[Win]ラブ・ネゴシエイター レビュー


【暫定評】

 私はベタ惚れなのですが、色々な意味で広くお薦めすることができません。そうですね、

  1. らぶらぶで幸せなエッチしか見たくない人
  2. 恋愛要素等のシナリオの主題にこだわる人
  3. パロディネタや不条理系ジョークで笑えない人
  4. ゲームにも倫理感を要求してしまう人
  5. ゲーム内のさりげない主張を軽く受け流せない人
  6. 本題ではない部分の作りにこだわってしまう人
  7. お手軽に遊ぶためすぐに攻略ページを見てしまう人

 上記の項目に少しでも思い当たる節がある人は、真の意味で、このゲームを楽しむことはできないと思います。あと、パロディネタの内容からして、30 推臭いです(^^;

 ここからはゲーム構造の話を。このゲームは、一見、選択肢選択による一本道なストーリーのアドベンチャーゲームに見えます。ですが、特定のフラグが設置されている選択肢があり、それを選択することにより、追加エピソードを見ることができたり、追加選択肢が発生したりします。これらによって、後の話で登場する人物に、あらかじめ会っていることから、途中のシーンが微妙に変化したり、本来出ないはずの選択肢が出現したりします。これらを、シナリオ制御を一切使わずに行っているため、プレイ方針によって、そのプレイで見ることのできる内容がだいぶ異なってきます。

 このことから、回数を積んでいる人が見れてないシーンを、一回目でサクッと見れてしまったりする可能性が高いため、ネタバレを意識するのであれば、納得行くまでプレイするまでは、進捗以外の他の人の記述を一切見ない方が良いかもしれません。また、全てのシーンを見るのは、非常に困難でしょう。

 最後に、このシナリオ構造をして、シナリオ不整合を見受けられない作りになっていることに感服します。本筋のストーリーはおいといて、シナリオ構造とそれを影で操るフラグ管理の周到さや複雑さを考慮すると、今年下半期ベストの 18 禁ゲームに確定したように感じています。

 追記。バグについてですが、今のところ発見しているのは以下のものです。

  1. ゲーム内 OP ムービーに音声がつかない
  2. 名前表記のところが数値になることがある
  3. シナリオによっては、テキストフォーマットエラーが発生する
  4. とあるシーン再生において、CG が表示されない
  5. おまけのネゴバトル十二番をプレイすると途中で強制終了する
  6. とあるキャラとのネゴバトルに負けると第一話に飛んでしまうので、CG が 2 枚回収不可能(←失礼。CG 回収できます)

 まあ、バグといってもゲーム進行上致命的なものがない(おまけを全部埋められる)というのは、ライアーとしては奇跡に近いです(マテ)。作りの複雑さから考えると、プログラム的にも、かなり進化したんじゃないでしょうか。

【システム】

 システムについて触れるのを忘れてました。良くできているというか、プレイヤーのことを考えて作られていると思います。実装されているのは、

  1. 設定は、ウィンドウサイズ、BGM ON/OFF、効果音 ON/OFF、音声 ON/OFF、画面効果 ON/OFF、メッセージ速度、未読スキップ ON/OFF
  2. 選択肢までスキップ(ただし既読管理されているので、未読部分では止まる)
  3. 直前の選択肢まで戻る(エピソード選択に失敗したときも選択画面に戻れる)
  4. バックログ(バックログ操作はホイール対応)
  5. おまけモードは、BGM, CG, エッチシーン(女性視点によるモノローグ再生有)鑑賞と全ネゴバトル挑戦モード
  6. ネゴバトルは難易度設定有だが、難易度は CG 等の回収に関係無し

 というところです。選択肢の状態でバックログを見ることができませんが、その場合、Return で直前の選択肢に戻ったあと、Ctrl スキップで飛ばしつつ読み直せばいいだけなので、さほど問題には感じませんでした。少々、既読管理が怪しいところはありますが、ここまでやってくれれば十分なレベルだと思います。個人的に、あまり色々実装されすぎると、逆に余剰だと感るようになりますし。

 ただ、残念なのは、セーブ箇所が 10 箇所しかないこと。最初からやり直すと、スキップしまくりでもネゴバトルが欝陶しいので、セーブ箇所を増やすか、エッチシーン以外のシーン回想やエンディング回想が欲しかったところです。この辺は、残念ながら、サフィズムの舷窓よりは劣ってますね。

【まとめ】

 あちこちのレビューを読んだ末、たどり着いた独断と偏見によるまとめです。箇条書の形になりますが、以下のような感じですかね。

  1. 『ハードボイルド』という謳い文句にこだわりすぎるとダメ。ライアーがそんなの作るわけない
  2. シナリオを意識し過ぎるとダメ。ギャグとパロディのエンターティメント作品と捕らえるべき
  3. 不謹慎ネタを寛容できないとダメ。むしろ、「そこまでやるかい」と笑い飛ばすべき
  4. エロシーンのテキストをスキップするようではダメ。その作品の目玉を見ないのは論外
  5. キャラクタに溺れてしまってはダメ。いぢめられてるシーンも見てあげることが本当の愛着では?
  6. バグを毛嫌いするようではダメ。初期版でもば完了はできるように作られている
  7. ライアーの他の作品と比較してしまってはダメ。ジャンルが違う作品を比べてどうする?
  8. ネゴバトルを楽しめないと効果半減。正解がわかっても解析を始めるぐらいでないと
  9. ゲームを楽しめないと効果半減。CG を埋める作業をしてしまっては本当の味がわからない

 要約すると、ライアーというメーカを良く知らない人にはウケにくいということになってしまうんですよね。まあ、私は、ライアーには、今後もこの方針(自ら提唱したテーマを崩してバカゲーにする)で、ゲームを作り続けて欲しいと思ってます。


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