GLORIA |
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ちょっと上のジャケット写真じゃわからないが、一番右で片肘ついてる Jim Sohns が着てるTシャツはなんとスーパーマンのロゴ付き...またライターノーツに書かれた彼らの年齢は
Jim Sohns(19) Warren Rogers(18) Jerry McGeorge(20) Tom Schiffour(19) Joe Kelley(20)...いやいやポット出の若い子バンドそのまま...「もし彼らを夕食に招待したら、きっとあなたのご両親は最初はおどろいて警察に電話するか隣の家に逃げ出すに違いない。でももしゆっくり彼らと話しができればきっとどれだけ静かで思慮ぶかい青年かがわかるハズ...」なんていう紹介記事もある。そうこれは
Gloria が Billboard で No.10 の大ヒットになって急遽録音されたアルバムで、それだけにレコード会社はアイドル色いっぱいにこのアルバムを飾りたてたが、さて中身のほうは...???
ところで(who plays? のところでも書いたけど)ライターノーツではベース担当は Joe Kelly となっているが、すくなくともこのアルバム録音開始時点までは Norm Gotsch が担当していた。但しわたしの耳には 1.Gloria は Joe Kelly がベースを担当しているようにも思える。(となるとNorm Gotschの演奏してる曲は見当たらなくなってしまうのだが...???) ちなみに Gloria はいわずとしれた Them の Van Morrison がオリジナル。しかし U.S.ではこのカバーの方が有名で、そのせいか彼らのファンはこちらをオリジナルと思っている人が多い。とはいえ途中の歌詞で "... shadows of knight, shadows every place..." 等と歌う Jim Sohns の唄はオリジナルとはまた違った魅力をもっている事は間違いない。 2.Light Bulb Blues はかれらのオリジナルで2枚目のシングル Oh Yeah の B 面としてリリースされている。作者に J.Kelly の名前も見えるところを見るとベースは Joe Kelly だろう。演奏はいたってハードだが, Warren Rogers のリード・ギターはちょっとお茶目な感じもしたりして... ところで曲目を見渡すとさすがにシカゴ・ブルースの曲が多いが、演奏はいたってブリティッシュっぽい。このころよくブルース・マンが「白いのが俺達のまねをしてしこたま金をもうけてやがる。」って嘆いていたものだが、彼らはまさにその典型だったのかもしれない。3.I Got My Mojo Working は Muddy Waters の代表曲の一つだが、ここでの演奏は完全R&Rになっている。とはいえ痛い程に鋭いリズム・ギターと上から押え込むようなベースがかもしだすビートは素晴らしい。Warren Rogers のリード・ギターもハデではないがしっかりとツボを押さえている。 4.Dark Side は Gloria の B 面としてリリースされた曲で、当時の彼らにしてはめずらしく美しいフォーク・ブルース調の曲。とはいえ何処となくストーンズのフォーク・ブルース的だったりするのはうがいすぎだろうか? 5.Boom Boom は John Lee Hooker のヒット曲だが、ここでもやはり元になっているのは Yardbirds のカバーだ。 6.Let It Rock はで出しで一発でわかるチャックベリーの曲。とはいえ間奏で少しR&B的な展開を入れたりとかで曲にアクセントを付けるあたりは彼ららしい。 7.Oh Yeah は2枚目のシングルとしてリリースされた曲。「朝起きたら全てうまくいってたんだ!」なんて超ノンキな唄なのだが、Jim Sohns がそれをはずかしげもなく歌うところがこそばゆい。 8.It Always Happens That Way はファズ・ギターのリフが耳にくる曲。このあたりのリフ中心の曲の作り方はいかにもシカゴあたりのバンドらしい。 9.-11. の作者の Willie Dixon はシガゴ・ブルースの大物ベーシストで、どちらかというと作曲者としての方が有名かもしれない。他に Hawlin'Wolf の Spoonful なども彼の作品だ。またここで演奏されている 10.Hoochie Coochie Man 11.I Just Want To Make ove To You は共に Muddy Waters の曲として有名だ。 さて 10.Hoochie Coochie Man はかなりこの Muddy のバージョンを忠実にカバーしているようだが、そのせいか Sohns のボーカルが浮いてしまっている。やはりシャウト・タイプのボーカリストではないので、こういったスロー・テンポのブルースをじっくり歌うには歳が若すぎる... それにくらべ 11.I Just Want To Make... のほうは早いテンポで演奏しているだけノビノビと歌えている。ところでここでの間奏はかなりイイ。ベースのノリもちょっとギターっぽい感じがしないでもないが(ベースは Joe Kelly?)かなり吠えまくってるし、ギターのフィード・バックもかなり気持ち良い。でふと考えてみると、このコンセプトは Yardbirds の I'm a Man の方法論を流用したものかもしれない。そのものずばりではなく、ちょっと違った曲でやるあたりはかれらのセンスの良さといえるかも... 12-14 は CDバージョンのボーナス・トラックで特に 14.Someone Like Me は 67年に6枚目のシングルとして発表された曲。悪くはないのだが、やはり他の曲と比べてポップ色がかなり強くなっているのが分かる。バンドとしてのエネルギーが急激に変化した事を悲しくも納得させてしまうのは皮肉だ。 |