Q
我が社ではオフコンとしてIBM社のAS400を利用しているが、より高度な情報分析の実現のためにこの度、パソコンLANの導入を検討することとなった。
パソコンLANを導入する場合、AS400上の業務データをパソコンから利用可能とするためにどのような方法をとるのが適当か教えていただきたい。
またオフコンのデータをパソコンLAN側で利用する場合の注意点についてもご教授願いたい。
A
オフコン上のデータをパソコンLAN側で利用する代表的な方法として三つの方法がある。
一つは一般的にオフコンなどで標準で利用可能な全銀手順やJ手順、無手順などのファイル転送機能を利用することである。
二つ目はインターネットで標準的なファイル転送方式となっているFTPを新たにオフコン側で用意する方法である。
もう一つはパソコン用の端末エミュレータを使ってオフコンが標準で用意しているファイル転送機能を利用する方法である。
磁気テープやフロッピィディスクなどの記憶媒体を使ってデータを移行する方法は大量データの一括移送の場合に行われることはあっても、日々の新しいデータを受け渡す方法としては作業手間からみて適当ではないだろう。
まず、一つ目の方法について考えてみると、オフコンなどほとんどのコンピュータで全銀手順やJ手順によるファイル転送を利用できるというメリットがある反面、全銀手順やJ手順によるファイル転送では通信速度がきわめて低速であるというデメリットがあるため選択しにくい。
二つ目のFTPを利用する方法は、FTPがWindows95パソコンならば標準で用意されているように取り扱いが容易な機能であるため、最も望ましい方法であるといえる。
しかし、古いオフコンなどではFTPによるファイル転送機能を追加できない機種もある。
また、FTPを追加できるオフコンであっても、FTPの追加によって高負荷となってオフコン上の業務システムに影響が出る場合もあるので注意が必要である。
最後に三つ目の方法についてはオフコン側に特に変更を加えずにしかも容易にパソコン側へファイル転送が可能でありメリットの多い方法なのであるが、端末エミュレータが対応しているオフコンは限られているため、利用できない機種がある。
さて、今回ご相談のオフコンは幸いにも三つ目のパソコン用端末エミュレータが多く製品化されているIBM社のAS400であり、パソコンLANとの連携は容易な機種である。
また、AS400自体にパソコンパソコンLAN機能を持たせることも可能であるが、業務システムに影響を与えない方法としては二つ目のFTPによるファイル転送機能だけの搭載か、三つ目のパソコン用端末エミュレータの利用が得策であろう。
以下は蝶理システム社が提供しているAS400用端末エミュレータについての説明である。
オフコンのデータをパソコンLAN側にもってきてもそのままでは使いものにならないことが多い。
商品コードや店舗コードなどを漢字変換するためにはマスタファイルも転送してくる必要があるし、受け取ったデータの中で何桁目から何桁がどのような意味を持つ項目なのか定義しなければならない。
以下はマイクロソフト社のデータベースAccessを使ったオフコンデータ変換のしくみの例である。
また、ファイル転送のタイミングによっては必要な業務情報が締め処理などによって集約後、破棄されている可能性もある。
オフコンからパソコンLAN側へのファイル転送を自動化するためには自動運転ツールの利用や、トラブル発生時における再送処理やメッセージ通知のしくみも必要だ。
以下はFTPを利用してオフコンからパソコンLAN側にPOSデータを送信し、パソコン側で発注データを作成した後、再度オフコンに発注データを返すシステム事例についてまとめたものである。
1.オフコンデータのパソコンLANへの取込み
オフコン パソコンLAN
○ftpジョブの起動
○転送データの準備ジョブ
○転送データ準備完了ファイルを作成
(指定時間自動起動あるいはプログラム呼び出し)
○ftpでホスト上の転送データ
準備完了ファイルの存在をチェック
○ ftp管理ファイルが「アイドル」でなけれ
ばウェイト
○ ftp管理ファイルに「受信中」をセット
○ 転送データをftpで受信
○ftpでホスト上の転送データ準備完了ファ
イルを削除
○ftp管理ファイルに「アイドル」をセット
○受信データの編集(漢字コード
変換、繰返構造のフラット化等)
○RDBMSへのローディング
○RDBMSでのマスタ更新
2.パソコンLANらオフコンへのデータ打ち上げ(EDI発注データ、印刷データ等)
オフコン パソコンLAN
○ftpジョブの起動
○受信チェックジョブの起動
(常駐エージェント)
○クライアントPCからの転送依頼をパイプ通信
メールAPIなどで受け付ける
(常駐エージェント)
○転送依頼が複数ある場合は待行列処理
※ オフコン上の関連ジョブの完了までクライアン
トPCでの業務をストップする必要がある場合は
クライアントPC上の業務プログラムに通知する
必要あり
(在庫チェック、発注可能チェックなどパソコン
LAN側に持ってきていないデータの関係でオフコ
ン側でしか判断できない場合に発生する)
○ 転送データの編集(漢字コード変換、フラット
構造の繰返化等)
○ftp管理ファイルが「アイドル」でなければ
ウェイト
○ftp管理ファイルに「送信中」をセット
○転送管理ファイルに転送ファイル名、作成日時
をセット、処理結果及び処理日時はクリア
○転送管理ファイルをftpで送信
○転送データをftpで送信
○以下、転送管理ファイルを一定時間ごとにft
p受信し、終了結果をチェック
○転送管理ファイルをチェックし、処理
日時が未セットの転送ファイルをサーチ
○転送管理ファイルの指定する転送ファ
イルの関連ジョブを起動
○関連ジョブの終了転送管理ファイルを
チェックし、処理日時が未セットの転送
ファイルをサーチ
○関連ジョブ終了ステータスを転送管理
ファイルの処理結
果に、終了時間を処理日時にセット
※関連ジョブの使用ファイルがオンライ
ンオカレンスなどが使用している場合、
共有ロックなどの排他制御を指定する必
要がある。場合によっては早朝、夜間な
どにしか実行できない場合も想定される
○ftp受信した転送管理ファイルの終了結果が
セットされていたら転送依頼してきたクライアン
トPCにメールAPIを使ってメール通知
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