第2回「桑畑種まき桜賞」の発表



各位 様

この度は、桑畑種まき桜の和歌・俳句募集に、応募いただきまして本当にありがとうございました。選者の千葉徹夫先生が厳正に選考した結果、以下のようになりましたので、発表させていただきます。

応募総数は、38作品でした。
内訳は、和歌32作品。俳句6作品でした。


千葉徹夫選
 

特選 (源義経公を偲ぶ旅ご招待)
       

桑畑に着けば小川にはらはらと花散り行くも訳なくかなし 

木村素空 氏(東京都八王子市)
(選評)
桑畑に到着した実感を詠んだ歌とみた。そこには散りかけた種まき桜が聳えていて、その枝からは、エドヒガン桜特有の小さな花びらが風に乗って、小川に降り注いでいたのであろう。「訳なくかなし」がよく利いている。日本人にとって「かなし」は、単に「悲し」ではなく「哀し」も「愛し」など様々な「かなし」があることを教えてくれる名歌である。
 
 
 

一席 (南部鉄瓶)
 

桑畑の種蒔桜に集ひくる里人のみな優しかりけり       

佐藤玲子 女史(宮城県一迫町)
(選評)
花見時の歌であろうか。種蒔き桜が咲いたことを聞き、この桜のためにみんなが集まってくる。もうじき里では、田植時期になろうとするまさに刹那の一時を、皆里人がこの花の周りにわくわくしながら集って来る様子が見えるようだ。素直なよき歌である。
  
遠き地の 翁の桜の色に酔ひ 時の流れの尊きを知る

佐藤由里 女史(長野県上田市) 

(選評)
作者は、遠くの地から種まき桜を見に来た人物であろうか。しみじみとその距離を思い、同時に時間というものの尊さを感じたのであろう。特に「老桜」としたい所を「翁の桜」とした所に並々ならぬ歌人(うたびと)としての感性を感じる歌である。
 
桑畑の庭埋め尽くす桜人一日に酔いて民謡(うた)溢れ出す
佐藤忠然 氏(宮城県仙台市)
臨場感溢れる歌である。庭に集まった里人が年に一度の桜人となって花に酔い酒に酔い、そこに自然に民謡(うた)が次々と溢れてきたのだ。東北の民衆のエネルギーのようなものを感じさせる力のある歌である。
 
 

二席 (栗駒駒形漬け10袋)

 
見上げれば歴史しみじみ忍ばれる四百歳の花の生命は
安西洋子 女史(埼玉県浦和市)


目覚めれば有明の月窓越しに幽かに見えて花見の朝(あした)

遠藤久作 氏(宮城県仙台市)  
 
戦国の世に生まれ出て平成の今に生きてふ桜ありける
渡田純風 氏(神奈川県横浜市) 
以上


平成十三年七月一日

佐藤家当主
佐藤晃弥
選者千葉徹夫氏総評

今回の作品は昨年に比べ、応募作品は少なかったが、随分と水準が上がっており、びっくりしました。選者の立場としては苦しい選択でした。特選は二名ということでしたが、一作品とさせていただきました。受賞作品では、特に木村氏の作が印象に残りました。皆さま、今後とも、精進されて良き歌を詠って頂きたいと思います。

追記 尚、賞品は、七月二十日頃までに発送させていただきます。
 



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2000.7.1