川村渇真の「知性の泉」

自分に合った入れ物を最初に用意する


いつでもプレゼンできる体制を作る

 仕事が決まってプレゼンテーションすることもあるが、それは消極的な考え方だ。もっと積極的に行動するなら、いつでもプレゼンテーションできるような準備をしておきたい。自分の考え方や興味のあることなどをまとめておき、機会があればすぐにプレゼンテーションできるように準備しておく。大げさに言うなら、24時間プレゼン体制を作るのだ。
 この場合のプレゼンテーションは、特定の仕事に関係する内容というより、自分自身の考え方を理解してもらうことに力点が置かれる。相手が興味を持てば、一緒に仕事をすることもあるだろうが、もっと意気投合すれば、大切な友人関係になることもある。同じ価値観を持つ人を見つける道具としても、プレゼンテーションを役立てたい。

常に携帯できる入れ物を選ぶ

 話の中で相手が興味を持ったら、すぐにプレゼンテーションを始められるように、最低限のプレゼンテーションを常に携帯する。その条件を満たすためには、普段持ち歩けるものを選ぶか、すでに持ち歩いているものを利用するしかない。できるだけ軽く、簡単に取り出せる物が望ましい。具体的にどんな道具が適しているかは、人によって異なる。

ノート型パソコンは最適

 もっとも可能性が高いのは、ノート型のパソコンだ。普段から持ち歩いている人なら、荷物が増えることもない。プレゼンテーション・ソフトをインストールするだけで、かなり本格的なプレゼンテーションができる。それも、普段から内容を更新しておけば、常に最新状態を見せられる。プレゼンテーションのときは、相手の反応を見ながら、見せる内容を素早く変えられる利点もある。
 ノート型パソコンを持ち歩く別なメリットは、ちょっとの空き時間を利用して、プレゼンテーションの内容を作成できることだ。実際に試した反応をできるだけ早目に反映させることで、どんどんと内容を充実させられる。
 プレゼンテーションの資料は、プレゼンテーション・ソフトで作るだけとは限らない。もっと柔軟に考えて、いろいろなソフトを活用したい。ドロー系のグラフィックソフトや統合ソフトを利用して、より自由な形でプレゼンテーションの材料を作る。説明のときに表示するだけなので、画面に表示できるソフトなら何でも利用できる。

紙が中心ならクリアファイルに入れる

 ノート型パソコンを持っていないなら、クリアファイル(透明な袋を綴じたノートで、袋の中に紙を入れて使用するもの)を利用する。その中にいろいろなプレゼンテーション資料を入れて、見せながら説明する。ワープロで作成した資料でも、雑誌の切り抜きでも、混在しながら自分流に並べる。イラストレーターやデザイナーなら、自分の作品を入れるとよいだろう。持ち運びの容易さを考慮すると、限定された枚数に収めることも大切だ。
 相手に渡す数ページの資料を用意して、最終ページに入れる手もある。プレゼンテーションで興味を持った人だけに資料を渡せば、相手が後から要点を思い出せるとともに、自分の印象も強められる。

あとで見てもらう方法もある

 その場でプレゼンテーションができなくても、あとで見てもらう方法も可能だ。1つの方法は、個人のウェブページを用意して、そのURLを名刺に加える。相手がインターネットへアクセス可能であれば、あとでウェブページを読み、それがプレゼンテーションになる。
 もう少し手軽な方法なら、名刺と一緒にフロッピーを渡す手もある。容量に制限はあるものの、文字中心であれば、かなりの内容が入れられる。容量よりも問題なのは、機種ごとにフォーマットが違う点だ。相手の使用マシンを尋ねて、自分のマシンと同じなら渡すことになるだろう。コスト面の心配もあるが、これはと思った人だけに配るのであれば、それほど費用はかからない。
 もっと過激な方法としては、個人でCD-ROMを作成することもできる。書き込み出来る装置の価格も下がってきたので、自宅でも1枚単位で作成可能だ。ただし、かなり容量が多いため、それに見合った内容が入ってないと、逆に貧弱な感じを与えかねない。この方法を採用する場合は、魅力ある内容を作れる表現力と技術力の両方が必要だ。

入れ物の用意が、作り出すきっけかに

 入れ物を用意する最大の理由は、それをきっかけにしてプレゼンテーション資料を作り始めることにある。プレゼンテーションやアピールをなんとなく考えてはいるものの、そのまま何もせず過ごしている人が多いのではないだろうか。そんな人こそ、この機会に入れ物を用意して、自己プレゼンテーションの資料作りを始めよう。

(1995年7月19日)


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