情報化相談室

顧客管理の真打登場−GIS(地理情報システム)


 わが社は小売業を営む企業だが、今後の情報化戦略として顧客管理の強化を考えている。
 顧客のニーズを把握し、効果的な販促活動を展開していく上で効果的な情報システムの活用方法があればお教え願いたい。


 顧客情報には顧客の名前や年齢、性別、住所といった基本的な属性にかかわる情報と、職業や趣味、収入といったライフスタイルにかかわる情報、自社での買上記録や販促記録など直接営業につながる情報などから構成されている。
 この中で、特に小売業においては顧客は一般消費者であることから、店舗の立地位置に近いあるいは便利な場所に居住している可能性が高い。顧客の住所、つまり顧客がどこにいるのかを把握することは非常に重要となるのである。

 最近、こうした顧客情報の管理を支援する情報システムとしてGIS(地理情報システムGeoraphic Information Systems)が注目されている。
 地理情報システムは、地理的位置や空間に関する情報を持った自然、社会、経済等の属性データ(空間データともいう)を統合的に処理、分析、管理し、その結果を表示する情報システムであり、都市計画や防災、福祉等に関する地理的な情報を重ね合わせることができ、より迅速で正確、高度な処理を行うことが可能となっている。
 特にビジネス分野における応用としては、地図とさまざまな情報をつなげて店舗の出店や人口動態の把握などに反映させる例がある。

 電子地図上に商業統計や人口密度などのデータを重ね合わせて、マーケティング活動の資料にしたり、地図上に店を表示させることで、目的に応じた立体的地図づくりが可能となる。
 現在の電子地図情報には経緯度・地形・地質・土壌・水文・気候・気象・植生などの自然的要素だけでなく、土地利用・建物・交通システム・通信網・地下ケーブル・人口・職業・産業・文化財・歴史・宗教・言語・民族など、広い意味での地理的な情報を統合することが可能なのである。

 さらに、最近の地理情報システムの動向はさらに幅広い分野での普及を促すものとなっている。  その一つの理由は既存POSデータなど他の住所情報を含むデータとの連動の容易化があげられる。  ゼンリンなどの主要な電子地図には属性データとして一般的な市区町村情報などが含まれており、Windows上のOLE技術などによって、簡単に既存POSデータとリンク付けが可能となっているのである。  POSデータを元にした店舗ごとの顧客分布や、販促結果の検証、あるいは産業統計データとリンクした販促対象の絞込みにも利用できるだろう。

 電話帳データのCD-ROM製品も登場していることから、今後顧客の居住地分析を行う企業は増える一方だろう。
 また、CTI(コンピュータと電話を結びつけた新しい情報サービス)を使えば、たとえばNTTがサービスを開始した発信電話番号通信サービス(ナンバー・ディスプレイ)を使って、かかってきた電話番号をコンピュータが自動的に検知し、それに応じたサービスを行える。タクシーの配車を自動的に行ったり、ピザの宅配をフリーダイヤルで受けて、最寄りの営業店に自動的に回すということができる。

 もう一つの理由はインターネット技術の活用による低価格化である。ノンカスタマイズでの利用なら、従来数千万円していた高性能な地理情報システムでも数十万円から数百万円で入手可能となっている。イントラネットの方式として、1台のサーバだけに地図情報システムをインストールするだけで、社内のパソコンはインタ−ネットエクスプローラーなどのブラウザソフトでどこからでもアクセスすることができる。
 次の画面は地理情報システムの製品であるインフォマティクス社のSISである。

   

   

 マーケティングは今やワンツーワンマーケティング(一人一人の顧客ごとのマーケティング)の時代である。
 電子地図上で捕捉した販促ターゲートにインターネットメールで直接本人にセールスをかけるということもこれからは(いや既に一部の先進企業では始まっているかもしれないが。)当たり前になっていくだろう。

 こんな場面も当たり前かもしれない。
 営業マンが営業に出かける前にパソコンに自分の管轄エリアの地図を出すと、既に訪問した顧客の所在地は青く表示されており、まだ訪問していない所在地が赤く表示されている。
 黄色で表示されているのは前回訪問から長時間経過している顧客だ。
 その中で黄色で点滅しているところがある。
 ダブルクリックすると、その顧客が今週再訪問する約束になっていたことがわかる。
 もちろん、担当者の名前や取引履歴といった詳細情報も顧客管理データベースと連動しているので、すぐに参照することができる。
 顧客のホームページの
URLも登録してあるので最新の情報をホームページから参照しておこう。
 連絡は…もちろん、メールアドレスをクリックして電子メールを送ればいい。
 こんな夢みたいな話って?すぐにでも実現できる話なのですよ。


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