川村渇真の「知性の泉」

説明技術の応用例で、目的や特徴の理解を深める


一般論より応用例で理解してもらう

 説明技術のような、まったく新しい分野の内容を理解してもらう場合、一般論だけではかなり難しい。大まかな全体像は分かっても、その詳細がどの程度のものなのかまでは、伝わらないだろう。ある程度の詳細まで知ってこそ、説明技術の重要性に加え、可能性や有用性も理解できる。
 これらの問題を解決するには、いくつかの応用例を紹介するのが一番だ。それも、1つだけの例では不十分で、種類の違うものを数多く見ることが重要である。というわけで、ここでは、説明技術の例をいくつか紹介したい。まだ研究段階の技術なので、だんだんと増やしていく予定だ。

実際に利用できる応用例を提供

 せっかく応用例を紹介するのだから、実際に役立つものを選ぶつもりだ。応用例というのは、説明技術の一番下のレベルに位置する。基本となる説明技術を特定の目的に適用し、その目的に特化した表現ルールとして形作る。これが、ここで紹介する内容だ。
 目的を特定した表現ルールなので、その目的と同じものを作るのなら、そのまま利用できる。たとえば、「分かりやすい地図を作るための表現ルール」なら、地図を作るときに大いに役立つ。多くの人が活用することを考慮し、できるだけ役立つ範囲の広いものを、テーマとして選びたい。
 それとともに、紹介する応用例は、説明技術を理解する目的も兼ねている。そのため、違う特徴を持つ例を用意することになる。できるだけ毛色の違う例を並べることが、全体像を理解することにつながると思う。
 応用例の対象となるのは、文章だけでなく図や表や映像も含まれる。また、それらを利用して全体の構成を決める方法も、当然のことながら含まれる。これだけカバーする領域が広いので、用意するのも簡単ではない。ゆっくりと充実させていきたい。

応用例から、背景に流れる基本的な考え方を読みとってほしい

 紹介する応用例を見るときは、その内容を知るだけでなく、背景に流れる基本的な考え方も一緒に読みとってほしい。ここで紹介できる例は限られているので、背景となる考え方を少しでも理解できると、紹介していない目的での応用も可能となるだろう。それを手助けする意味から、説明技術の基本となる考え方まで、応用例の中に含めていきたい。

(1995年6月29日)


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