マックの躍進とインド文化のテイスト

マック(アップル)の新しいiBOOKを手に入れた。何も見ずに直感的に使えるものかと、白い扉を開いた。 マックのノートは初めてだが、結構使える。キーの配置など、少しとまどいもあるが、どんどんと使っていると・・・。

マックの創始者のスティーブン・ジョッブズの感性を、何となく感じた。彼は若い頃、ヒッピーの格好で、世界中を放浪して歩いたらしい。特にインドは好き だったようだ。インドの文化は、多神教の文化である。至るところに神さまがいて、いつの時代も聖者と呼ばれる人間が現れ、命を投げ出すような修行者がいる 国である。

インド哲学があり、今日の功利主義とはまったく相容れない一見無価値無意味とも思われるような難解な思考を古い時代から行ってきた。それがインド社会の後 進性につながってきたということも事実だ。

誤解を恐れずに言えば、私はスティーブン・ジョッブズの思考に、インド哲学の非功利主義を感じる。売るための細工は、最小に押さえて、ユニークな信念に基 づいた経営を貫いてきた。我が道を行きながらも、一時期マックはほとんどウインドウズに駆逐されてしまうかに思われた。しかしどっこいマックは生きてい た。一部の熱狂的なマック愛好者支持を支えに生き残り、今またipodの成功を切っ掛けとして、再びマックの反攻がはじまった。

8月4日に、日本でもやっとはじまった音楽配信サービス「アイチューンズ・ミュージック・ストア(iTMS)」の売り上げは、わずか4日間で、百万件を突 破した。既に全米では、一昨年(?)にはじまっていたが、日本では大幅に遅れた。その原因は新規産業を認めたがらない日本の商慣行だ。しかしはじまってみ れば、ipodのブランド力は圧倒的で、日本のソニーを始めとする配信サービス会社を短期で大きく引き離しそうな勢いだ。

今見る限り、ソニーは、マックの敵ではなくなった。ソニーはマックのイマジネーションの前に為す術をなくしているようにも見える。それにしてもたかが、 ipodは、ハードディスクに過ぎないのに、これにマックが味付けをすると魔法の音楽ツールに変化する。

今後のマックは、ネットワーク社会の進展を見据えた音楽配信サービスで、まったく別の企業に変わって行く可能性がある。このままマックは一ハードメーカー から万華鏡のごとく瞬時に彩りを変える21世紀型の情報発信会社に進化してゆくのだろうか。

確かに情報ツールとしてのipodとマックコンピューターの融合には無限の発展性がある。天才スティーブン・ジョッブズが紡ぎ出す世界は、あたかもインド 哲学の粹とも言える曼荼羅のようなイメージに見える。しかもその曼荼羅の色は目映いばかりの白色だ。

もう売らんかなのビジネス時代は終わった。己のイマジネーションの内的発展を第一義に経営しているかに見えるマックの躍進に、私はジョッブズの若い頃のイ ンド哲学の洗礼が生きているように感じる。



2005.8.10 Hsato

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