源義経公鎮霊祭御挨拶
本日、源義経公の八百十年の命日に当たり、只今鎮霊碑(みたましずめのいしぶみ)が建立され、鎮霊祭が氏子総代をはじめとする崇敬者の皆様の御参列を賜り、更に遙々奥州栗駒の里より、有志代表菅原次男様ほか四名の皆様の御参向のもと、真心に支えられ最も厳粛のうちに滞りなく斎行されました事は、古代ゆかしい伝統漲る神社の宗儀と申すべき慶祝の念を深くかみしめ茲に神社の面目を一新された事は、誠に有難く歴史的慶びこの上ない処でございます。

今日の源義経公鎮霊祭に付きましては、去る三月二十一日、宮城県駒の湯で知られる「くりこま荘」の主人菅原次男様が初めて神社参拝に参られた際に、義経公の栗駒伝承を伺い知る事が出来、そこで本年は義経公没後八百十年に当たるので首と胴体(なきがら)を合わせ祀り鎮魂のお祭りをしたら如何なものかとの呼びかけが機となり、本日六月十三日の義経公の命日に鎮魂祭が斎行されまし事は誠に感慨無量でございます。

勿論早急なお話だっただけに白旗神社宮司といたしまして受け入れ態勢について又七月には当社の例大祭を控えていた時だったので実の所迷って居りました。その矢先、白旗神社氏子総代会会長西山栄一様と日頃親しくなされて居られる歴史と文化財を守る「藤沢宿を語る会」会長の平野雅道様がいらして下さり、平野様が既に栗駒に足を運び義経伝説の裏付けとなる貴重な資料を研究されておいでであるとのお話を伺い、宮司も出来るだけの準備をする決心を固めた次第でありました。又、西山会長には早速の臨時総代会に諮って頂き満場の御賛同を得ることも出来ました。

お陰様で大神さまの御神徳に肖り準備は全てとんとん拍子に運びました。碑の石はもともと神社にあって大事に保管して居りました石を見つけ、まるで今日の為に保存していたかのようで大変役立ちました。それから平子石材工業の平子貞二社長様に碑の石の工事を快く引き受けて頂きまして、今日の期日までに全力を挙げて見事に完成させて頂き本当に心から感謝申し上げます。そして鎮霊碑の称号には氏子の住人であられ敬神の念厚い榛葉竹圃先生に白羽の矢を立ててお願いを申し上げた処、こちらもまた快くお引き受けいただき見事な真筆を頂戴いたすことが出来ました。

誠に感激でございます。竹圃先生は大日本書道芸術委員参与及び審査委員に選出なさられ、又大日本書道家連盟の常任理事、更には藤沢市書道家協会相談役も兼任いたされるなど、実に権威ある先生の真筆を頂きこの上ない誇りであります。

今日のこの慶びは本日御列席頂きました皆様一人ひとりの真心に支えられ、斯くも盛大に鎮霊祭が執り行われました事に謹んで満腔の敬意を表し、宮司挨拶を申し上げます。

 平成十一年六月十三日

藤沢市白旗神社宮司  近藤  正


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