中小企業における戦略的パソコン活用のすすめ
データベースソフトを活用する―オフコンのデータも生き返る―
データベースとは何か
市販ソフトウェアの中で業務上非常によく使われていながら、ユーザ自身なかなか納得のいく活用ができていないのがデータベースソフトではないだろうか。
そして、データベースソフトを語るとき一番やっかいなのは、データベースということばそのものの意義にある。
実はデータベースということばほどあいまいに使われていることばはない。
データベースとは、そもそも情報システムを構成するために一体化していたデータとプログラムを分断してデータをプログラムから独立させたものだ。
データベースソフトがまだ存在しなかった時代では、大型コンピュータでもパソコンでも使用するプログラム言語に違いはあったにしろ、プログラムごとにデータを用意しないといけなかった。
たとえば、ある人事異動プログラムで、
氏名と生年月日と性別と勤続年数
が必要であり、また給与計算プログラムで、
氏名と生年月日と性別と基本給と手当額
が必要であったとすると、二つのプログラムで
氏名と生年月日と性別
というデータについて重複して持つことになるのである。
こうした状況では、データを保管するためのハードディスクなどをむだに消費するだけでなく、重複管理しているために一方のデータは正しく更新され、他方のデータは更新されないといったことが起こっていた。
これに対してデータベースを活用した情報システムでは、プログラムからデータを切り離すことによって、複数のプログラムが必要とするデータを一元管理することができるようになっている。
上の例では二つのプログラムが使用する氏名と生年月日と性別は一つしか存在しない。
プログラムがデータベースに必要なデータのセットを要求すれば、データベース側でそろえて渡してくれるのである。
なぜこんな堅苦しい話しをわざわざしたのかというと、データベースソフトを利用する場合に、データベース本来の目的を忘れさられていることが多いからである。
データベースソフトの詳しい使い方はコンピュータの専門家に任せればよい。しかし、データベースソフトを利用しようとする者はデータベースの導入の意義についてはしっかりと認識しておく必要がある。
今、データベースのメリットは何ですかと聞けば、データの項目名や桁数や属性を定義さえすれば簡単にデータの蓄積や検索、あるいは帳票の作成ができるといったことをあげる人が多いのではないだろうか。
確かにそれも誤りではない。
Windows上の新しいデータベースソフトをみているともはやプログラムを書くといった能力が不必要ではないかと思わせるくらいである。
また、データベースソフトの多くは専用の操作画面と専用のプログラム言語を持ち合わせており、ある場合にはユーザ自身が利用し、ある場合には業者に高度な機能の開発を依頼するといったことも可能だ。
しかし、問題なのはそのデータベースを利用する人や部署が特定されており、業務が違えばデータベースは新規に作成される場合が多いことである。
データベースは情報という資源を共有するためのもの
データベースソフトの活用のポイントはより多くのユーザ、より多くの業務、すなわちより多くのニーズに答えるものであるように作るところにある。
一度つくられたデータは、もうつくる必要はないはずである。
誰かが活用しているデータは皆で活用すればよい。
ある業務で活用しているデータの中に使いたいデータがあればそのデータを使えるべきはずなのである。
パソコン用のデータベースはもともとパソコン購入者一人を対象としたものである。
多くの企業で利用されているカード型データベースは、本来、個人向けの情報整理のためにつくられたソフトウェアであり、複数のユーザや複数の目的でデータを活用することの考えられる企業では役不足である。
企業においてデータベースを活用するのであれば複数のユーザや複数の業務間でデータを共有することを目的としたリレーショナルデータベースの活用を薦めたい。リレーショナルデータベースをパソコンLANとともに利用すれば必要な情報をいつでもどこからでも必要なかたちで取り出すことができる。
データは必要な形に取り出せてこそ意義がある
ACCESSなど最新のデータベース製品では、同じデータでもユーザによって見せる項目をかえたり、複数のデータベースを結合して一つにすることや、条件にあったレコードだけを抽出するといったことを容易に実現できるようにしている。
また、他社製データベースの中にあるデータであっても、検索したり、データを足しあわせたりすることができるようになっている。ACCESSでは、桐やdBASE、SQLserver、ORACLEといった様々なデータベースから直接レコードを読むことができる。
データベースがデータの共有、一元管理化をめざしたものである以上、使用しているデータベースソフトが異なればみることすらできないのはおかしいのである。
データベース内のデータを見たければ、そのデータベース製品が提供する画面やプログラム言語を使わないとだめという製品は考え直した方がよいだろう。
データベース製品はデータを自由に取り出せなければ意義がないからだ。
また、データベースをパソコンLANと組み合わせて利用する場合、複数の人が同時に同じレコードを更新しても、二重更新や更新もれがないように考慮されている必要がある。
Oracleでは誰かがデータベースのあるレコードを修正していても自由にデータベースを検索することができるようなマルチバージョニングという機能を持っている。
データベースの活用のためには情報の標準化が命
ここにあるスーパーマーケットがあるとしよう。
各店舗の店長は毎週、業務報告として週報を本部に送っている。週報はワープロ打ちされていて非常に見栄えのよいものとなっている。
しかし、中身をみると詳細に書いている人もあれば、少ししか書いていない人もいる。
さて、このような業務報告はけっこうどこでも見かけるものであるが、これには大きな落とし穴がある。
業務報告というのはそもそも業務遂行中のイレギュラーな要素をいちはやく発見し、適切な処置をするためのものであるはずである。
しかし、先の例ではイレギュラーかどうかその判断を個々の店長の判断能力に委ねられている。
そして最も問題なのはその判断基準が共通ではないことだ。
ある店長が書いた顧客からの問い合わせは別の店でもあったかもしれないが、そこの店長はイレギュラーとは考えず、別の事項について報告するかもしれない。
ひょっとするとその事項こそ重要であるのに前者の店長は見逃していたのかもしれない。
コンピュータ活用の最も大事なポイントは情報をいかに分析目的に合ったかたちで収集できるかにあるといってよいだろう。
何の目的もなく集めた情報はただのゴミであり、使い物にならない。
差し確認するように、チェック項目を明確にしなければならない。
報告することがない項目についても空白にするのではなく、「注意すべき事項なし」といったように内容が明確になるようにすべきなのである。
こうした情報の収集・蓄積のためにはデータベースは必須である。
手書き管理しているものだけでなく、ワープロ打ちしている情報についても見直していただきたい。
オフィスにある書類は全て何らかの意思決定やアクションをおこすためにあるはずである。
財務分析でなぜ様々な数式を駆使するだけで経営状況が把握できるのか考えてほしい。
分析のための数式はしくみであり、そのしくみをささえているのは会計規則によって定められた伝票を使って正確に財務活動情報が収集されることにあるのである。
企業の中では様々な情報があいまいなかたちのまま存在している。
企業活動がPlan、Do、Seeのサイクルで行われているのであれば、正確にSeeが実行できる環境を作り上げられているかどうかが一流の企業とそうでない企業の分かれ目ではないだろうか。
オフコンのデータを生き返らせる
オフコンを長年使っている企業は多い。最新のパソコン環境に変えたくても予算や業務上の問題からそう簡単にはいかない場合が多いのではないか。
オフコンの中には担当者が精根こめて打ち込んだ業務データがつまっているはずである。
しかし、毎月の締め処理後に打ち出される帳票では内容にもタイミングにも不満が残る。
こうした場合、オフコンとパソコンを何らかの形で接続すればオフコンのデータをパソコンのデータベースソフトで生き返らせる可能性がある。
ただし、通常、オフコンの中には取引データは残っておらず、1日単位や月単位で集約して帳票形式のデータしかない場合が多い。
そのような場合はパソコンへのデータ取り込みのタイミングが問題となってくるだろう。
また、古いオフコンだとフロッピーディスク渡ししか手がない場合もあるので、実際には個別の調査が必要であろう。
何らかの形でオフコンとパソコンを接続できればしめたものである。
最近のパソコン上のデータベース製品は何百万件、何千万件を取り扱えるものもある。
従来ではコスト的に無理とあきらめていた単品数の多い企業での在庫管理もパソコンだけで実現できるようになってきている。
情報を収集し、会社を進むべき方向にナビゲートしていくためにはデータベースの活用は不可欠であろう。
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