桜さま ざま (11) 

千鳥ヶ淵の桜

大 戦で亡くなった300万の御柱が眠る墓の桜



千鳥ヶ淵の代表的景観
(08年3月28日 佐藤弘弥撮影)



人の花・桜も花



千鳥ヶ淵から北の丸公園方向を撮る



首都高の喧噪を和らげる桜の木々

千鳥ヶ淵に向かう。正式に言え ば、ここは「千鳥ヶ淵戦没者墓苑」という。海外にある無名戦士の墓のイメージはあるが、 少し違うような気がする。ともかくここには、海外で亡くなった戦争犠牲者300万人以上の御霊が納められているという。膨大な人々が、政治家と軍人たちの 誤った 政策の犠牲となって亡くなったのである。

今この千鳥ヶ淵で、私たちが毎年桜の花見を出来るようになったのは、罪もなく戦地に送られ、銃弾や爆弾の飛び交う中で、命を落とした人々の恐怖の戦争体験 があることを忘れてはならない。

お堀にボートを浮かべている若いカップルの幸せそうな微笑みを見ているうちに、愛する人を戦地で亡くし、その遺骨すら帰らずに、一生を終えたご婦人たちが 多くいたことを思い、桜の美しさがかえって切なく思われたのだった。

 花の頃、戦知らずの 若者の笑顔晴れ晴れ非戦を誓う ひろや



2008.3.28 佐藤弘弥

義経伝説
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