蓮たちの夏
世田谷の古寺圓乗寺に咲く古代蓮

古代蓮

(07年7月12日 佐藤弘弥撮影)


今年も蓮の咲く頃になった。世田谷の圓乗寺に行くと、大輪の蓮が見事な花を結んでいた。

蓮はインド原産の花である。古代蓮と呼ばれる大輪の蓮が咲く風情はたとえようもないほど美しい。蓮は仏教でも、大切な花であり、法華経は、「妙法蓮華経」 (正しい教えの白蓮)とも呼ばれる。

蓮の姿は人の心に喩えられる。人は心に蓮の華が咲くのを思い、無念無想すれば、たとえ泥の社会に生きている私たちでも、大輪の蓮のように凛として生きるこ とが叶う。

世の中には、さまざまな俗なる誘惑がある。蓮は、その根を泥の中に這わせ、天に向かって背筋を伸ばして咲く真なる花だ。俗なる穢れの世にあって、心に蓮を 念ずれば、私たちもまた蓮のごとく生涯を貫く眞なる心を得ることが叶う。

次々と咲き、そして散りゆくその姿を見ていると、人の生き様と重なって、涙が零れた。


 物言わ ぬ蓮にひと言声掛けて写真撮るなり梅雨空も泣く



(07年7月12日 佐藤弘弥撮影)

2007.7.12 佐藤弘弥

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