情報化相談室

フリーUNIXでよみがえる486パソコン−そのパソコンまだ捨てるのは早い−


 わが社は以前からパソコンを導入して業務パッケージソフトや表計算ソフトを活用していたが、このたびグループウェアの導入とインターネットへの接続を行うことになった。
 業者からは従来から使用してきたWindows3.1の旧機種パソコン(80486CPU)を全てWindows98の新機種パソコン(ペンティアムプロCPU)に入れ替えるよう薦められている。旧タイプのパソコンを全て新規機種に更新する必要があるのかご教授願いたい。


 最近のパソコン性能の向上スピードは著しい。従来の80486CPUのパソコンと最新のペンティアムプロCPUのパソコンでは価格性能比ははるかに大きいことは確かである。
 しかし、最新のパソコンが必要かどうかは、自社において古いパソコンでは仕事ができないかどうかで判断すべきである。

 最近の表計算ソフトなどの最新パソコンソフトでは提供する機能がますます高度化してきており、その稼動は旧機種の80486CPUのパソコンでは困難となってきており、ペンティアムプロCPUのパソコンが必要になってきているのは事実である。
 また、今回、実施されるグループウェアの導入とインターネットへの接続においては、Windows3.1上で利用できる専用ソフトがほとんど存在せず、Windows98が稼動するペンティアムプロCPU級のパソコンが必要とされていることも事実である。

 それでは、今回の場合、やはり全て新機種のパソコンに切り替える必要があるのだろうか。
 実は、最近、古いパソコンの活用方法について新しい解決策が登場してきているのだ。

 Linux(リナックス)やFreeBSD(フリービーエスディー)と呼ばれるフリーUNIXと呼ばれるパソコンOSの活用がそれである。
 フリーUNIXとは市販製品ではなく、無償で提供されているソフトウェアの一種であるが現在、世界中で利用が広まっている。
 本来は趣味や研究用に特定の知識がある人だけに利用されてきたソフトウェアだったのが、最近になって、パソコンLANやインターネットへの接続機能を有することや、対応するワープロソフトや表計算ソフトなどが登場してきたことから一般の利用者も急増してきているのである。

 利用者が急増していることから、最近では誰でも簡単に利用できるようにわかりやすいインストーラーソフトを付けたり、インターネット用のブラウザソフトのネットスケープなど必要なソフトウェアをあらかじめ組み込んであるフリーUNIXが製品(CD−ROM)として販売されるようになってきている。
 また、本屋に行ってもLinuxやFreeBSDに関する書籍が売り場の一部を占めており、企業においてもWindowsの代わりに導入を検討し始めているところも多くなってきているのである。

 LinuxやFreeBSDは特にインターネット関係の機能に優れており、インターネットプロバイダにおいてもウェブサーバやメールサーバ、プロキシサーバ、ファイヤーウォール(LinuxにはIPマスカレードと呼ばれるファイヤーウォールが標準で用意されている。)などの機能(ほとんどの機能が無償で構築可能)をフリーUNIXで実現しているところも多い。
 企業においてもインターネット接続における必要ソフトの多くをフリーUNIXで実現可能である。

 また、最近のグループウェアはイントラネットとも呼ばれるように、接続用のソフトウェアはネットスケープやインターネットエクスプローラーなどのインターネットのホームページ閲覧ソフトを利用できるようになってきており、グループウェアのクライアント用パソコンにフリーUNIXを利用する企業も増えてきているのである。

 さらに、フリーUNIXの導入メリットはこれだけにとどまらない。
 旧機種の80486CPU程度のパソコンでも十分に高速にインターネットブラウザなどのソフトウェアが動作するようになるのである。

  このようなフリーUNIXのメリットを活用しようと、大企業を中心に古いパソコンにフリーUNIXをインストールするユーザが増えてきている。フリーUNIXは情報化コストを低減するための有効方策の一つとして採用する企業が増えているのであろう。

 最近では、データベースソフトウェアベンダー最大手であるオラクル社がフリーUNIXのLinux版Oracleを製品出荷することを発表した。今後も主要なWindows上のソフトウェアのフリーUNIX版が出荷される予定がある。
 また、ロータス社からはインターネットブラウザ上で動作するjava版のワープロソフト、表計算ソフトが製品化されており、フリーUNIXで仕事をする環境は揃いつつあるといってよいだろう。

 フリーUNIXが動作するパソコンは、LinuxがDOS/V(AT互換機)パソコンだけであるのに対して、フリーBSDではNEC製のPC98パソコン上でも動作する。

 以上のように、話題に困らないフリーUNIXだが、Windowsと比べればインストールもインストール後の管理も比較にならないほど難しい。
 パソコンに強いユーザがいない企業ではWindowsのように独自で導入するというのは無理だろう。
 また、ワードやエクセル、アクセス、パワーポイントといったOAソフトの使い勝手からは、現時点においてWindowsに優るものないだろう。
 プレゼンテーション資料をつくることの多い営業マンや、エクセルで高度なデータ分析やシミュレーションを行っているマーケティング担当者などは最新のWindows98パソコンを導入すべきであろう。
 あくまでも80486パソコンのような古いパソコンの効果的活用のための一方策と考えるのが賢明なのである。

 しかし、インターネットやグループウェアなどの利用目的であれば、フリーUNIXは確実に情報化コストを低減してくれるはずである。
 次の画面はフリーUNIXのLinuxの画面例である。

  


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