各位 様 この度は、桑畑種まき桜の和歌・俳句募集に、応募いただきまして本当にありがとうございました。選者の千葉徹夫先生が厳正に選考した結果、以下のようになりましたので、発表させていただきます。 応募総数は、51作品。
特選 (くりこま荘にペアでご招待)
いにしえの農のこころを今に咲く老桜まもるひとの優しく(選評) 桑畑の種まき桜は、昔から農事暦の役を果たしてきたと伝えられている。みちのくの遅い春を待ちながら、沼倉の里人は、この桜が咲くのを心待ちにしていた。まさに種まきの時節というものを桜が教えてくれていたのである。そしていつしかこの木を、誰とはなしに「種まき桜」と呼ぶようになる。若木だった桜も、四百年の年月を経て、老桜となってしまった。それでも桜は、周囲の人々に見守られながら、懸命に花をつける。しかも今年は延年の治療まで施されて・・・。ほっとするような暖かい歌である。 一席 (桑畑特選青畑味噌三ヶ月分)
散り惜しむ桜に昭和遠くなり(選評) この句を取るには、勇気がいる。一読では、中村草田男の「降る雪や明治は遠くなりにけり」に似ていることもあり、新鮮味に欠けると、思われるからだ。しかし味わってみると、初五の「散り惜しむ」が効いていて、桜の花が何とも言えぬ儚さを以て散っていく情景が浮かんでくる。思えば昭和という時代は、戦争という悲劇と、そこからの復興の六十有余年であった。今その記憶が猛烈な速度で薄れ始めている。人は桜が咲く度に、昭和の時代を思い出すべきだ。二度とあのような悲劇が起きぬように。秀句である。 神酒含み桜大樹の木霊かな(みきふふみさくらたいじゅのこだまかな)(選評) 作者に依れば、この句は、種まき桜の花見会の折に、桜の幹(みき)に御神酒(おみき)が注がれ、た状景を、そのまま詠ったものだという。「みきふふみ・・・」という音の響きにも、心を癒される独特の感性が伺える。下五の「木霊(こだま)かな」が効いていて、大きな桜の景色が想像される。不思議な雰囲気を持った佳作である。 二席 (栗駒駒形漬け10袋)
語り部の昔噺を聞く桜人も桜も春に酔ひなむ 三浦 幹也氏(岩手県岩手郡)
素直な歌である。何の気負いもない。歌を難しく考えすぎると、返って混乱を来してしまう。
菅原隆雄氏(栗駒町下中山西風)
これも何の説明もいらないような素直な歌。
以上
以上、選者の千葉徹夫先生が選ばれた五作品と、以下の三首を「速日集」に収載させていただく事といたします。 満開の萬栄の桜散りゆけば迫の川に花筏浮く
佐藤家当主
佐藤晃弥
|
2000.7.1