マリンピア松島水族館

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※入館.



日本三景たる「松島」、その一大観光地圏内に立地する水族館なだけに、入り口前は混雑及び喧騒をきわめていた。
そんな中、「はやく入ろうよ!」とでも言いたげに親の手をしきりに引っ張る子供達。と、その頭上には彼等を暖かく
見守るような形でドンとそびえる魚エンブレムが。なかなかにピースフルな光景であると満足げに頷いて、
いざそのゲートをくぐった10秒後、思わず「げえっ…!」と曹操化してしまうような事態に直面。

よもやアザラシさんが天井からサバトよろしく吊り下げられていようとは。まさか平和の楽園の象徴たる水族館で
このような光景を目にすることになるとは夢にも思わなかった。


※おののきの磯コーナー.



入り口付近には触れ合いの象徴、磯コーナーがあった。そそくさと歩み寄ったところで、その頭上の看板を見て
「ん?」と足を止める羽目に。「ドキドキワクワク、来て見て触れて サメ・エイにタッチング!!」…だと…?
そしてプールの中を確認し、再び「げぇっ…!」と曹操化。

てかデカいわ!コレどう見ても磯コーナーにいるべき魚のサイズじゃないわ!とビビくりまくったところで、
それらにまったく臆することなく、触り放題やってるお子様達の姿を目にし、そのたくましさに気圧される。
周囲が言うほど日本の未来は暗くないのかもしれない。


※押すなよ、絶対押すなよ.



磯コーナーの先では水族館お馴染みのペンギン部隊が、ミーをいそいそと出迎えてくれた。
しかもこのプール、周囲に垣根がない上、極端に水槽の敷居が低いので、上からひょいと手を伸ばせば
軽々とそのラヴリーボディにタッチ可能なのである。
誰だってサメとかエイよりこっちの方がいいに決まってらあなゲヘヘとばかり手を伸ばすミー。

水槽表面に貼ってある注意書きの「絶対」が若干気にならないでもなかったが、上がりきってしまった
我がリビドーを止める術はもはやない。そして30秒後、注意書きに書いてあることは守った方が良いという
当たり前の事実を、その身をもって知ることとなった。まさか「絶対」が本当に「絶対」だとは…
齢40にして水族館内ではダチョウ倶楽部の法則は通用しないことを知る。


※グレイシーの血族.

館内の入り口付近は、ブラジルでアマゾーンな方々の一大コーナーとなっていた。
あの圧倒的な恐怖と威圧感が今再びミーを押し包むというのか?オドオドしながら周囲を見渡してみる。



まず左がケンンシロウに秘孔つかれて爆発まであと3秒魚の「フラミンゴ・シクリッド」。
しかもこいつの「あべし」っぷりときたら、今まで見た中でも1・2を争う程のもの凄さ。
一刻も早くドーンして、楽になってくれることを心の底から願う。

で、右はかの有名な「ピラルク」さんだが、あまりにもデカすぎて全体撮影が困難だったので、
その御尊顔のみをクローズアップして撮ってみた。どこから見ても立派な「長老」顔であると思う。



こちらの左は「カイヤン」というナマズの一種。
背中の肉がバクバク食われまくってとんでもないことになっていた。
水族館という癒しの空間に潜む弱肉強食の厳しさ… こうした光景をみる度、身につまされる。
そう、生命は決して平等でも等価値ではないのだ。
故に来るべき時に備えて何か考えておくべきだろう、自身が生き残る為の得意分野というものを。

こんなのもいた、正式名称「メガネカイマン」。
いわゆるワニだが、水中を2足歩行するその姿はまさに「ドロヘドロ」の「カイマン」そのもの。
テンションがダダ上がるほどカッケーすよカイマンさん。
だが頭ごとガブられて「チガウ」と言われる気には到底ならなかった。


※気分はもうすっかり戦争.

「擬態」「毒」「兵器」「忍者」という物騒なテーマで、お魚さんをカテゴライズしているコーナーが
あったので紹介してみる。



まずは「擬態」編から。左の水槽内にいるのは「ケムシカジカ」の皆様。
一体どこに何がいるのやらといった様相を呈しているが、どちらかと言えば醜い部類に入る生物達が、
こうやって互いに身を寄せて懸命に背景に溶け込んでいる様を見るにつけ、これは我々キモオタの縮図と
言えなくもないと思ったり。

でもって「毒」編。右のえらく艶やかで華やかなのは「ハナミノカサゴ」。
その背びれには毒針が仕込んであり、触るともれなくポイズンされるというおまけ付き。
「綺麗な花には毒がある」という例のお約束ワードをこれだけ具現化している魚もそうはいまいと思う。



次は「兵器」編。そのマリンブルーの体をヒラヒラさせて、水槽の中を美しく彩ってくれているのは「ナンヨウハギ」。
こんなにも美しい魚が尾ビレの付け根に鋭い針を隠しもっているというのだから、本当に魚は見かけによらない。

最後に「忍者」編。右の「ミズダコ」は敵に襲われると一瞬で体色を変えたり、体一面にイボイボを作って
岩と同化したりするらしい。「一瞬」という部分に疑問がわかないでもなかったが、このタコに限っていえば
例えガラスを叩いたところで、それを危機とは認識してくれないようだ。


※なにげない工夫こそが.



なかなかに面白い工夫を施していると思われる箇所をピンポイントで紹介。
バカと煙は高いところに昇りたがり、ハゼとオタクは穴の中に引き篭もりたがるという一般論の真偽を
一目で証明してみせていた画期的な造りの水槽がこれ。
その意図にこれ以上ないほどハマりまくってくれている「マハゼ」さんの向こう側に明日の我が身を投影し、
しばし身震いする。



その向こう側の方には、やけにメカメカしい装置が設置されていた。
カメラに連動しているリモート・ズーム・フォーカスの3ボタンを駆使して、レンズ前面に設置されている
クラゲ幼生」の生態を思う存分観察してしまおうというのがその主旨らしい。

最初から装置を最適な状態にアジャストしておけば操作なんていらないんじゃ?という説もあるが、
それをユーザー自ら調整することに意義があるのだろうと好意的に解釈したとしても、このUIのコントロールの
しにくさったら、あのスターラスターもどうかというくらい粗悪極まっていたので、実に難儀した。

まあ水族館のような公共施設の華は、このような無駄すぎるギミックにこそあると思ってもいるので、
それはむしろ「味」だと解釈するが、おそらくミー以外はそうは思わないだろう。


※骨抜きの生活.

クラゲ達を扱った水槽群が立派な独立コーナーとして成立しているのを見て、いよいよクラゲがきたかと
思う。その道の第一人者である「加茂水族館」に感謝である。



まずはオーソドックスどころから。左は「アカクラゲ」、別名「海水浴場の赤い悪魔」。
そう呼ばれる理由は刺されてみれば即座にご理解いただけると思う。

で、右のが「ブルージェリー」。
あたかもポップコーンをぶちまけたような様で水槽の中をポコポコ跳ね泳いでいる姿はとても幻想的だった。
なるほど、海の宝石に例えられる理由が良く分かる。一部の熱帯魚マニアの間でも相当人気者らしい。



次は変わり種編。左のは見た目まんま「サカサクラゲ」。
その名前に負けず生態の方もかなりのもの、餌ですら積極的に摂取しようとせず、底の方に落ちてくるのを
ひたすら待っているという究極の無精者であることが判明。かつてミーは「ナマケモノになりたい」という詞を
小学生時代に発表して叱責をくらったことがあったが、今だったらそれの第2弾が書けそうだ。
そう「サカサクラゲになりたい」。たぶん実行したら頭に血が溜まりきった末、初日で死ぬと思う。

クラゲ編ラストを飾るのは右の「カブトクラゲ」。
体を虹色に光らせながら漆黒の闇の中を泳ぐその様は、さながらソロモン宙域を駆けるエルメスのごとく。
なかなかどうしてかなりイケているクラゲだと思う。


※ドキドキ☆アニマルぱにっく.

水族館の人気者と言えばペンギンと相場が決まっているものだが、たまにはそれに続くNO2・NO3の
座にある海獣達を紹介してみようと思う。



まずは左から。マダム達の「そこで回ってー」「お腹を叩いてー」「カンカンやってー」という嬌声の中、
ラッコ」君が2匹並んでプカプカと。普段はサービス精神の欠片もないラッコだが、その分たまに見せる
愛らしさは反則級であり、今回も写真を撮りまくってしまった。

で、右側は世界で最も深い湖と言われるバイカル湖のみに生息する「バイカルアザラシ」というレアもの。
その活発そうな姿と反比例して、半端なく猜疑心が強い動物でもあるらしい。その素早い動作に幻惑されつつ
必死に撮影ポイントを探っていたら、丁度餌やりタイムのイベント時間がやってきた。これはラッキー、
さあ思う存分おじさんの手からお魚をとってパクパクするのだ、そしてミーにその写真を撮らせるのだ…!



てかエサ取んねーし。当然食わないし。むしろおじさん死ぬほど警戒されちゃってるし。
だが無惨に放置されてその場でただ茫然と佇むしかなかった彼を誰が責められようか。
その哀愁漂いまくりの表情に男の渋みを見たり、と思いきや、バイカル君、遂に我慢できなくなったか、
その手から魚をぶんどってバクバクと食べだした。畜生はデレるのが早すぎると思う。



これもわりとレアかも知れない、海のパンダこと「イロワケイルカ」さん。
風貌はシャチの小さい版と言ったら何となく感じが掴めるだろうか、この水族館の一番の見所でもあるらしい。
ただ、ミー的にはイルカそのものより「これが搾乳姿勢だ!」と書いてある看板の方が気になった。

 「
お乳のでる場所を探してみよう
 「
左右どちらに吸いついたか、何秒ぐらい吸いついたか調べてみよう
 「
吸いついたときの赤ちゃんの口元をよく見よう

い、いいんスか?これはたまらない。
もっとたまらないのは、イロワケイルカをアピールしようと頑張ってこの文章を作った挙句の果てに、
偏りすぎた一部マニアを欲情させる効果しかないと分かった時の従業員のツラかもしれない。


※館内散策.



館内を歩いていて、おっと目に止まった魚達をまとめて紹介してみる。
まずは左から「ヒメテングハギ」。その真っ白い体の額からピンと突き出た角のまあ目立つこと。
亜種が「葛西臨海水族園」にいたような気がするが、目を惹くということにかけてはこちらの方が上かも。

で、こちらの右は「クマノミ」さん。
共生しているイソギンチャクの触手には刺胞と呼ばれる毒の入ったカプセルのようなものがあり、
普通の魚はこれにやられるとたちまち昇天らしい。では何故クマノミは平気なのかと言うと、
体の表面に特殊な粘液が分泌されており、それが毒から身を守ってくれているという、トリビアの泉的にも
3ヘェ〜ぐらいの小ネタを紹介したところで、どの世界もやはり触手には粘液かと妙な部分で納得する。



そろそろ本命を叩きこんでみる。金魚と鮒の合いの子みたいな風貌をしている左のは「テツギョ」。
宮城県の魚取沼にしか生息していない実にレアなお魚さん。
「釣りキチ三平」の作中内でも「幽沼の羽衣鮒」というエピソードで紹介されていて、
それによると、かの有名アイテム「天女の羽衣」を沼に落としてしまった天女が、あれがないと天に帰れないと
慌てて沼に飛び込むも、彼女が再び水面に姿を現わすことはなく、それから幾年も立つうちにこの沼に棲んでいる
鮒の尾ビレが伸びてあたかも天女の羽衣をまとっているかのような姿になった、というのがその由来らしい。
遺伝子レベル的には鮒の突然変異が原因と言われているが、個人的には三平エピソードの方が定説となって、
その沼を訪れる恋人達の雰囲気づくりに一役買って欲しいナァ… とか心の底から思わない。

で、右のは「海の隕石」こと「オオモンイザリウオ」。とりあえず「力也」とあだ名を付けてみる。
ゴツゴツした石のような体型と、周囲の環境に似せた体色を持つ魚で、胸ビレを腕のように使って移動、
また釣り竿状になっている尾ビレで小魚をおびき寄せて補食するらしい。写真のは白色をしているが、
環境によって黄とか赤とかに色を変えることもあるとか。…信号機みたいな奴だ。



館内散策編のラストを飾ってくれるのはコードネーム「S・S・M・G」こと「スベスベマンジュウガニ」。
マンジュウのように丸くてスベスベした甲羅が名前の由来らしいが、犬上すくね著「恋愛ディストーション」の
中でもネタになっているように、この不可思議なネーミングから存在の真偽を疑われるケースは結構ある模様。
故にここで断言しよう、スベスベマンジュウガニは確かに実在すると。
ついでにいうならこのカニは体内に猛毒を持つ危険種なので当然食べられない。
桜餅に酷似しているからといって食べないように。


※電気ウナギの憂鬱.

館内の出口付近にて「電気ウナギのビリビリ・コーナー」を発見。
一般人にはあまり人気がないが、各水族館における個性や特色が最も出やすい展示なので、
マニア的にはかなり注目度が高いコーナーである。



この館の展示設備は今まで見てきた中では特A級であり、仕組みとしては、センサーにより検出した
ウナギの放電を、512の電極に直結したADコンバータによりサンプル&ホールドしてバッファリング、
そのデータをデジタル処理して作成した放電マップをキャプチャーした画像の上にオーバレイ表示するという、
眼鏡をクイクイしてる電気工学オタが気に入りそうな、なかなか手の込んだものに仕上がっていた。



左が放電した瞬間のキャプチャー画像。右がその画像にオーバレイされた放電マップ。
頭の部分の電位が極めて高いことが電位強度の色分け表示により一目で分かるようになっていた。

ほとんどの素人衆が興味を示さないと思われる電気ウナギ展示にここまでの創意と熱意を注ぎ込むとは、
まったく無駄に凄いとしかいいようがないが、いきすぎた熱意にこそ面白さは宿ると信じてやまないミー的には、
心の底から賞賛の拍手をおくりたい。



※総合.

松島という一大観光地に近接しているだけあって、そのロケーションには目を見張るものがある。
それだけに人が多すぎて芋洗い状態になりがちという欠点をも持ち合わせてはいるが、
全体構造が無駄なく合理的に造られている為、ストレスになりうる程の混雑は感じなかった。
あまりに優等生すぎるきらいはあるものの、値段分きっちり楽しめるという点にかけては保証付き、
オーソドックスなタイプの優良水族館と言える。
仙台付近に住むカップル及び家族連れの方々には是非とも一度は足を運んでもらいたい場所だ。

ファミリー ★★★★★ 占領状態
カップル度 ★★★★☆ 制圧レベル
わびさび ★☆☆☆☆ 人が多すぎるがゆえ、ほぼ皆無
学術度 ★★★☆☆ モニターによる説明は新しい
お得感 ★★☆☆☆ ¥1400は若干高め
建物装飾 ★★★☆☆ 魚エンブレムはインパクト
水槽装飾 ★★★★☆ 創意工夫高め
総合調和 ★★★☆☆ 順路構成が合理的
憩い場所 ★★★☆☆ 中央広場はなかなか
磯コーナー ★★★★☆ 怖い
ペンギン度 ★★★☆☆ かじられる
レア度 ★★★★☆ なかなかに充実
総合 ★★★☆☆ あくまで私的観点と個人的意見から


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