飼育下の食事において、起こりやすい状態の一つが脂肪や油分やタンパク質の取り過ぎです。
脂肪過多は、缶詰のドッグフードやキャットフード、あるいはこれに類するもの、牛乳やチーズなどの乳製品を与え続けると起こります。これらのものはリクガメには与えるべきではありません。果物でもアボガドなどの高脂肪のものは与え過ぎに注意する必要があるでしょう。
脂肪過多の症状としては、まず肥満になることが挙げられます。カメには甲羅があるため、肥満かどうかということは分かりにくいかもしれませんが、肩やお尻のまわりのお肉がだぶついてきたら、黄色信号でしょう。単なる外見上の肥満だけでしたら、それほど問題はありませんが、肥満した個体は、胸の空洞部に黄色い脂肪の塊ができてたり、または肝臓内に脂肪が蓄積されていたり、といった内蔵の異常をかかえていることが多いですので、長期間のうちには、かならず問題となってくると思われます。さらに症状が進むと、黄疸が現われるケースもあるそうです。
長期にわたり高脂肪の餌を与え続けると、致命的な肝臓のダメージを引き起こします。
さらに、高脂肪の餌は、餌に含まれているカルシウムを吸収する力を低下させてしまいますので、思っている以上にダメージが大きいのです。
次にタンパク質についてです。
高脂肪は避けるべきだということは直感的にも理解しやすいですが、タンパク質に関しては、あまり危険視していないのが一般的かもしれません。むしろ、高タンパクの餌は、良質のものとして考えがちかもしれません。ところが、最近になって草食性のリクガメにとって、タンパク質の取り過ぎは、致命的な影響がでることがわかってきています。
リクガメにとっての理想的なタンパク質の摂取量は正確には知られていませんが、野生では一日の全食事量の1〜5%程度のタンパク質を摂取しているようです。主たるタンパク源は植物(芝など)に含まれているタンパク質です。ですので、飼育下においても、タンパク質の量は一日の食事量の7%程度に押さえるといいでしょう。
7%と言っても葉野菜の中にも通常1〜2%のタンパク質が含まれていますから、その分を考慮に入れる必要があります。タンパク質を多く含む肉類や肉を主原料とするドックフード、キャットフードは与えるべきではありません。上記の動物タンパクは、もちろんのことですが、豆類やその加工食品など植物タンパクを多く含むものも、その量に十分注意し、くれぐれも与え過ぎないようにすることが大切です。
高タンパクの餌を与え続けると血液中の尿素の濃度が上がり、これにより腎臓部にストレスがかかり、結果的には腎臓機能を麻痺させてしまいます。また、尿酸の凝固したものが手足の関節部に堆積し通風を引き起こすこともあります。
また、高タンパクな餌はカルシウムの代謝をひどく低下させてしまいます。さらにカメの成長を加速度的に促し、性成熟も速めてしまいます。飼育下において見られるピラミッド状に盛り上がった甲羅や自然界に比べて急速過ぎる成長は、このような高タンパクの餌に起因しています。
成長期のリクガメには、良質のタンパク質を多くとらせてあげようと思うのが、親心ならぬ飼い主心かもしれませんが、このタンパク質の過剰摂取による甲羅などの発育異常は、幼体であればあるほど現れやすいのです。飼育環境にもよりますので。一概には言えませんが、幼体へのタンパク質の与え過ぎにも、同じように気をつけてあげましょう。
主たるタンパク源は、雑草やタンパク質を多く含む青菜からとるようにするといいでしょう。豆類や豆の加工食品は、日常的に与えるにはタンパク質が多すぎるのと、非常に嗜好性がつよく、こればかりに偏食してしまう傾向があるという点からも、くれぐれも与える量と頻度に注意をしたいです。
後で詳しく述べますが、リクガメの食事において理想的なCa:Pの比率は4〜6:1、あるいはそれ以上とも言われていますが、一般的に言って高タンパクな食べ物は、この比率が逆転していることが多いのも問題です。典型的なのは肉類でCa:P比率は1:40くらいになっています。豆類も、やはりP(リン)の比率がかなり高いです。こういった意味でも、高タンパクな餌は問題が大きいと言えるでしょう。
リクガメ(ギリシャ・ヘルマンなど)の【「体重(g)/甲長(cm)の3乗」比の理想値は0.21〜0.23】だと言われていますので、定期的に測定を行って健康チェックをするといいでしょう。
また、前述のように甲羅がピラミッド状に隆起していたり、異常に成長が速かったりするときは、食事の内容を再検討する必要があると考えていいでしょう。愛するカメが元気よく食べ、すくすくと成長するのは、飼い主にとっては、この上ない喜びでありますが、不適切な食事で急成長をしつづけていると、カメの内蔵に少なからぬ負担をかけ、長期的には必ず悪影響がでると言っていいでしょう。
反対に、タンパク質の過剰摂取を気にするあまり、カロリーの少なすぎる食事を与え続けると、カメの成長を妨げてしまいますし、病気などに対する抵抗力も落ちてしまいます。非常にむずかしいところではありますが、カメのようすを見ながら、極端にならないように、つねに献立を見なおしていく姿勢がたいせつだと思っています。
大好きなカメのためだからこそ、適切な食事で健康に育ててあげたいですね。
●このページのトップへもどる。