ライブで使用するギターについては、私が勝手に通称をつけています。演奏会報告での記述とあわせてご覧下さい。
初期からほとんどの曲がこのギターで演奏されていた、事実上のメイン・ギターだった。和嶋氏所有のものは、62年型の再生産モデル(89年製)。
「SG」とは「Solid Guitar」の略称で、ギブソン社の代表的なモデルであるレス・ポールに比べると、硬く抜けのよい、比較的低音の響きのない音質が特徴(和嶋氏によれば「ちょっと足りないような音」)。人間椅子と言えばこのSGサウンドがトレードマークともなっている。
色はワインレッド。「イカ天」出演を記念しローンで買ったもの。93年頃、質屋に入ったことがある。その経緯については、和嶋氏が連載していたハードロック・ギター・ワークショップ 93年6月号で詳説されている。
ネックは幅広で薄め。材質は、ボディともどもマホガニー、指板はローズウッド。現在は、長年の使用故、汗をすっかり吸ってしまって、まるで鳴らないギターになってしまっているが、慣れのためソロがとりやすいという。
ピックアップはマイルドな音がするもの(当初付いていた4芯のものから単芯のギブソン製)に換えてある。
コントロール部は、1ボリューム2トーンに改造。また、スイッチング奏法(ピックアップのスイッチをON/OFFすることにより音のトーンを変化させる)を容易にするため、専用のスイッチが追加されている。回路の詳細、配線図については、和嶋氏が連載していたハードロック・ギター・ワークショップ 96年7月号で詳説されている。
94年7月頃から、ボディ表面左側下部(演奏時は上側左になる)にトニー・アイオミ(ブラック・サバス)の直筆サインが入る。同じく左側上部に、当時の和嶋氏のバイト先である弁当屋の「サックリのメンチ」なるステッカー(通称はここから取った)が貼られている。また右側ピックガード部に「ゴールデン・バット」(JTが発売している煙草。戦前から発売されているらしい。1箱20本入り90円。私の家の近所では鯛焼き1尾と同価格!)のステッカーが貼られている。最近ボックス入りフィルター付で250円のものが発売されたようだ。
「悪魔の手毬唄」「太陽黒点」「踊る一寸法師」などを代表とする、いわゆる「重くて暗い曲」で使用されるギター。ギブソンSGのコピーモデルである。テンションが若干きついためローチューニング専用としている。
通常のギターよりも音程の低い「1音半下げチューニング」が施されているため、音程はもちろん音質もよりヘヴィなサウンドになる。「陰獣」「マンドラゴラの花」のようにレコーディングで通常のチューニングを適用している曲でも、ライヴではこのギターで演奏されることがある。
チューニングの特殊性ゆえ使用する曲が決まっているが故に、使用率は高い。
色は赤。メンチなどのワインレッドよりも赤味が強いように見える。材質は、ボディ/ネックがマホガニー、指板はローズウッド。
フロント・ピックアップはギブソン製やトム・ホームズ製(1999年5月時点)のものに換えている。コントロール部は、1ボリューム1トーンに改造、スイッチング奏法用のカスタマイズも行われている。弦はアーニーボールの010〜052を使用。
目印になるようなステッカーなどは貼られていなかったが、97年末の「歳末猟奇劇場」ツアーから、善光寺の「交通安全」ステッカーがブリッジ下あたりに貼られている。
たまに使用されるギター。しばらく見ていなかったが、96年12月のライヴで、メンチと交互に数曲に使われていた。「たのきんトリオ」の一人として一世を風靡したあと、「ザ・グッバイ」などで活躍した、ギター・コレクターとしても名高い野村義男氏(96年末の紅白歌合戦でも健在ぶりをアピール!)が所有していたギターそのものであるらしい。
'69年製。本来は、板バネアームがついているものだが、外してある。
これも色はワインレッド。外観の特徴は、ピックガードがウイング型で大きいものであること。
98年前後から、メンチに代わりメインギターとして使われている。7th『頽廃芸術展』のレコーディングから多用されている。
【無限の住人ツアー】終了後、鈴木氏の友人から買った最近の再生産のSGである。
外観はヨッちゃんとほぼ同型の、ピックガードが60年代後半のウイング型で大きい、いわゆるダブル・ウイング。色はヨッちゃんより若干赤みが強いように見える。材質は、ボディ/ネックがマホガニー、指板はローズウッド。
コントロール部は、1ボリューム1トーンに改造、スイッチング奏法用のカスタマイズも行われている。トーン用の穴が1個余ったため、宇宙人グレイのバッチを貼ったが、現在は幸福を呼ぶシンボル、フクロウに変わっている。
また、フロント・ピックアップとリア・ピックアップの間にゴールデンバットのプリズム・ステッカーが貼られている。
外観を見ればその特徴は一目瞭然。1つのギターに2本のネックが取付けられており、左側のネック(演奏時は上側)に12弦、右側に6弦が張ってある。1曲のなかで12弦ギターと6弦ギターの持ち替えが必要な曲で使われる。ジミー・ペイジ(レッド・ツェッペリン)などの使用で名高いギブソン製のコピーモデル。グレコからもらったとの説がある。
色はワインレッド。6弦側のピックアップを交換、リアのトーンを外し、6、12弦それぞれ独立したアウトプットを設ける等々の改造をしているようだ。
このギターで演奏される曲はかなり限定されており、「夜叉ヶ池」「羅生門」「羽根物人生」「無限の住人」の4曲である。しかし、興が乗れば「天国への階段」(レッド・ツェッペリン)も演奏するかも…?!
ポール・スタンレー(キッス)の使用ギターとして有名。グレコからもらったとの説がある(グレコのカタログに和嶋氏の写真が載っている)。
色はブルー。右手にボディの角が当たって痛いせいか、アンコール時などに数曲使われるのみだったが、98年前後のライヴでは、7th『頽廃芸術展』収録の「村の外れでビッグバン」のオープンGチューニングのスライドソロに必ず使われていた。
鈴木研一氏も同型のギターを所有しているが、こちらは色が黒。細部も多少相違があるようだ。
96年後半の「無限の住人ツアー」から使われるようになった、比較的新しいギター。色はブラウン・サンバースト。グレコの新製品、LG-90ではないかと思われるが、詳細は不明。外観はギブソンのレス・ポールに似ている。
通常チューニングながら、SGよりも重低音が効いたレス・ポール風サウンドである。『無限の住人』の「晒し首」「刀と鞘」では、レコーディングにもこのギターが使われている可能性が高い。
99年4月のイベント出演時に使用。色はブラウン・サンバースト。
以後のツアー【二十世紀葬送曲】では使用されていない。
2000年5月14日(日)渋谷 ON AIR WESTのライヴで使用。通常チューニング。
色は赤。SGに近い色といえる。ボディー形状はレス・ポール風だが、厚みは薄く、サイド部分も丸く整形されている。ボディー/ネックともにマホガニーを使用しているため、サウンドもSGに近いと思われる。
画像や詳細はここ。
クリーム時代のエリック・クラプトン所有のサイケ模様SGよろしく、オリジナル・ペイントが施されたSG。ウィーン象徴派の画家、クリムトの「水蛇」を主体に、数枚の絵をアレンジした絵柄となっている。
ギターにペイントされているクリムトの作品。
<死と愛>(部分) | <希望>(部分)
<水蛇>
画像(絵葉書)提供:嘉象堂
人間椅子のサウンドからはちょっと想像できないギター。ここまで解説してきたギブソン社/ハムバッキング・ピックアップ系のギターとは設計思想がまったく異なる、フェンダー社/シングルコイル・ピックアップ系。高音域が伸びやかなストレートなサウンドと、音程を上げ下げできるトレモロ・アームが特徴。リッチー・ブラックモア、イングヴェイ・マルムスティーンなどが愛用している。
色はサンバースト。'70年代初期のモデルだが、トレモロ・アームはなし。90年11月25日(日)の渋谷Egg-manのライヴでデビュー。ビデオ『遺言状放送』には、楽屋から舞台ソデに行くまで、手慣らしに弾いている姿が収録されている。
最近のステージ上ではまず見かけない。ほとんど使われていないので、もう手放しているかもしれない。
ギブソンのレス・ポールなどと同様、ストラトも別メーカーによるコピーモデルが多数存在する。このギターはそのほんの一例。和嶋氏によれば、フェンダーよりも弾きやすいとのこと。
和嶋氏所有ではなく、川端圭介氏(鈴木研一氏のバイト先である杉並郵便局の大口担当局員。ライヴ時「羽根物人生」でサイド・ギターを担当することがある)が所有。『踊る一寸法師』のレコーディングで使用された。
ジョージ・ハリソン(ビートルズ)などの使用で有名になった12弦ギターと同一モデル。
和嶋氏所有ではなく、鈴木氏の幼馴染みの何とかさんからの借り物。『踊る一寸法師』のレコーディングで数曲に使用された。
アコースティック・ギター(昔は「フォーク・ギター」と呼ばれていたものですね)。ネック・エンド部にピックアップが付いているので、アンプに通せるが、生音はイマイチとのこと。
詳細は不明。新宿タワー・レコードでのアコースティック・ライヴで使用していた模様。
前ドラマー、土屋氏からの借り物。
フレットが減っていたため、土屋氏承諾の上、5千円で買ったネックにつけかえてある。ナットを自分で削ったが、かえって音ヌケが悪くなったような気がしないでもないとのこと。
ボリューム・ノブをピグノーズ・アンプのもの(ブタッ鼻タイプ)に交換してある。
テレビ通販などでよく宣伝しているアレ。形状はスティール・ギター風で、左手でキーを押し、右手で鉄弦を弾いて発音する。音質はハープシコードに似ている。
「羅生門」「もっこの子守唄」のレコーディングで使用。
ブルース系の音楽でよく使用されるクロマチック・ハーモニカ。
「羽根物人生」「蛮カラ一代記」のレコーディングで使用。ライヴでもちゃんと吹いている。
ステージ、レコーディング問わず使用。1st『人間失格』では100Wのオールドを使用。
8th『二十世紀葬送曲』発表時のギター・マガジン誌1999年5月号のインタビューでは「70年代製のマーシャルの50Wと100W」と発言している。
ツアー【二十世紀葬送曲】時の1999年5月2日の新宿リキッドルームの公演時のアンプは、マーシャル・リード・シリーズ1987(50W)。プリ管は12AX7 ×3、パワー管はEL34 ×2であった。2台用意し、1台は予備。キャビネットはマーシャルの1960TV。この他、アンペッグも予備に用意してあった。
1st『人間失格』で使用。0.09〜0.42のセット。
スーパースリンキー(ピンクのパッケージ)0.09〜0.42のセットを使用していたが、ある時期からハイブリッドスリンキー(蛍光オレンジのパッケージ)0.09〜0.46のセットに変更。97〜98年ごろのファンクラブ会報に使用弦として掲載されたのは、ハイブリッドスリンキーの方。
1音半下げチューニングの場合は、0.10〜0.52のセットが使用されている。
人間椅子オリジナルのピック。時期によってさまざまなタイプが確認できる。詳細は<画文情報:ピック>の項を参照のこと。
おむすび型のヘビーを、1st『人間失格』で使用。
極く初期から現在までステージ、レコーディング問わず使用。SGとならんで人間椅子サウンドを形成する重要なイクイップメントである。
いわゆる「ワウ・ペダル」で、ペダルの踏み加減によって音色を調節できる。赤ん坊の泣き声のようなサウンドから「クライベイビー」という商品名がついたと言われている。エリック・クラプトンなどの使用で有名。
「陰獣」「太陽黒点」のリフ、「針の山」「エイズルコトナキシロモノ」のソロなど、ワウ・ペダルの持つポテンシャルを最大限に生かしたプレイには、和嶋氏の非凡な才能が遺憾なく発揮されている。
97年末のツアー「歳末猟奇劇場」で使用を確認。
ジミ・ヘンドリクスの使用で知られる、最も歴史があるとされているワウ・ペダル。最近再生産されて、入手しやすくなった。「60年代後期から70年代初めのもっとも影響力のあるギタリスト達に使われたオリジナルのVOX Wah Wah Pedalの仕様に正確にもとづきつくられています」(VOX Wah Wah Pedal取扱説明書より抜粋)とのことだが、和嶋氏所有のものがこの再生産モデルかは定かではない。
購入時には、上履き入れ(ズック入れ)のようなソフトケースが付いてくるので、可搬性は高い。しかし、ACアダプタを使えるクライベイビーとは違い9V電池でしか動作しない上、電池の交換には4本のねじを外さなくてはならず、メンテナンス性は低い。
ステージで使用。
ギター交換のときに、シールドをぬく前にスイッチを踏み、電源を切らずに電流を止めるという便利グッズ。回路はリットーミュージックの「ハンドメイドプロジェクト」という本を見て作ったらしい。
ギターの音を人が話すような音色にするイクイップメント。ジェフ・ベック、ジョー・ウォルシュ(イーグルス)の使用で有名。
3rd『黄金の夜明け』の「審判の日」のギターソロで使用。同曲のライヴでも使用していたが、セッティングが面倒なのか、最近はワウ・ペダルで代用している。
自作のエフェクター。回路はハニー(ファズ)をコピーしている。弁当箱のタッパーを外箱に使用していることからこの名がある。ただしノイズが酷く、その後、余ったビッグマフのケースに回路が移植された。
5th『踊る一寸法師』の「モスラ」のギターソロでその音色が聴ける。
プレイヤー誌1998年7月号の連載では、計4台の自作ファズが紹介されている。この内、ダラスのファズ・フェイスをコピーして製作したものは、煙草のゴールデンバットのプレミアム景品の缶灰皿を外箱に使用している。
ツアー【二十世紀葬送曲】時の1999年5月2日の新宿リキッドルームの公演時では、朱色のケースに入った「ULTRA FUZZ」なる自作ファズを使用していた。
ディレイ(エコー)効果を得る。紫色の箱型。
他のエフェクターへの電源供給と、ギターからアンプへのラインの切り替えを行う。
和嶋氏は2個使用し、1個はチューナーの切り替え、もう1個はエフェクト/アンプ直結を切り替えているものと思われる。また電源供給機能はほとんど使用していないようだ。
チューナー。曲間などにラインを切り替え、ギターの調律を行う。
ギター → ボスのチューナー(多分TU-12) → ボス・パワー・サプライ・アンド・マスター・スイッチ(赤いやつ) → マクソン・アナログ・ディレイ → ヴォックス・ワウ・ペダル → マーシャル50W
ギター名 備 考 スズキ
ガットギター小学校6年の終わり頃、姉からのお下がりとして入手。
当時、Fコードがどうしても押さえられず、1フレットだけ自分で彫刻刀で削って、スキャロップ(帆立貝の貝殻のように、指板を凹上に削ることにより、弦を押さえる力を軽減させる。リッチー・ブラックモアのストラトキャスターが有名)にしてある。
今でも、実家の押入れにしまってあるらしい。ヤマハ
プレシジョン・ベース中学校に入り、ディープ・パープルの『マシン・ヘッド』に衝撃を覚え、一年間親にねだった末、中2のときに買ってもらったもの。ギターではなくベースにしたのは、自分の地味な性格を考慮したため。
高3の時に友人に売るまで、ピックアップの配線を変えたり、ピックガードを外したり、色をサンバーストからワインレッドに塗り替えたりと、いじりまくったらしい。グレコ
レスポールベースだけでは飽きたらず、中3の春に入手したギター。月々の小遣い、友人の宿題の手伝い、体操着のレンタル、修学旅行の餞別等で1万5千円のお金を作り、友人の兄から買ったもの。いやに軽いと思ったら、中がほとんど空洞で、まるでセミアコだったらしい。 トーカイ
またはヤマハ
ストラトキャスター上記のレスポールと交換に、友人から入手したもの。フロントとリアのピックアップをハムバッキングに交換する。 グレコ
レスポール
(ジェフ・ベック・モデル)上記のストラトと交換に、隣の高校のK君から入手(まるで「わらしべ長者」だな)。高校卒業時にはすでに手元になく、本人にも行方がわかっていない。 メーカー不明
ストラトキャスター7千円で購入。『マジカル・ミステリー・ツアー』時のジョージ・ハリスンを意識した、サイケ模様のものらしい。 グレコ
SG6万円で購入。ここから和嶋氏のSG人生が始まる。
トニー・アイオミ(ブラック・サバス)あるいはアンガス・ヤング(AC/DC)の影響かと思いきや、人が持っていなくて、当時人気がなかったからとのこと。しいてあげれば、ジョージ・ハリスンとエリック・クラプトンの影響であろう。
このギターが、のちにクリムトになる。
このページは、hideki ohwaizumi氏からの貴重な助言に基づいて作成しています。また、株式会社シンコー・ミュージック刊『バンド・スコア 人間椅子「人間失格」』、プレイヤー誌の和嶋氏連載「ハードロック・ギター講座」と、山口 玲氏からの貴重な情報を参考にさせていただきました。
使用ギターの外観に関しては、93年11月号のプレイヤー誌のインタビューに一覧写真が載っています。
間違いなどがあったら容赦なくツッコんで下さい。
「グレコ ミラージュ」「自作ペダルスイッチ」について、katsumi sugiyama氏から情報をいただきました。(97-07-13)
「その他のイクイップメント」について、hideki ohwaizumi氏から情報をいただきました。(97-07-27)
「グレコ SG」について、TAKAGI ☆ ASAGAYA氏から情報をいただきました。(98-01-04)
「弦」「その他のイクイップメント」について、おーたけ氏、rakuda氏、 TAKAGI ☆ ASAGAYA氏から情報をいただきました。(98-01-25)
「97年12月16日 渋谷ON AIR WESTでのセッティング」について、TAKAGI ☆ ASAGAYA氏から情報をいただきました。(98-01-25)
グレコ MR-1800について、TAKAGI ☆ ASAGAYA氏から情報をいただきました。(99-05-08)
1999年5月2日 新宿リキッドルームでの使用ギター、アンプ、エフェクターなど関しては、99年10月号のギターマガジン誌を参照しました。