川村渇真の「知性の泉」

説明技術の視点でノウハウや社会を評価する


ノウハウ紹介の中身を評価する

 説明技術に関係する範囲は、かなり広い。作文技術はもちろん、静止画による写真表現、動画を用いた映像表現、コンピュータを用いたマルチメディア作品などだ。これらの上手な作り方は、単行本、ビデオ、CD-ROMといった複数のメディアで提供されている。数こそ多いものの、中身の質はどうだろうか。もっとも大切な点である、本当に役立つ内容になっているだろうか。その点での出来具合を、説明技術の視点で評価してみよう。今まで当たり前と思われていた内容が、実はレベルが低いと評価されるかも知れない。
 このような評価は、ノウハウ本などを購入する人にとって、良い内容のものを選ぶための視点を提供する。また、書く側にとっても、レベルの向上に役立つ。

説明技術の視点で世の中を見る

 説明技術の視点は、世の中のいろいろな現象を評価するのにも使える。説明技術の基本は、伝えたい内容をできるだけ分かりやすく表現することである。それと同じ考え方で世の中を見ると、「何だこれは?」と驚くような仕組みやルールが存在する。できるだけ分かりやすくとか、理解し合えるようにといったことを、まるで邪魔するような現象が数多く見受けられる。説明技術の番外編として、そのような事例を鋭く指摘したい。
 きちんとした意志疎通を実現するためには、組織の仕組みやルールも大切なのだ。その点を理解するためにも、悪い事例の指摘は役立つ。

(1997年10月23日)


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