ザシキワラシの話

福の神としてのザシキワラシ

 
長く続く家には、たいがいザシキワラシという小さな妖怪が住んでいると云われる。

この妖怪は、いわゆる福を呼ぶ神で、奥で子供が楽しく遊んでいるような声を聞くが、「あれ、子供がいるのか」などと家の者が出かけてみると、だれもいないという事があったり、また座敷で遊んでいたりするのをその家の子供が偶然見つけて、両親に言ったりするが、両親には見えなくて、「何を馬鹿なことを」などと言われるられたりするそうである。

岩手の遠野にはにはこんな話が残されている。

ある時、遠野の山口という旧家には昔から、女の子のザシキワラシが住んでいることで有名だったとか。ところがある日、近くの者が偶然にも橋の辺で、普段見かけないかわいらしい二人の女の子に出会って、
「おめだず、どっから来たのや?」と聞けば、

「山口から来た」と答えた。

そこでまた「どごさ、行くのや?」と聞けば、

「村はずれの、木村の家さ行ぐどご」と答えたそうな。

それから、少しして、すぐに山口の家では、商家で栄えていた主従20名が、毒キノコにあたって一晩で死に絶えて、7才の女の子だけが残ったそうだが、年老いて結婚もせず、とうとうその家は絶えてしまったとか。村では、口々に「ザシキワラシがいなくなったがら、山口家は絶えたのだ」と噂しあったそうな。

一方、木村家ではどうした訳が、家運が良くなって、造り酒屋などを営んだが、これが思わぬほど売れに売れて、とうとう村一番の長者になったとか。

それから、村の人々は、「おらえさもザシキワラシが来るように」とザシキワラシが入りやすいように奥の座敷に甘いお菓子を置いておく、習慣ができたとか。

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ザシキワラシが来るも来ないも、普段からザシキワラシが来やすい雰囲気をつくっていなければいけないということかもしれない…。佐藤
 

 


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2000.3.9