新聞社にも淘汰の時代が来た!?
 今週の「東洋経済」(2010.2月20日号)の特集がすごい。何と「再生か破壊か 新聞・テレビ断末魔」である。

それでも、新聞とテレビ業界では、差異があるようだ。記事では、新聞社の方が問題が大きいと指摘する。その理由だが、テレビは、広告収入に合わせて番組作 りをすれば、収支を合わせられるが、新聞の方は重たい固定費があって、打開策が見あたらないとのこと。要はテレビ局と比べ、新聞社の図体は大きいというこ とになる。

確かにリーマンショック後、新聞社をめぐる経営環境は劇的に変化した。広告収入は急激し、活字離れ、新聞離れが、日本中で起こっている。特に3期連続赤字 の朝日の落ち込みは、ひどいようだ。朝日には、Jalで問題になったOBの年金問題があり、経営の重荷になっているともある。

すでに毎日は、純資産が81億まで縮小し、口の悪い人は、「半死状態」との声もある。これまで、日本経済の情報を満載して比較的経営状態が良いと言われた 日経も09年度は、戦後初の赤字に転落してしまった。

さてこの特集で分からないのは、読売について、渡辺会長の年頭挨拶をそのまま引用して「現在はほぼ無借金」として「対朝日で優位に」とちょっと臭い書き方 をしている。読売にももう少し突っ込んだ取材が必要と思うが、広告収入の落ち込みに歯止めが掛からない現実では、五十歩・百歩の違いと勘ぐりたくなった。 また日本の新聞経営のタブーとも言える「押し紙」問題(販売店に架空の部数を押しつけて実際の発行部数をかさ上げし、広告料高く設定している問題)の実態 が明かされたならば、新聞社の経営は更に厳しさを増すだろう。

さて、個人で考えても、新聞購読について、今時、毎日、新聞とはみ出すような広告紙がたまるような仕組みは、世界的なエコブーム時代の趨勢の中にあって、 そろそろ改善が必要だ。つまり紙媒体の無駄を無くすことは、時代の要請であり、新しいやり方を新聞社自身が、試行錯誤の末に創造して、社会にこれを提案す べきだろう。

もしそれができない場合は、クリエイティブなIT企業との提携やアマゾンやアップルなどと共同で、紙媒体に変わるデジタル媒体(キンドルやiPad)によ る情報提供の仕方を模索すべき時期だ。

現行の大新聞の経営者にとって、記者時代からの愛着も手伝って、なかなか紙離れから、デジタル媒体への以降を志向できないかもしれない。はっきり言わせて もらえば、そのような時代感覚しか持ち得ない経営者陣は総退陣すべきだ。ともすれば、大新聞は第三の権力とも呼ばれ、世の中の世論は、自分たちが形成して きたとの自負があると思う。しかし既に新聞社というビジネスモデルは時代に合わないことを自覚しないと、本当にJalと同じ運命になる可能性があると断じ ておきたい。

2010.2.17 佐藤弘弥

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