情報化相談室

組織強化を実現するグループウェア−グループウェア活用を成功させる推進アプローチ−


 我が社ではグループウェアを導入して一年が経過しているが、あまり効果が出ていない。
 グループウェアを成功させるために実施すべき施策について助言願いたい。
A.
【グループウェアに対する基本的な考え方】
 組織運営スタイルがチームコラボレーション(協同作業)化されていなければ、グループウェア活用のニーズは生まれていない。
 チームコラボレーションの実現のためには、まず社員間における相互理解を深める必要がある。
 意見交換会や懇親会の開催など社員間のコミュニケーションを強化するための施策が必要となり、次に協同作業による業務活動を実現するための組織構造(役割と権限を明確化にすることによって、関連社員や部署による役割の協同達成を可能とする。)を編成することが不可欠となる。

【グループウェア推進時における留意点】
1.チームコラボレーションについての啓蒙
 グループウェアの活用を実現するためには、まず社内におけるチームコラボレーションの考え方(グループウェアを必要とする協同作業による仕事の進め方)について啓蒙することが必要である。
 たとえば、電子メールは電話と同じ使い方ではなく、CC(カーボンコピー)機能を使った連絡会議に代る情報共有のための手段として活用する必要がある。
 しかし、CCを活用するためには発信者においてメール内容を、宛先に指定した相手以外ような仕事をしているのか明確に記述された業務分掌表が必要となる。
 また、業務分掌表に書かれている社員についても顔と名前が一致するようにフェイスツーフェイスの交流会を通じて相互理解を深めておくことも不可欠である。
 メールに添付する業務資料についても電子掲示板やキャビネットにあらかじめデジタル化しておくことも望まれる。
 業務資料自体が共有されておらず、書式も格納場所もばらばらでは効果的な協同作業の実現は不可能である。
 電子掲示板や電子会議についても電子メールと同じである。発言者の名前から組織上の役割と顔が浮かばなければ活発な意見交換は実現しない。

2.目標管理による組織管理
 電子会議を利用した質疑応答や業務上のテーマに関する意見交換が活発に行われるためには、各社員が日頃の業務運営において問題意識を持ち、業務改善によって、より高度な状態をめざすモチベーションが確保されていることが必要である。
 そのためには、各社員)が設定された目標(経営理念からブレイクダウンされた下位目標)を実現するために自ら計画立案し、自ら結果について評価・反省し、さらなる改善を図る組織づくりが不可欠である。

3.社内コミュニケーションの強化によるチーム意識の形成
 連絡目的のために開催されている会議体ではなく、社員間における意見交換や相互理解の場として開催するコミュニケーションの場の設定が不可欠である。
 グループウェア上の情報交換活動は、実際の人間関係なしに進むことはなく、まず社内におけるコミュニケーション重視の社内文化を築くことが必要である。

【グループウェア浸透のための標準的アプローチ】
1.第一ステージ−チームコラボレーション志向の経営理念確立及び社内啓蒙−
 グループウェア導入を成功させるためには、まずチームコラボレーションの意義を社内において理解し、経営スタイルをチームコラボレーション型に変革することが必要である。
 チームコラボレーション型の経営スタイルは以下ような特徴を持つ。

  ■経営理念を最高目標として各部署や社員が共有する
  ■各部署や社員がそれぞれ果たすべき下位目標について相互認識する
  ■それぞれの目標に関係する各部署や社員が協業して達成をめざす

2.第ニステージ−チームコラボレーション型業務モデルの構築−
 チームコラボレーション型の経営スタイルを実現するためには、経営理念や業務分掌の明確化が必要である。
 経営理念や業務分掌の明確化はISO9000の要求条項と同じであり、適切なチームコラボレーション型の経営スタイルの実現はISO9000の認証取得に直結するものである。(ロータス社Notes等にISO9000テンプレート有り。)
 それぞれの目標達成のために相互に役割が関係する部署あるいは社員同士においては、チーム(グループ)を編成し、共通テーマによる勉強会や意見交換会などを開催して相互理解を深めることが必要である。

3.第三ステージ−チームコラボレーションのグループウェアによる支援−
 チームコラボレーションが確立され、グループウェアニーズが生まれてきた時点において、グループウェア製品が導入されることになる。
 第ニステージにおいて、発見された共通テーマを有するチームはグループウェアにおける主役としてのグループを演じることになる。
 チームコラボレーションの主体チームごとに電子メール同報アドレスを設定し、チーム別のナレッジ共有のための電子掲示板や課題解決のための電子会議の作成が進められることになる。

【グループウェア活用に向けて開始すべき経営戦略】
1.全社統一スローガンとしての経営理念の確立
 各部署や社員が共有すべき最高目標である経営理念を策定する必要がある。
 経営理念は「顧客満足の最大化」といった全社員に対する行動規範となるものであり、グループウェア活用目的において、社員に対して何を求めて働くべきか明確に示す中心円、ゼロ点決定の意義を持つものである。
 ゼロ点としての経営理念は実現戦略に分解され、具体的な達成目標ごとにチーム展開されることになる。

2.経営理念を最高目標とした目標管理体系(業務分掌表)の確立
 経営理念を実現するために、各部署や社員が具体的に何をすべきか明示するのが業務分掌表である。
 業務分掌表によって、各部署や社員の果たすべき役割が明確にされなければ部署間、社員間におけるチームコラボレーションは出現してこない。
 各部署におけるそれぞれが果たすべき役割の関係において、共有すべき情報の種類(商品情報や顧客関係情報等)や運営すべき意見交換のための電子会議のテーマとメンバーが見えてくるはずである。
 全社的な業務分掌表の策定を短期間で実現するのが困難な場合は、組織が現在直面している問題点や課題をピックアップしてQC活動の一環として業務改善チームを編成することも有効である。
 グループウェアの推進において最も注意すべきことは、ルーチンワークが優先されて本来的業務目的が棚上げされる状況を排除することである。

3.各組織における目標実現の自律化(Plan、Do、See)/戦略会議の新設
 グループウェアの活用は指令を受け作業を遂行するだけの業務スタイルでは必要性が出てこない。
 自ら目標を掲げ、自ら目標の達成のための最良方策を考え、実施し、評価する自律的なPlan、Do、See型の業務スタイルへの転換が不可欠である。
 各組織における業務スタイルについて見直し、目標を共有あるいは関係する各グループごとに意見交換を行う戦略会議を設営すべきである。
 戦略会議の運営においては、休日の振替なども検討して必要人員が全員参加可能な場を実現することが必要である。
 また、相互理解のための懇親会(飲食会)との併用も検討すべきであろう。

4.体系的グループウェア教育の実施
 グループウェア製品の観点からの全体的な操作教育ではなく、業務改善のためのチームコラボレーション実施の観点から、目標を共有するチーム単位で活用すべき機能の種類及び使い方について研修する場を設ける必要があるろう。




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