情報化相談室

オフコンとパソコンシステムとを組み合わせる−オフコンユーザのパソコン化戦略−

 現在、主に使用しているオフコンシステムでは機能的にも、性能的にも最新のパソコンと比べると不満であり、今後についてはパソコンの有効な活用を考えている。
 オフコンとの組み合わせにおいて効果的なパソコンの導入方法について助言していただきたい。
A.
1.オフコンユーザにおけるパソコンシステム導入に対する基本的な考え方
 オフコンユーザがパソコンシステム導入を検討する場合、選択可能な基本的な導入パターンとして三つある。
 一つ目はオフコンシステムの完全なパソコンシステムへの移行であり、二つ目はオフコンシステムの拡張形としてのパソコン連携、三つ目はオフコンとパソコンサーバによるパソコンシステムとの共存である。

(1)オフコンシステムの完全なパソコンシステムへの移行
 オフコンシステム上の既存ソフトウェア資産について特に継承価値がない場合、パソコンシステム上に新規に業務システムを開発した方が機能面においても性能面においても有利となる。オフコンシステムの完全なパソコンシステムへの移行方法は、完全なビジネスプロセスリエンジニアリングを伴うことから、十分な業務分析とシステム化検討を行うことが成功のために不可欠である。
 また、業務分析の結果から、選択可能となる可能性のあるパッケージソフトについての調査研究していくことも必要であろう。
 

(2)オフコンシステムの拡張形としてのパソコン連携
 オフコン業者がパソコンとの連携を提案する場合の導入パターンであり、連携するパソコンもオフコンとデータ連携可能な独自のソフトウェアを稼動可能なオフコンと同じメーカーの機種となる。
 この場合、せっかくパソコンを導入しても、オフコンメーカーの囲い込み戦略から逃げ出すことができず、機器もソフトウェアもメーカー独自のものとなり、割高な上、他社製品や提案を受け入れることができない。
 また、機能面、性能面においても、この方式ではオフコン上の従来ソフトウェアの稼動を優先するため、パソコンにおけるオフコンデータの活用は十分に行うことができない。
 実績データを時系列化して蓄積するための高性能なデータベースソフトをオフコン上で動作させることが困難なことから、パソコンで利用できるオフコンデータは既存帳票程度のものにしかならないことが多い。
 オフコン用のデータベースを利用する場合でもメーカー独自のもので高価となるだけでなく、ハードウェアも高性能なオフコン機種が必要となる上、パソコン連携部分におけるハードウェア・ソフトウェア障害の発生時に基幹業務システムの運用にも影響を与えかねない。

 

(3)オフコンとパソコンサーバによるパソコンシステムとの共存
 オフコンシステム上の既存ソフトウェア資産を継承する価値があり、完全なパソコンシステムへの移行には十分な準備期間を持ちたい場合に、基幹業務システムはそのままで、オフコン上の実績データだけ、日々パソコンシステム側に取込み蓄積し、独自の情報系(データ分析用)システムを構築する考え方がある。
 この方式の場合、オフコンとの連携用にオフコンメーカー独自のデータ連携用ソフトウェアが稼動可能なパソコンを1台だけ導入し、後はそのパソコンをパソコンLAN方式でパソコンサーバに接続し、パソコンサーバ上のOracleやSQLServerなどのデータベースにオフコンデータを蓄積していけばよい。
 他のパソコンはオフコンに接続しなくても、パソコンLAN上のパソコンサーバに接続すればよい。
 オフコン業者にはオフコンとのデータ連携として専用のパソコン1台だけ提案させればよく、他の部分はオフコン業者も含めてパソコン業者から広く提案・見積を受けることが可能となり、最も条件のよい業者を選定すればよいだろう。

 
2.パソコンシステムにおけるパッケージソフトの効果的な活用方法
 オフコンシステムの完全なパソコンシステムへの移行を行う場合でも、パッケージソフトを導入することによって、導入コストを抑えることが可能となる。
 パッケージソフト中にはカスタマイズがほとんどできない一般市販ソフトと、業務に合わせたカスタマイズを前提として販売されているソフトとがある。
 カスタマイズ可能なパッケージソフトを導入する場合、カスタマイズが不可欠な部分と標準的な機能で代替可能な部分を明確にするために十分な業務分析が必要である。
 特に、製造業の場合、一般的な低価格販売管理パッケージソフトの適用が困難であることから(市販の販売管理パッケージソフトのほとんどが卸売業向けとなっている。)、カスタマイズ前提のパッケージソフトを適用するか、オーダーメイド開発するかのどちらかの選択となる。
 カスタマイズ可能なパッケージソフトを導入する場合、業者側による導入コンサルティングの結果によって、カスタマイズの範囲とコストが見積もられることになる。
 その場合に自社側における業務分析が不充分であれば、導入準備期間が長くなるだけでなく、適格なカスタマイズのための分析が行われずに導入そのものが失敗に終わる可能性があることを認識しておく必要がある。


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