TBS どうぶつ奇想天外 取材記3


屋外の撮影は、屋内とはまた違った雰囲気でした。リクガメ達ものびのびと活動してくれたので、野草を食べている姿など、楽しい姿が映っていることと思います。少し残念だったのは、4月中は雨が非常に少なく、例年よりも庭の野草の発育が遅かったことです。昨年の同じ日には、すでにクローバーとオオバコが庭を埋め尽くしていたのですが、今年はまだまだチョボチョボといった感じでした。それでもタンポポの咲く庭で遊ぶカメ達の姿が、映像として撮れたのは、私達としては良かったと思います。撮影があと1カ月遅かったら、かなり野草の生い茂る庭になったでしょうが、タンポポの花は映らなかったかもしれません。
飼育者の私達とは、また異なる視点でリクガメをとらえるF氏の発案は、私達にとっても、楽しいものでした。普段あまりに普通に感じて、さして気にしていないような光景をするどく切り取り、映像にしてゆく手際は、さすがと思いました。カメ達は、基本的には演技をしてくれませんから、F氏から「こんな姿を撮影したいのですが・・・」というリクエストが出ると、私達が「どういう時間にどの場所で、どのカメがよくやってくれる」ということを伝え、それをじっくりK氏がカメラを構えて待つといったことの繰返しになりました。すべてうまく行ったわけではありませんが、かなり様々な姿は撮影できたのではないかと思います。
さて、当研究所のオスのギリシャリクガメ「琥珀」は、毎日大変活発に動き回るカメさんなのですが、その動きが撮影チームの皆さんにも新鮮に感じられたそうです。庭を走る彼の姿を臨場感溢れる画像で撮影したいということで、前述のラジコン戦車が登場しました。戦車の前にCCDカメラを取り付け、走る「琥珀」を追いかけたり、戦車の後ろにCCDカメラを取り付け、走ってくる姿を狙ったり、また並走させたりと様々な試みをされていました。実際の番組でそんなシーンがあるかどうかは不明ですが、撮影を見ていてCCDカメラはとても欲しくなりました。戦車という発想も新鮮でした。凸凹のある庭でのCCDカメラとのコンビは抜群でした。

屋外の撮影が一通り終了した後、再度屋内にてカメ達がシェルターに帰って行って寝る姿の撮影とともに、カメ達の撮影は終了しました。その後の人間のコメント撮りは、素人の私達は、いわばNGの嵐といった感じでした。きっと声もウワズリ気味で、顔も引攣っていたことでしょう。カメさん達の方がいい役者であったようです。産卵や卵の孵化などのシーンを当研究所でビデオ撮影したテープも、もしかすると番組で使われるかもしれません。

こうして取材は無事終了しました。左の2枚の写真は、取材チームの皆さんとのスナップショットです。皆さんが、動物達に対して深い愛情を持っていることがよく分かり、そういう人達の手になるからこそ、あのような楽しい番組が生まれるのだということがよく分かりました。

現在のところ、放送予定日は、2001年6月24日(日)夜8:00〜ということです。当研究所の様子などもよく分かっていただけるかと思います。少なからず私達の込めたメッセージも受け取っていただければ幸いです。

実際には、この取材は3日間をかけて行われました。番組では、おそらく5分程度の映像となるのでしょうが、そのために取材だけでもこれだけの時間を使うというその番組の姿勢に共感し、この記事をアップしました。

撮影の間、しばしば「カメさん達、無理いってごめんね!」とか「疲れてるのに悪いね!」などとカメに話しかけていたF氏の姿が印象的でした。今後の番組にも期待しております。