役者デカプリオの才能?

 

映画「タイタニック」で大人気の俳優レオナルド・デカプリオが、最新作「ビーチ」のプロモートのために来日した。相変わらずの人気で、報道陣が800人も集まったというから、驚きである。

そのデカプリオが、キャスター筑紫哲也の「一番気を付けていることは?」という質問に答えてこういった。

「精神のバランスを保つことです」

「それは何故?」

「今、頭がおかしくなっている人多いじゃないですか。前は普通だったのに、いつの間にか、変になったりしている人」

この答えに非常に興味を持った。きっとこのデカプリオは、周囲の様々な派手な生活をしている大スターたちの多くが、急に頭が変になったような言動を吐いたり、行動をするのを目の当たりにしていて、自分はそうなりたくない。そのためには、精神のバランスを大切にして生きなければ、と考えているのだろう。

このデカプリオという俳優は、子供の頃から、天才子役と言われて登場した役者だった。多くの先輩俳優が、彼の自然な演技を高く評価し、あれよあれよという間に、大スターとなった。おそらくこのデカプリオだって、頭がおかしくなるほどの忙しさの中で、成長してきたに違いない。世の中では、「タイタニック」という映画を評価しているようだが、私は、映画「タイタニック」は、彼の感性を生かし切れていないように思う。それよりは、タイトルは忘れたが、天才詩人「ランボー」役を好演して、先輩の詩人ベルレーヌを破滅に追い込む独特の演技を見せた方を評価したい。

その感性のきらめきというものを売りにしてきたデカプリオにも大人の俳優への脱皮する時がやってきた。

これまで、多くの映画監督や映画評論家が、彼を評価してきたのは、演技のうまさというよりは、彼の中に潜在する感性そのものだった。歴代彼の感性に近い俳優といえば、あの永遠の青春スターと言われるジェームス・ディーンかもしれない。彼は「エデンの東」や「理由なき反抗」など僅か数作の映画を残して、あっという間に逝ってしまった。しかも彼の死は、恋人に振られた挙げ句、愛車のポルシェで激突死という衝撃的なものだった。その時、彼は24才だった。現在くしくもデカプリオも、ジェームス・ディーン同じ年代を迎えている。

確かに俳優の感性というものは、映画を見る者が、何となく感じるものであり、いつデカプリオだって、まるで感性を感じない俳優にならないとも、限らない。あえて云えば、俳優の感性に見える部分は、花であり、花が無くなれば、たちまち世の中から相手にされなくなってしまうのである。果たして、精神のバランスを考えるだけで、デカプリオという俳優が、更に飛躍して、文字通りの名優となれるだろうか。「いい歳を重ねて、色々な役ができるようになりたい」そのデカプリオの言葉を頭に置いて、しばし彼の生き様を見せてもらうことにしよう。さてデカプリオは、本物の花か、否か。佐藤
 


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2000.4.17