用語解

足軽肝入(あしがるきもいり)足軽組頭のこと。寛文頃までの呼称で、元禄頃は小頭、後世には組頭と呼ばれた。
 
居懸り(いがかり)その地に居住していること、又はその場に居合わせること。
 
起目(おこしめ)新田開発によって新たに高結いされた耕地。

外人屋(がいじんや)幕府の役人、他藩の大名又はその使者の宿舎にあてた建物のこと。仙台では国分町にあり、外に領内の所々に設置されている。外人馳走役と呼ばれる役人がここで接待に当ったものである。

買夫(かいぶ)藩の費用で雇われ、仙台又は江戸に上って使役される人夫のこと。買夫一人につき一両二歩を支給されるが、大方は支度料に費消されるので、希望者がなく百姓の痛みになると云われたものである。

隠道(かくれみち)抜道又は間道のこと。

加人馬(かじんば)助郷に相当する語。但し助郷以外にも藩の作事方御用材の運搬に人馬が不足した場合、近郡又は領内の各郡に割当てさせた人馬をも加入馬と云っているので、広くは公用の交通・運輸に不足の人馬を補うため、附近の村々から、助合いに出役することと解釈される。このうち、人足又は馬だけの出役をそれぞれ「加入足」「加馬」と云った。訓み方は「加入馬」を「過人馬」と記した例によって音読したと思われるが、「加馬」を「加へ馬」と記した例もあるので、この場合は「くわえうま」と読んだことも考えられる。

仮屋(かりや)藩主又は大身家中の別荘のこと。

給主(きつしゆ)組士の一種。仙台城下居住の者と領内の要衡に配置された在郷給主とがあり、後者は大身の家中に配属されて御預給主と云われた。

古散田(こさんでん)百姓の無行衛・死亡・退転・沽却・欠所等によって残った土地を散田と云うが、特に天保の飢饉によって増加した散田に対し、以前の天明飢饉の時から散田となっている土地を古散田と称した。

策媒 仲裁又は調停すること。策配とも書く。

宿老(しゅくろう)代々家老となる家柄、職名のこと。直接藩の行政にはたずさわらないが-特に奉行を兼務する場合を除き-一門・一家・一族に関することを掌り、これらに対する触れ書はすべて宿老から出される慣例であった。藩政中期以後、宿老の家は遠藤・但木・後藤の三氏ときめられている。

定仙(じょうせん)職務上の理由等により、藩士が自分の知行所に居らず、仙台に定詰めすること。

大身歴々(たいしんれきれき)大身とは三千石以上、歴々とは一家一族を指すという延享四年の定がある。従来、高禄又は由緒ある家柄の者という程度の意味に使用されたものが、この時明確に規定されたものであろう。但し必ずしも右の意味通りにこの語を使用したとは限らない。

近川切追放(ちかきかわぎりついほう又はちかかわぎりついほう)追放刑の一つ。三本木川(現在の鳴瀬川)以北又は名取川以南へ追放する刑。寛保以後発止となる。

地肝入(じぎもいり)知行を所持する侍から年貢の収納や知行地の管理を委任された者。一村一円の知行地では、村肝入が私的には地肝入を兼ねるのが通例である。

丁切根(ちょうぎりね)城下町の中で、町と町との境界の場所を云う。

(つぐない)都又は村によって賄われる費用のこと。郡費は「御郡償」又は「一郡償」と云い、大肝入が郡内に割付けて取立て、村費は「御村償」又は「一村償」と呼ばれ、肝入が村内に割付ける。

遠川切追放(とうきかわぎりついほう又はとおからぎりついほう)近川切追放よりも重い追放刑のこと。一迫川以南の者を北上川以北へ、北の者を阿武隈川・宮川(現在の白石川支流松川)以南へ追放する刑。

床頭(とこがしら)給主組又は足軽組の内で、十人前後の支配頭のこと、これらの組では最下級の支配頭である。

所拝領(ところはいりょう)拝領知行地の種別による藩士の格式の一種。要害・所・在所・在郷拝領の別がある。そのうち町場拝領の者、又は町場の拝領がなくとも、特に「所」を与えると云われた者、更に自分の居屋敷と家中の侍屋敷・足軽屋敷及び山林を拝領した者が、「所拝領」の家格とされた。この外「要害拝領」とは、特に軍事上の要衡として、近世以前の城を屋敷に拝領した一門以下高禄の藩士がこれに当る。「在所拝領」とは、山林はなくとも家中の侍屋敷・足軽屋敷を拝領した者を指す。

野合(のあい)野原のこと。

判肝入(はんきもいり)各種営業の等級を調査し、鑑札の配付や税の取立等を行う者。宿駅毎に二、三名ずつ置かれた。

引張り(ひっぱり)事件の連累関係者のこと。

閉戸(へいこ)侍の隠居及び部屋住の者に対する刑罰の一種。侍の閉門に相当する刑。但し部屋住は自分の門を持たないので、戸を閉じることから起るという説がある。

平伏之御目見(へいふくのおめみえ)閉門・蟄居・慎等の刑を赦免された者が、藩主他出の途に出て平伏頓首することを云う。これを行わないうちは、番を勤めることが出来ない仕来りであった。又閉門の如きは二度の平伏之御目見をすることになっている。

卯時(ぼうじ)小使又は手伝人足のこと。「ホウチハ今卯時ト書ス人足ヲ云フ」(『義山公治家記録』)と説明があり、語源は卯時すなわち午前六時から使役されるからとも云われている(『浜萩』)。郡方役人の廻村及び諸役人の領内出張の際に使役され、郡又は村の費用で賄われる。又身役の代りに徴収される金を卯時金と云った。

凡下(ぼんげ)家中のうち組士の下にある旗本足軽等約二十九種の組組織に入る者の総称。

枕博士(まくらはかせ)藩主又は領主の祈祷に当る修験のこと。

催合(もあい・もやい)藩士間相互の経済扶助制度の一種。禄高に応じ一定の米を積立て、江戸参勤又は出張の時に身分に応じ旅費を支給する制度。

貫文(かんもん)中世に於て、軍役賦課の単位。
  仙台藩では、年貢賦課の基準を表示する単位として用いられ、米十石に相当する生産高を一貫文と定めた。例令ば田代八十三貫、五百八十文は、八百三十五石八斗の高を示す。

修験(しゅけん)修験道の行者、山伏とも云う。

組士(くみざむらい)下士にして、徒小姓組、徒組、鷹匠組、不断組、給主組の各組に属し、この外番外士がある。

折懸堂形(おりかけどうがた)京都の三十三間堂になそらえた片庇の建物で遠矢の稽古場、仙台では貞享年中片平丁に創設された。

長床(ながとこ)神社正面前方にある割拝殿。

虚無僧寺(こむそうてら)普化宗の寺。虚無僧は有髪の僧で天蓋を被り、袈裟をかけ尺八を吹いて諸方を行脚する。

肝煎(肝入)(きもいり)町村毎に任命され、年貢や諸上納、戸籍、土木、諸作事、その他民政を司った人、有力なる百姓から採用任命された。今の村長の様な職分である。

大肝入(おおきもいり)各代官管轄下の数区域毎に一名ずつ置かれ、代官の命をうけ、所轄管内各町村の肝入・検断を支配し、行政・司法警察等の管理に任ずる役人。庶民の有力者から選任される。

武頭(ぶかしら)物頭のことで、足軽の隊長をいう。侍大将とも称す。

境目足軽(さかいめあしがる)他藩との境目の関門を警備し、又交通を取締る足軽。

社人(しゃにん)神社につかえる神職。

延喜式神明帳(えんきしきしんめいちゃう)延喜年間、醍醐天皇御代編輯されたもので、当時の全国神社名が記載されている。

法印(ほういん)修験者(山伏)の別名。また江戸時代には、武家時代の僧の称号に準じ、法印、法眼などと、連歌師、医師、画工、彫金家に与えた地位。

屋形様(やかたさま)仙台藩にて、士民の藩主に対する尊称、但しこの称は、元禄以後に多く行われた。

役小角(えんのおづぬ)役の行者ともいわれる。文武天皇の頃、葛西山中にて修行して、金峯、大峯などを開き、修験道となった。
小角は、舒明天皇の六年正月元日大和国葛城上郡 原村に出生した。紀元一、二八九年。七歳の時から仏法を信じ、三十歳の時、葛城山の岩窟に入り、三十年間孔雀明王の法を修行した。文武天皇の時、連広足なる者彼の妙術を妬んで天皇に讒訴し、伊豆の大島に流刑に処された。

諸色(しよしき)いろいろのものという意、主として物価などの場合に用いる。

(えき)ウマヤと訓む。宿場のこと。交通の設備として人馬の継立、宿舎、食料の供給をなす所。

上金(あげきん)金を藩に上納すること。

知行(ちぎょう)土地、人民を支配すること。

素年貢(すねんぐ)米や大豆の年貢を免除され、少額の銭を納め、多くは藩に上金して素年貢となる例なり。

持高(もちたか)所持する田畑の貫文高をいう。

金二百切(きんにひゃくきれ)仙台では金壱歩のことを一切という。壱両の四分の一であるから、二百切は金五十両に当る。

御国表(おくにおもて)大名の領国をいう。例えば江戸表に対して仙台を指して、御国表というが如し。

用人(ようにん)武家に於て出納、雑事に当った職名。伊達家は他藩に出す書状に使うときは、出入司のことを用人と書く例あり。又一門以下にて家老を用人と称することもある。

寺領(じりゃう)寺院の領有地。

御成(おなり)領主、藩主の他行をいう。

徒組(かちくみ)徒歩にて主君に扈従する士の意味から来たもので主君の他行に随って警固し、又は評定所関係の役も勤めた。仙台藩では歩組とも書いた。

御竿答(おさをこたえ)田畑検地の際、名儀人になること。竿を用いて面積をはかったのでかくいう。仙台藩では竿の長さ一間を六尺三寸とした。

検断(けんだん)町場や宿駅に置かれ、駅内の取締、藩主及諸士通行の際、人夫田馬継立を周旋した。諸荷物を他村に■送するには、検断の検査及送状を要し、脱石米を取締り、駅内諸届願を大肝入に進達する職分で、一ヶ年一貫を給せられ外に所有地一軒、他の伝馬役夫を免除せられた。

田代畑代(たしろはたしろ)田畑の貫文高。

御蔵入(おくらいり)藩主の直轄地。

御給所(ごきうしょ)藩士の知行地。

人頭(にんとう)戸主。

沽却禿(こきゃくつぶれ)年貢諸上納金未納のため、家屋敷を、願の上公売されてつぶれた者。

名子(なご)表百姓に隷属する農民。

水呑(みずのみ)田畑を所有せぬ貧農を水呑百姓という。又水呑とは散田作子、手間取渡世をいうとも別書にあり。

御村渡世(おむらとせい)村民の生計をたてるための仕事。

品替百姓(しなかわりびゃくしょう)藩に勲功があったり、献金をしたり、或は名家の子孫であったりした時、特別な待遇を与えていた百姓。

改易(かいえき)士分以上に科した刑罰で、其の身分を除き、家禄を没収すること。

片瀬片川(かたせかたかわ)境界になっている河川の水利及漁業権を半分宛に分けること。

入合(入会)(いりあい)山林、原野、池沼などを村部落民の共同で使用すること。

用水溜高(ようすいためたか)用水池により灌漑される田高。

道法(みちのり)道程、里数をいう。

端郷(はしごう)一村として公認されない村、別に枝郷という。

百姓前(ひゃくしょうまえ)百姓名義の耕作地。

奉公人前(ほうこうにんまえ)家中名義の耕作地。

宿役(しゅくやく)宿駅で労働を提供すること。

宿継(しゅくつぎ)宿場から宿場へ荷物を取次ぐこと。

本荷(ほんに)馬一疋に積む荷物の量。米なれば二俵。

軽尻(からちり)本荷の半量。

賃夫(ちんふ)賃金で雇われた人夫。

大道(おおみち)大道一里は三十六丁、小道一里は六丁にして、又田舎道ともいう。

出入司(しゅつにうつかさ)藩の財政及民政を司る職。

諸上納(しょじょうのう)種々の物を納めること。

代数有之御百姓(だいすうこれあるおひゃくしょう)幾代も続いた由緒ある百姓。

組頭(くみがしら)村に於て百姓五人組の頭

跡式(あとしき)家督となり家を継ぐこと。

御役川(おやくがわ)漁のとき税金のかかる川。

本陣(ほんじん)宿場にある諸候の宿泊する所。

入料(にゅうりょう)かかり、費用。

地頭(じとう)知行地を持つ侍。

郡司(ぐんじ)郡奉行ともいう、仙台藩では封内を南方(名取、柴田、刈田、伊具、宇多、亘理、宮城、宮城国分)北方(黒田、加美、志田、玉造遠田、栗原、宮城高城、
桃生、深谷)中奥(栗原、登米、磐井流、桃生、本吉南方、牡鹿)奥(西磐井、胆沢、江刺、磐井東山、気仙、本吉北方)と区分して、郡司を置いた、主として郡村の民政を掌った。

譜代(ふだい)先祖代々に亘って、仕官している家筋。又高家の番頭や、百姓の場合にも用いる。

御陣賦(ごじんくばり)軍事の陣立。

永知行(えいちぎょう)永代の知行。

代官(だいかん)郡奉行の下で民政を司り、主として年貢の徴収を行った役人、一郡乃至数郡に置かれた。

板判(いたばん)板製の鑑札、判紙に対して板判という。

勘定奉行(かんじょうぶぎょう)出入司の下にあって財政を司る役人。

具足(ぐそく)近世の鎧で、中世の胴丸より発達した江戸時代の鎧の一種。

鑑主(かんしゅ)又看守、看主ともいう、神社仏閣の管理者。

御札場(おふだば)城下町或は、宿場町に制札を掲げて置く場所。

小姓組(こしょうぐみ)領主側近の用件を掌る組。仙台藩は専ら小姓の字を用いた。

在所替(ざいしょかえ)知行地を替えること、所替ともいう。

金山下代(かねやまげだい)金山本締の下にあって、鉱山経営の任に当る役。

除地(のぞきち)年貢を免除された土地。

極帳(きめちょう)年貢小役を百姓に割りつけた帳面。

おかいぼ取り(おかいぼとり)小用たしのことなり。

(れん)双生児のこと。

■ 仕(じょうじ)堂内の雑用をつかさどる役僧。
 

〔用語解は宮城県並びに高橋金蔵著「姫松村誌」から借用転載させていただいた〕



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2003.3.27
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