リクガメにおける環境問題考(マイナスイオンの効果)


・健康とは
・健康破壊と近代社会

  1)地球環境の破壊
  2)農薬、化学物質による被害
  3)ストレスを生む飼育環境

・人の住いの影響

  1)室内の気密性
  2)環境ホルモンの素になる材料
  3)電磁波の問題

・プラスイオンとマイナスイオン
・湿度とマイナスイオン

  1)イオンの濃度と湿度
  2)マンションなどでのプラスイオン

・空気の流れの必要性


健康とは

WHO(世界保健機構)によれば、健康の概念は、「単に病気でないとか、身体が弱くないとかいうだけでなく、身体的にも、そして社会的にも充分調和のとれた状態」としています。
つまり生命体としての本来的な在り方を示すもので、精神と身体、そして身の回りを含む広い概念から成り立っているといえます。単になんとか病気にならずに生きているのを健康というのではない訳です。
これは、人間を含めて、私たちが飼育しているカメさんにもあてはまることです。
特に一度病気になってしまったり、拒食してしまったりすると、なかなか元気になるのが難しいことが多く、時間も必要になるリクガメの場合、日常の健康を考えていたいものです。
最近のカメさんの飼育環境相談や病気相談で、私達がよく持ちかけられる内容が、どうもある種の傾向をもっているように思われます。
人でいうところの、アレルギーや自己治癒力の低下、日常の元気のなさ、食細りなどです。同じような飼育環境を整えている同じ種類のリクガメでも、そのような問題がでるリクガメといたって元気なリクガメがいるのは事実です。何か、飼育者が用意した環境で違いがあるかと、お聞きしてみますと、特に問題がみつからない。
しかし、可能性として、もっと大きな環境からうける問題であることもありうるのです。
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健康破壊と近代社会

地球規模での環境破壊問題から始まり、幾つかの健康破壊の原因が考えられます。
1)地球環境の破壊
土、水、大気の自然な循環を極限的に壊すようにすすんだ環境破壊の問題は、周知のように大きい問題です。オゾン層の破壊、二酸化炭素の増加を主因とする空気汚染や酸性雨や温暖化。森林の破壊と減少による炭酸ガス貯蓄力の低下と人工林化による土壌と水資源の劣化、水態系の異変などにより、生態系の乱れが生じ、生物種を減少させています。この環境悪化が、人間をはじめとして、様々な生物の抵抗力の低下、虚弱体質化をすすめています。
2)農薬、化学物質による被害
野菜などの農作物はあたりまえといった感さえあります。農業の採算性と経済的問題から、健康にはよくないと分かっていながら、化学薬品により収穫が増やされた農作物が売られます。ゴルフ場や森林への農薬類の空中散布などで、微生物、動植物、水源が汚染され、連鎖的に汚染が広がります。それらの野菜や野草を食べるリクガメの健康が害されるのは、当然のことでしょう。
以上の2点は、おそらくどこで飼育されていても共通の問題です。
3)ストレスを生む飼育環境
人間の病気の研究では、内蔵疾患をはじめ、様々な病気の大きな原因としてストレスがあげられることが、知られてきました。怒り、嘆き、悲しみなどが臓器、細胞、神経にダメージを与えるわけです。リクガメにも言えることで、彼らは、本当はこうしたいという行動が制限されてしまうだけで、ストレスを募らせていきます。食べたい時に食べられない。歩きまわりたいときに歩きまわれない。寝たいときに寝られないなど、数多くの人間側の都合などで、ストレスからくる病気(これも人間で言う現代病)になってしまいます。飼育ケージの広さなどの要因もこの範疇でしょう。温度や照明の明るさ、暗さなども含まれそうです。
さて、これらが、仮にまったく同じ環境であったとして、同じ種のリクガメで、元気な個体と病気がちな個体が別の飼育者のもとで生じるとして、原因を考えると、人の住いが考えられるのです。
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人の住いの影響

かなり多くの要素がありますが、いわゆるシックハウス(病んだ家)症候群に代表される疾病が、人の生活では問題になっています。
住宅の洋風化とそれに関連しての住宅に使用される建設資材の問題などがあります。
1)室内の気密性
暑い夏を涼しく、寒い冬を暖かくして快適な住環境を確保するという理想を実現するために、室内の気密性が求められました。その結果多くの問題も生じています。リクガメ飼育に関係するであろうことに話を留めますが、
温度の均質化による虚弱化、外気温との温度差の増大、冷え性、冷房病、また、室内の空気汚染などです。
特に室内空気汚染は、注意が必要です。
気密化によるダニなどの発生と増殖がすすみ、ホコリやカビが増える上に、材料その他の原因で、揮発性の有機化合物が室内に満ちてこもってしまうのです。
すると換気のシステムを強化したくなりますが、冷暖房の効果が薄れます。
外気と遮断された環境では、自然の持つマイナスイオン、超高周波音などの癒しの力などが得られません。また自律神経器官などの障害を生む電磁波、低周波、プラスイオンを増やすことになります。
2)環境ホルモンの素になる材料
近代化住宅を見てみると、石油、石炭等の化石燃料を原材料とする無機質の工業資材が多く使用されています。これらの無機質な資材の問題点は、自然素材と異なり、呼吸していないという点だといってもよいでしょう。材料自体に温湿度の調整能力がほとんどないわけです。そのうえ、外部の熱を取り込む熱伝導率は鉄やコンクリートも木材などにくらべると非常に高く、熱しやすく、冷めにくいので、冷暖房を必要とします。外部の電磁波を室内に取り込む性質もあり、さらに室内にプラスイオンを生じる性質を持っています。
材料の製造過程で大量のエネルギーを使い、有毒ガスを発生し、廃棄時の問題などは大きい問題となっています。また、最近社会問題化した環境ホルモン、ダイオキシン汚染の原因にもなっています。
3)電磁波の問題
最近、住宅論などでも取り上げられるようになってきたテーマです。直接人間の五官で感知されることが少なく、また、超微粒子にかかわる研究であったこと、また、問題追及がすすむと、不利益を生じる企業やひとが多いなどの理由があり、さけられていた問題でもあります。しかし、電話、無線、テレビ、ラジオ、送電線、家電、OA、など、電気の流れているところには、必ず電磁波が発生しています。人間の場合体は電気を通しやすく、磁気も空気と同じくらい通しやすいため、磁場は容易に人体に入ってホルモンや細胞に、影響、障害を与えます。具体的には、ガン、白血病、高血圧、心臓病、精神障害、アレルギー症、アルツハイマー病、などが知られています。送電線の多い地域でのガンや精神障害の多発などは、裁判ともなっています。常に電磁波にさらされていると、自律神経障害になるといわれてもいます。オフィスのパソコンなどの人体への影響も問題になっていました。これらは、人間だけに影響を与えているわけではありません。いっしょに生活しているリクガメにも当然ながら影響を与えていることになります。
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プラスイオンとマイナスイオン

時々聞く言葉ですが、簡単に解説しておきます。イオンは、電気を帯びた微粒子で、プラスの電気を帯びたものをプラスイオン、マイナスの電気を帯びたものをマイナスイオンと呼ぶわけです。プラスイオンのほうが、やや大きな微粒子です。マイナスイオンで1千万分の1mmの超微粒子です。
さて、プラスイオンは「疲労イオン」、マイナスイオンは「元気イオン」と呼ばれているのを、ご存知の方も多いと思います。
排気ガス、食品添加物、接着剤、塩化ビニール等の石油製品、花粉、ダニの糞、カビの胞子などの人間の健康に良くないものやイヤな臭いのするものなどは、基本的にはすべてプラスイオンです。コンクリート製の家で、石油製品の内装材にかこまれ、気密化した室内で、電気製品に囲まれた生活は、プラスイオンでいっぱいの状態です。空気のプラスイオン化は、健康破壊の大きな要因となります。具体的には、「頭痛、めまい、吐き気、イライラなどの不定愁訴の増加、また人体組織の細胞を酸化させ、自律神経を刺激し、内分泌系や免疫、体液の循環作用を悪化させ、からだの老化を早める」(イオン体内革命 山野井昇著 廣済堂出版)。また食中毒やアレルギー性疾患などもイオンバランスの崩れとの関連性が指摘されているそうです。
一方のマイナスイオンが多い空気の中では、すがすがしく、爽やかな気分になります。細胞や自律神経を活性化して、健康増進、若返り、精神の安定などに大きな効果があるといわれています。(マイナスイオンの秘密 PHP研究所 菅原明子著)
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湿度とマイナスイオン

飼育者の住宅環境が、リクガメに対して知らずのうちに大きな影響を与えてしまっている可能性が、以上のことからも考えられます。飼育ケージなどのセッティング以前の問題として、すでに健康を害する可能性が存在しているということがあるわけです。
しかし、問題があるとしても現在の飼育者の住環境をすぐに変える(家を取りかえる)というのも無理な話しです。シックハウス(病んだ家)症候群の恐れがまったくない家を一般の人が見分けられる可能性のほうが、悲劇的な数字でしょうから、対策を考えなくてはなりません。
普段は、リクガメの飼育環境をセットする場合に温度、光といった要素に比べて、少し後にまわされがちな湿度に、実はかなり大きなポイントがあるのです。
湿度は、相対湿度何パーセントぐらいがよいといった話しは、よく聞きます。乾燥のしすぎとか、じめじめしているとかいった観点からの話しがほとんどです。ここでは、環境問題の改善策として、プラスイオンとマイナスイオンと湿度という観点から、リクガメ飼育における湿度のことを考えてみましょう。
1)イオンの濃度と湿度
梅雨どきや大雨のときなどには、室内の湿度は80%を超えます。空気中の水分の粒もすごく大きくなり、水のクラスター(粒)が大きくなるとあたりはプラスイオンだらけになってしまいます。
マイナスイオンは普通0.5〜1ナノメーター(ナノメーターは1ミリの100万分の1)の小さなクラスターの水分と結びついています。水にマイナス電子がついただけで水のクラスターは励起状態になり、エネルギーを得て振動するので、その分、電子のついたマイナスイオンの水のクラスターは、小さく分解されているのです。ですから、マイナスイオンは特定の湿度帯と密接な開係があります。
人間が気持ちがよいと感じる湿度帯は、相対湿度40〜60%くらいです。これは、多くのリクガメの飼育環境の湿度としても適した湿度です。こんな湿度のときには、空気中の水分は0.5〜1ナノメーターの水滴になり、マイナスイオン化しています。こんなときはプラスイオンはクラスターが大きく、ある部分は地面や床に落ちるので、人間やリクガメの吸う空気はマイナスイオン優位になっています。ところが、梅雨どきなどは、家のなかでも湿度は80%以上になります。部屋のなかの水分の粒が集まりあって大きくなり、プラスイオン化しています。もっともこんなときには空気中に浮かんでいた大きな塵やダニの死骸は、床やカーペットの上に落ちてしまって、呼吸器から吸うことはなくて有難いともいえます。
2)マンションなどでのプラスイオン
昔ながらの木造家屋は畳や柱、襖や障子などの木や紙が空気中の多すぎる水分を十分に吸い取って湿度を下げてくれます。湿度が下がればマイナスイオンが増えてきます。
昔は除湿器などはありませんでしたが、自然の営みのように家全体が湿度を吸い取り、マイナスイオンを増やす仕組みがちゃんと備わっていたのです。
一方、現在のマンションなどは、部屋数を限られた面積のなかで増やすため、部屋を一つ一つ挟く仕切る傾向があります。問題はその間仕切りに使う壁紙がビニールや化学繊維でできていて、それを貼る接着剤には有害なホルムアルデヒドが大量に使われていることです。その化学物質は微量であっても、長い期間にわたって生活していれば健康に影響を与えます。もちろん人間に対してだけではありません。リクガメにも同じように影響を与えます。
一連の化学物質のほか、埃、ダニ、カビなども見逃すことのできないプラスイオンの発生源です。梅雨どき、ベッドなどに湿気た布団がそのままの状態で放置されていたり、敷布団であっても昔に比ペて布団を干さないことが多くなっていますから同種の状態と考えられます。梅雨どきのマンションは木造家屋と比べると湿度が限りなく100%に近づいています。ダニにとっては、温度といい、湿度といい、理想的な環境で、勢いよく増えていきます。布団には汗やフケなどダニの餌になる十分なタンパク質もあるのです。リクガメの飼育ケージのなかも同じようなことが言えます。いうなれば、ダニの住み家になっています。
水分がたまりやすいエアコンの裏などは、カビに最適な環境で、部屋が乾燥すると、今度は部屋の中にこのカビもプラスイオンとして舞い上がることになり、喘息、アトピーのもとになっているのです。ジメジメした飼育ケージの内部でもまたも同様です。
現代の家屋は、昔よりもずっと不潔になりやすく、何よりも夏も冬もプラスイオンだらけだといえます。
じめじめした夏場は、水分のプラスイオンと電気器具から発生するプラスイオン。冬は乾燥しすぎて、部屋のなかを舞う塵、カビやダニの死骸のプラスイオンと、同様に電気器具から発生するプラスイオン。さらに寒い冬は、エアコン、ホットカーペット、電気毛布、電気コタツなどがフル稼働し、使用時間中プラスイオンを出し続けています。リクガメの飼育ケージ内の照明やホットスポットなども例外ではありません。夏以上に部屋を締め切っているため、部屋の酸素が減り二酸化炭素が多くなっています。この二酸化炭素が多い空気を吸えば、酸欠症状となり、血液を酸化させる乳酸が増えてしまいます。
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空気の流れの必要性

いまさらすきま風がふくような家に住みたいという人はいないでしょう。ところが、風が吹けば吹くほど空気中の水分が細かくなり、0.5〜1ナノメーターのマイナスイオンに帯電しやすくなるのです。また、雨上がりの暖かい日などは、外だけでなく家の柱や襖に蓄えられていた余分な水分が蒸発していきます。この蒸発する水分こそ、じつはマイナスイオンの正体なのです。
ですから、周囲が緑に囲まれ、縁側には燦々と陽が差し込む昔風の農家などは、最もマイナスイオンが多い家だったのです。
そんな状態を作れるように工夫をできれば、つまりマイナスイオンが優勢な屋内環境を常につくりだせれば、住居環境的な問題点をかなりクリアできると言えます。
部屋を閉めきって、さらにその部屋の中に空気の流れが期待できないような飼育ケージをセットしている状態は、温度の調節がたとえうまくいっていても、明かりやUVBを適度に照射していたとしても、リクガメを病気に導いているようなものだということが、理解できます。
できるだけ、通風のよい環境を考え、水分の蒸発をはかり、さらに湿気ない工夫が必要です。水入れを用意して、ファンなどで風を送るなどの方法でも、マイナスイオンを増やすこともできるでしょう。自然の風で実現できれば、もっと理想的です。

以上、最近人間にとっての問題ばかりとしてとらえられがちな環境問題をリクガメの問題としても考えてみました。
今まで、あまり気にしていなかったことが、リクガメの健康に影響している可能性についても、さらに考察してみることが必要かもしれません。


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