小笹で滋養を!



 

久々の「小笹」ネタである。

どうも気候がはっきりしない。このままで行くと冷夏になる可能性だってある。米だって冷害で獲れないかもしれない。それにしても恋と一緒で天候というものは、人の思いの通りにはいかないものだ。晴れるかと心持ちにしていると又今日も、ナメクジが紫陽花の葉をぬるぬると得意満面で行き過ぎるような天気が続いている。 

こんな時には、体調を崩しがちだ。暴飲暴食は避け、滋養をつけるのが一番と、N
氏K氏と共に天候よりも遙かに頑固なオヤジの待ち受ける小笹寿司に向かった。

頑固で名を馳せた小笹の親父さんも今年で7*才。少し頑固にも老いの翳りが・・・等というと叱られるかな・・・。確かにタバコの本数もめっきり減った。

まあそれでも生来の頑固は相変わらずで、K氏が、厚手のスーツを脱ごうとしないのを、見て一言「暑苦しくて、見ちゃーいられねえなあ」と吠えたものだから、K氏はすごすごとこの服を脱ぐ羽目となった。 

親父さんの向かいに若い男女が座ろうものなら、妙に頑固のテンションが上がって、まずは若い男が血祭りにあがる。 
「どうも、最近の人は、ハムレットで見ちゃいられない。オフェーリアが待っているよ。悩んでばかりいちゃーしょうがねえなあ」 

そこで「ではお任せで」と答えようものならば、不決断のハムレット氏は最悪の事態に陥る。 
「あのね、うちには、お任せはなし。ほらあそこにネタ札があるでしょう。あれを見て注文するの。それからあそこにはないけど、マグロはあるからね。」 

次には、醤油のつぎ方。 
大体、小笹では、握りでは、ほとんど醤油を付けることがないから、摘みの場合に、ちょっと付けて口に運ぶことになるので、付け皿の中央に少し添えるように垂らすのである。 
多く付けようものなら、「醤油、入れすぎ、美しくない。不気味だね」と来る。 

さらにワサビを醤油に溶こうものなら、すかさずギロリと目をむいて攻撃がくる。 
「ネタにさっと付けた方がいいね。うちは生ワサビだから、その方が風味がでる。」 

とまあ、こんな感じで、若いカップルは、まず初めは、説教を受けながら、汗まみれになって、食べることになる。でもそれでいて、ちっとも嫌味にならないのは不思議なほどだ。まあ頑固さもここまで来ると芸術だ。などと思ったりもする。こうしてやみつきとなる連中も多い。何を隠そう私自身が、親父さんの度重なる頑固の洗礼受けて通うようになった一人だ。

そんなことを思いながら、穴子の寿司を口に運び、冷酒をいただき、ウイスキーを少々と。小笹の寿司を味わってきた。それにしてもあの若いカップルは再び「小笹」に来るだろうか。小笹寿司よ、永遠に。佐藤
 

 


2002.7.8
 

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