川村渇真の「知性の泉」

バレるとヤバイ裏マニュアル


世間が納得できない行為を繰り返す集団には、必ずといってよいほど裏マニュアルが存在する。多くの人がダメ行為を繰り返せるのも、そんなマニュアルがあるからだ。もちろん、世の中にバレると大変なので、関係者はひらすら隠し続ける。だからこそ、どんな裏マニュアルがあるのか、多くの人が知りたがる。極秘の調査網を使って集めた代表的な裏マニュアルと、そこに書いてある内容を紹介しよう。


●必ず安全だと宣言する原発データ公表マニュアル

原発に関連した仕事では、「本当のことを絶対に公表しない」が鉄則中の鉄則。そのため、「どんなに白々しくてもウソをつきとおす」ことが求められる。測定した数値をそのまま公表するのではなく、より安全な結果へと加工した値を用いる。万が一バレたときの対処も説明してある。本当の数値は絶対に公表せず、少しずつ近づけた値を出し、だんだんと数値を悪化させていく。公表を何十回繰り返しても、本当の数値を言わない形になっている。あまりにも追求が激しくなった状況も考慮し、事態を収束させるための究極の方法も書いてある。日本では自殺者が出ると追求が極端に弱まるため、関係者の誰かが自殺するように定めている。あみだくじで自殺者を決め、指定されたとおりに遺書を書いて実行してもらう。もちろん、残された家族には手厚い保護が約束される。マニュアルの最後には、「放射線は目に見えないので、安全なデータさえ出し続ければ、たとえ時間はかかっても、最後には人々が安心するものです。何を言われても、どんなに多量の放射線が出ていても、真面目な顔して“安全な数値”を公表し続けましょう」と書いてある。凄まじい徹底ぶりだ。この裏マニュアルがあるからこそ、日本の原発事業は何を言われても堅実に継続できる。

●女性差別企業の世間体確保マニュアル

世の中全体で見ると、少しずつではあるが男女平等が進みつつある。しかし、こんな流れに追いつけない企業も多く、いまだに女性差別を続けている。それでも、世間体だけは良くしたいと思っているので、差別企業向けの裏マニュアルを陰で購入し、何とかあがき続ける。紹介されている改善方法は、差別体質を直すのではなく、世間体を良くすることしか眼中にない。まず、男女平等を宣言して、女性総合職などを設ける。採用された女性はそんな事情を知らず、責任ある仕事を与えられない、管理職になるチャンスもない、セクハラしほうだいといった現状を知り、最終的には去っていく。こんな現状が週刊誌などの記者に知られると、大金を使って記事にしないように対処する。週刊誌の記者の多くはお金に弱いので、この方法が一番有効だという。

●ある政党の農業政策マニュアル

農民をおだてておいてコキ使うのは、江戸時代から続いている日本の歴史。それを忠実に守っている政党が今でも存在し、具体的な対処方法を裏マニュアルで詳しく説明している。農民は選挙の票を得るためだけの相手であって、それ以外の何者でもない。農民への援助は補助金を用いるが、土木工事などの農業以外が中心なので、農業自体は一向に改善されない。こんな援助を長い間続け、補助金なしでは生活できない状況に追い込む。こうなれば選挙の票を得るのは簡単で、あとは農業を直接支援しない補助金を与え続ければ、選挙に協力せざるを得ない状態が維持できる。全体を見ると江戸時代の士農工商と同じだが、それに気付いている農民は非常に少ないようだ。それだけ、裏マニュアルの内容が優れているということかも。

●金満球団の選手獲得マニュアル

優勝を絶対的な目標に掲げる球団が持つ、優勝の可能性を高めるための特殊なマニュアル。最大の目的は、FA宣言した有名選手を大金で獲得し、競合球団の戦力を低下させること。そんな訳なので、5年といった長期契約をして、他の球団へ行かないように手を打つ。また、獲得した選手は、代打や敗戦処理投手として使い、飼い殺し状態にする。ただし、一部のお気に入り選手だけは、まったく活躍しなくてもレギュラーとして使い続ける。戦略はほぼ成功しているようだが、大きい別な欠点を改善しないため、思うように優勝できないでいる。

●不祥事警察官の罪を軽くする仲間優遇マニュアル

どんな業界でも悪い人は必ずいるので、警察官が事件を起こしても不思議ではない。しかし、事件の捜査や逮捕の権限を持つ警察だと、自分の仲間を厳しく罰するのは心苦しく感じる。そんな気持ちが形になったのが、不祥事を起こした仲間を優遇する裏マニュアルだ。どんなに卑劣な犯罪でも、事件としては立件せず、仲間内の軽い処分で済ませてしまう。このような処分だと、仲間に退職金を出せる。また、警察官の不祥事がバレて、誰かが責任を取って辞職する心配もない。本音では、自分が事件を起こしたときにでも、退職金をもらえるようにと考えただけのようだ。しかし、世間には公表しないので気にしない。この裏マニュアルの内容は全警察官が知っているため、犯罪まがいのことを安心してできるとの説もあるが、マニュアルが使われ続けている現状では、改善される見込みはなさそうだ。


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