情報化相談室
コンピュータ在庫と実在庫の不一致はなぜ起こるのか
Q
我が社ではオフコンを導入して在庫管理を行っているが、常々社長からコンピュータ上の在庫と実在庫とが一致していないことを指摘されている。
コンピュータ在庫の精度をできる限り高めていくためにはどのような方策があるのかご教授願いたい。
A
1コンピュータ在庫と実在庫の不一致の原因究明
まず、一般的に考えられるコンピュータ在庫と実在庫の不一致原因について考えることにしよう。
コンピュータ在庫と実在庫の不一致が発生する原因については通常、入と出についてのコンピュータ登録の漏れや誤り、あるいは実出庫と出庫入力作業のタイムラグによって発生するものであり、現場サイドにおいてはその原因がある程度予測されていることが多い。
今回の診断においてはヒアリングの結果から、不一致の原因は商品コードの取り違い(その他コードの誤使用の可能性が高い)や入出荷データの登録タイムラグの可能性が大きいと思われる。
2在庫管理システムの開発における留意事項と運用における留意事項
それでは次に、コンピュータ在庫の精度をできる限り高めていくために考えられる具体的な方策について考えてみよう。
コンピュータ在庫の精度は、まず第一に在庫管理システムの仕様に、第二に在庫管理システムの運用方法に大きく影響される。
以下、それぞれについて留意すべき主な事項を列記する。
(1)入と出を正確に登録するための在庫管理システム仕様上の留意事項
情報システム側において正確な入出荷データの登録を確保するための基本的な方策として以下のようなものがある。
@入出荷登録データの入力チェック
ケアレスミスを防止するためにはコンピュータシステム上の入力チェック機能の善し悪しが大きく影響する。
A入出荷登録データの入力結果に対する上位権限者によるチェック・承認
コンピュータシステム上の入力チェック機能では発見不可能な入力ミスや漏れを上位権限者によるチェック・承認によって発見できるシステム機能が必要である。
B商品コード選択ミスを回避するコード設計および入力画面設計
商品コードにその他を選択しているケースがどの程度あるのか調査する必要がある。
実取扱商品とコンピュータ上の商品コードとの間に何らかの不一致要素がある場合には商品コードの見直しが必要である。
また、誤入力をできるだけ起こしにくい入力画面について設計の見直しが必要である。
(2)タイムラグや人的ミスによる不可避な不一致原因に対する運用上の留意事項
情報システムの機能を改善してもタイムラグや人的ミスなど不可避な不一致原因は存在する。
こうした不可避な不一致原因に対しては以下のような運用上の工夫が必要である。
@選択すべき商品コードなど入出荷登録業務についての担当者教育
特にその他コードが適用されるケースについての認識共通化を徹底する必要がある。
A上位権限者によるチェック・承認のための体制化
入力ミスや漏れを発見するためには発生時点にできるだけ近い時点で発見することが重要である。
3なぜコンピュータ在庫と実在庫の不一致が問題となるのか
なぜ、社長はコンピュータ在庫と実在庫の不一致を問題とするのであろうか。
入出庫データのコンピュータ入力のタイムラグは必ず起きるはずである。
最後にコンピュータ在庫精度の向上について本来的目的まで掘り下げて改善のために考えられる方策を考えてみたい。
入と出を常にタイムリーにコンピュータ登録することは難しいが、コンピュータ在庫活用の本来的目的から考えられば在庫情報を活用する時点において正確であればよいことがわかる。
コンピュータ在庫を活用する目的には、
@品切れの防止、適正在庫量の確保
A商品回転率による売れ筋の把握
B棚卸資産のストック/フロー分析(経営分析)
という大きな三つのテーマがあるはずである。
@品切れの防止、適正在庫量の確保については主力商品とそうでないものとでは必要となる在庫確保の精度が異なってくる。
まず、自社商品のABC分析を実施し、入出庫業務のチェックなど重点的に管理強化するターゲットを絞り込むことが必要である。
A商品回転率による売れ筋の把握の観点からは商品化計画立案のサイクルが問題となってくる。
商品化計画のサイクルが月単位であるとすれば、月次棚卸の実施によって実在庫とコンピュータ在庫の不一致という事態を免れることが可能となる。
また、Bの棚卸資産のストック/フロー分析(経営分析)の観点からも月次棚卸の実施によって精度の高いタイムリーな経営分析が可能となる。
@においてもA、Bにおいても自社にとってどこまで管理精度が要求されるのか、何を優先してコストをかけてまで実施しなければならないのかといった経営戦略についての社内一致が不可欠である。
コンピュータ上のマイナス在庫の発生がどういった問題を持つのか、在庫データが商品化計画の策定においてどの程度の精度が必要とされているのか等、まず現状についてもう少し分析把握することが先決である。
結論として、今回の場合は商品化計画のサイクルが月次であることから、現在年2回行っている実地棚卸を月単位に移行することによって現在問題となっているコンピュータ在庫と実在庫の差異問題は解決すると思われる。
バーコードリーダーの利用など棚卸支援システムの構築についてコスト及び運用可能性の観点から検討を進めるべきであろう。
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