離 :28.4mm
・画面サイズ:24×36mm
・画角   :75度
・最短撮影距離:0.5m
・マウント :コンタックスGマウント(コンタックスGシリーズ用)
・絞り機構 :マニュアル絞り
・絞り目盛り:2.8、4、5.6、8、11、16、22
・フィルター:46mm ねじ込み式
・サイズ  :56×30.5mm(径×長さ)
・質量   :150g

●独シュナイダー社のルーペ

写真用のルーペで、フィルムを拡大して見るときに使用する。35mmフィルム用として、4倍と10倍の2つを使い分けている。4倍ルーペは、1コマ全体を見るときに用いる。すべての画像を順番に見ていき、気に入ったコマが見つかったら10倍ルーペでより拡大して見る。狙ったとおりにピントが合っているか、撮影ブレや被写体ブレがないかを確認するためだ。どちらのルーペも、周辺部まできちんと見える。安物では当たり前の歪曲歪みや周辺での色収差やボケが、本当に少ない。また、10倍クラスになると接眼部が狭くなりがちだが、このルーペは広くて使いやすい。写真撮影が好きで、リバーサルフィルムをよく使うなら、ぜひとも揃えておきたい2品である。ちなみに、2種類の倍率のルーペを使い分けるのは写真の常識。

ルーペの写真

●Horizon 202

35mmフィルムを用いるロシア製のパノラマカメラ(下記の補足を参照)で、新品ながら低価格なのが魅力。レンズは広角の28mmを内蔵し、1コマで水平方向の120度を撮影できる。1コマ分の画像サイズは、通常の24×36mmより横長の24×58mmで、36枚撮りフィルムなら21〜22枚を撮影できる。カメラ上部に水準器を内蔵するので、それを見ながらカメラの水平を調整できる。露出計を内蔵しないため、単体露出計を用いたほうがよい。唯一の欠点はフィルムが入れづらいことだが、構造上仕方がないだろう。気になる描写力だが、低価格のカメラにしてはかなり良い。一般のパノラマカメラの半額以下で購入できたので、非常にお買得だった。

補足:パノラマカメラは、本当のパノラマ写真を撮影するためのカメラで、構造が通常のカメラとは大きく異なる。円弧の軌道に沿ってレンズを移動させながら、360度(または、その数分の1の角度)を撮影する。そんな機構を内蔵しているので、カメラは変わった姿になる。フィルム側のガイドレールも円弧状(正確には、円筒の一部を切り取った円弧状)で、撮影時のフィルムはそれに密着する。上下方向の広がり持ったパノラマ写真を作りたいのなら、できるだけ画角の広いレンズが必要。最低でも28mm、できれば20mm以下の焦点距離がほしい。

パソコンとの連動:購入目的は、QuickTimeVRのパノラマ型ムービーを作るため。当然のことだが、フィルムスキャナーで取り込むだけで、補正の必要がないパノラマ画像が得られる。1コマでは120度しか撮影できないので、最低でも3コマが必要だ。しかし、少しは重複した部分がないと正確につなげられないので、90度ずつ回転させて4コマを撮影している。90度ずつだと角度を設定しやすい点も、理由の1つ。高解像度では取り込まないので、使用するフィルムはネガカラーで十分だ。現像のみを依頼し、長巻きのまま仕上げてもらう。ネガカラーなので即日仕上げも可能なのもメリットである。ムービー作成が目的なら解像度をそれほど求めないので、ISO400の高感度フィルムを使い、できるだけ絞るようにしている。

製品の基本スペック

・名称   :Horizon 202(ホリゾン 202)
・サイズ  :117.5×146×73mm(高さ×幅×奥行き)
・質量   :900g (?: 説明書がロシア語なので不確実)
・レンズ  :28mm F2.8(MCとあるので、マルチコーティングと推測)
・ピント  :固定(被写界深度でカバーし、近い被写体は絞って対応)
・絞り   :2.8〜16(6段階)
・フィルム :パトローネ入り35mmフィルム(通常の35mmフィルム)
・画像サイズ:24×58mm(36枚撮りフィルムで、21〜22枚撮影可能)
・撮影画角 :水平方向は120度
・巻き上げ :レバーによる手動(昔のカメラと同じ)
・シャッター:機械式で、上部のボタンを押す方式(昔のカメラと同じ)
・シャッター速度:1/2, 1/4, 1/8, 1/60, 1/125, 1/250(6段階)
・露出計  :なし
・水準器  :上部に内蔵(ファインダー内からも見える)
・電池   :すべて機械式のため不要
・付属品  :フィルター3枚、ケース、ロシア語の使用説明書


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