情報化相談室

業者からの見積書をチェックする


 現在2000年問題の解決のため、オフコンによる社内システムの入替えを進めているが、業者からの見積の価格と内容に疑問があるので検証していただきたい。
 機種はオフコン機能を兼有したパソコンサーバであり、オフコン上の実績データをパソコンから利用可能と聞いている。

 

<提示された見積書の抜粋>

分類

製品名

単価

数量

金額

サ−バ

○○7000

2,542,000

1

2,452,000

 

システム拡張機構

500,000

1

500,000

 

システム拡張カード

260,000

1

260,000

 

単回線通信制御装置

200,000

1

200,000

 

ルータ

223,000

1

223,000

 

     

クライアント

○○550

446,000

3

1,338,000

 

AP-BINDセット

80,000

1

80,000

 

AP-BIND EEl機構

40,000

1

40,000

 

HYPERSTAGE

30,000

1

30,000

 

     

開発費

システム分析、概要設計

1,500,000

1.5人月

2,250,000

 

詳細設計、プログラム開発
 コンバートプログラム変更無
 コンバートプログラム変更有

2000年対応

新規入力画面
 新規出力帳票

 

30,000

120,000
1,300,000

450,000
300,000

 

36ジョブ

13ジョブ
0.8人月
5画面
5ジョブ

 

1,080,000
1,440,000
1040,000
2,250,000
1,500,000

インストール

 

1,400,000

0.3人月

420,000

教育・指導

 

1,400,000

1.0人月

1,400,000

移行支援

 

1,400,000

0.2人月

280,000

運用支援

カスタムアプリケーション支援

ヘルプコール等

ハードウェアメンテナンス

669,200
120,000

829,140

1

1

1

669,200
120,000

829,140


 業者からの見積内容について検証する前にまず、業者から見積を受けるユーザ企業側としての在り方について述べておく。
 最適な業者選定を実現するためには、まず自社としてどのようなシステムを構築したいのかについて明確にしたシステム化要件を定義しておき、次にシステム化要件を実現する提案を複数の業者から募り、その提案内容について比較検討することが必要である。
 情報システムを導入する企業側としては複数業者からの提案募集などを行うことはユーザ企業側としての根本的な課題であると考える。
 情報システムの本質はコンピュータではなく、業務である。
 情報化推進のためのリーダーシップは業者ではなくユーザ企業でなくてはならない。
 単なるオフコンシステムの入れ替えというとらえ方では情報化推進のリーダーシップは業者にあり、業者側の言い分を評価できずに業者のいいなりになってしまう。
 ユーザ企業は必要機器やソフトウェアに対して投資決定するのではなく、実現すべきシステム姿、情報化によって改善される業務のかたちに対して投資決定するものである。
 現行システムの機能や問題点について業者よりも調査分析できていなければ業者と対等の折衝は不可能である。

 今回、業者から提出された見積書の主な問題点について以下に列記する。

1サーバ
○標準装備の内容が提示されていない。(ハードウェア、ソフトウェア)
○機種選定における業務処理量からの根拠がない。
○実績データベースの構築が可能なスペックを持っていると思われない。(CPU、メモリ、ハードディスク)
 ※デ−タの呼び出しに数時間もかかっても実績データベースの構築ができたといえるだろうか。
○実績データベースの構築のために高性能なデータベースソフトが選定されていない。(Oracle、SQLServer等)
 ※実績データベースの対象データは何か?通常、数年分の時系列分析が必要である。
  時系列、商品分類、営業所など様々な切り口でデータ分析するためには高性能なデータベースソフトが必須である。
○オフコン機能を兼有するため、パソコンサーバとしての機能が低くなっている。
○オフコン機能を兼有するため、パソコンサーバとしては割高となっている。
○オフコン機能を兼有するため、パソコンサーバとしての利用は安定したシステム運用の確保の観点から推進しにくい。
○オフコン機能を兼有するため、業務処理量が増えた際の機種入れ替えが難しい。
○オフコン機能を兼有するため、対応できる業者が限られてくる。
○障害時対策のためのバックアップ装置、無停電装置、RAID5対応ハードディスク(ハードディスクを5台分割し、そのうち1台が故障してもデータ破壊の起こらないもの。)などの設備が選定されていない。
  ※特にシステム要員のいない中小企業では大企業以上に障害時対策が重要となる。

2クライアント
○サーバと同様に標準装備の内容が提示されていない。(ハードウェア、ソフトウェア)
 パソコンサーバ上のオフコン実績データを利用するためにはパソコンサーバ連携用ソフトやデータ分析用に表計算ソフトが必須である。
○業者が取り扱う機種を選定しているため、パソコン市場の動向からみてマイナーな機種となっている。(価格・性能面で不利なだけでなく、ユーザ数、業者数とも少ない。)

3通信
○ISDNに選定した根拠がない。月次通信量に関する見通しがない。
 (初期導入コストは安くても運転コストが高負荷となる恐れあり。)
○遠隔地の営業所について、パソコン−ルータ−サーバの接続形態は通信コストとレスポンスについて疑問がある。(頻繁にサーバを利用するシステム形態の場合、常に電話回線につながっている可能性あり。)
○複数サーバ導入時における通信設計(データベースの複製量、スケジュールなど)がない。

4開発料
○システム設計、プログラミング、移行処理について単価差がなく、すべてシステムアナリスト級となっている
○オフコン機能を有するパソコンサーバを選定しているにもかかわらず、プログラム移行コストが減少しているように思えない。
○開発スケジュール、工数見積が提示されていないため、開発量の妥当性や開発の安全性が評価できない。また他社との価格比較もできない。

5運用保守
○カスタムアプリケーション運用支援サービスはあらかじめ追加プログラムの発生を予測したもののように見受けられるが、追加プログラムは納品されたシステムの不具合や緊急性からみて実施しない場合も考えられることから、個々のタイミングにて検討すべきものである。
○ハードウェアのメンテナンスはいつどこでどのようなタイミングで実施されるのかサポート体制を明示してもらう必要がある。

6その他
 最後に見積内容を見る限り、提示価格の妥当性以上に業者のシステム構築能力が疑わしい。システム構築のためにはしっかりとした業務分析とシステム化実現手段についての分析が必要である。
 通常、業務分析とシステム化実現手段についての分析の結果は提案書という形で提出される。
 見積書はこの提案書の内容に基づくものである。
 ユーザ企業が業者に対してお金を払うのは提案書に書かれている実現内容であり、見積書の内容ではない。
 万が一、システム納品の際に納得できないものが出てきても受理したものが見積書だけでは裁判に持ち込むことすらできない。
 自分たちが何に対してお金を払うのかということを記述した文書を受け取ることを忘れないでいただきたい。
 今回の業者からは提案書は提出されていない。業者の導入実績、資本、技術力、開発体制など実現可能性の観点から調査すべきだろう。


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