原発存続国家日本!?

 
 

さっぱり日本のマスコミは腰を入れて報道しないが、ドイツが国家として原子力発電を将来全廃することを決めたことは日本にとっても極めて重要なニュースだ。

何故なら、ドイツも日本も、戦後一貫して原子力発電の必要性を国家規模で強力に推進してきた「原発国家」だからである。現在全発電量に対する原子力発電の比率は、日独共に三割を越えている状態だ。しかし世界的に見て、八十年代に起こったアメリカのスリーマイル島での原発事故並びに旧ソ連でのチェルノブイリ事故を通して、原子力発電の危険性が次々に指摘され、しかも原発によって発生する核廃棄物をめぐる問題では、現在その再処理については、世界的にも引き受け手がないようなひどい有様になっている。云うならば、原発は、世界の厄介者なのである。

日本でも原子力船「むつ」がすったもんだの挙げ句遂に廃船となり、最近では戦後「原子力の村」として脚光を浴びてきた茨城県の東海村が、昨秋の原発事故をきっかけとして、町のシンボルであった「原子力の村」という大きな看板を撤去するということになった。

二十年程前、原子力に反対する住民達は、国と電力会社に向かってこう言い放ったものだ。

あなた方が、原子力というものを、そんなにも大丈夫、安全と言うならば、東京の永田町か霞ヶ関にでも発電所を建てたらどうですか?

確かにそうだ。まさに原子力は安全ではなかった。
あの時の通産省や科学技術省の官僚達や電力会社の自信に満ちた発言の思い出すと、知らないのによくぞ、ここまで言うか、と腹が立ってくる。あの時の、彼らの意見の中心にあるのは、

資源が枯渇してくるので、石油や水力だけには、頼れない。どうしても原子力が必要」という一点であった。また推進派の評論家は、「人類は科学の発展という面では常に危険なモノを手にしてきたが、科学の英知によって、それを安全なものに代えてきた。だから原子力でも大丈夫…。」と、極めて楽観的な見解だった。

しかし二十年経って、それが、極めて危険な選択であることがはっきりとした。

原発廃止は、現在世界的な流れとなりつつある。最近では、アメリカのクリントンが、他国であるチェルノブイリの発電を永久に廃止するために、資金を拠出することを約束して、いよいよ世界的に原子力発電廃止の方向が強まっていた。強力に原子力発電を推進してきたアメリカ、フランス、カナダ、スェーデンなどの国が原子力を永久的に放棄する方向を決定、あるいは模索中である。

今回のドイツの決定は、そうした原発撤廃の世界的な流れの中で起こったものである。いつもスピードある対応ができない日本の指導者層の無責任な対応によって、日本は原発廃止の面でも、先進国の中でも一人取り残された国となった。最後に取り残された原子力発電存続国家日本。実に情けない姿だ。佐藤
 


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2000.6.16