サンピアザ水族館

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※入館



札幌の中心地から少しはずれたところにあるショッピング街、周辺に立ち並ぶビル群、
そしてそこを行き交う多くの人々… 
まさかこんな人口密集地帯に水族館が?多少疑わしく思いながら、
地図とにらめっこしつつ懸命に目的地を探すが なかなか見つかってくれない。
更に探すこと10分、パッと見、映画館と思って既にスルー済みだった建物がよもやの当たりだった、
そりゃ見つからないわけだ。
その位置づけは「サンピアザ」というショッピングモール内の一テーマパークらしい。
なにはともあれようやく入館を果たす。

内部の雰囲気はなかなかお洒落チックだった。
厭味にまではならず、だが確かにその主張を隠してはいないコジャレ感、
大正風に表現するなら「ハイカラ」とでも言おうか。
あとビル街の真っ只中にある水族館だけにかなり敷地面積は狭いだろうと予想していたのだが、
それによる圧迫感はほとんど感じなかった、むしろこの程々の狭さが、なかなかに心地よい感じかも。


※館内散策



まずはサクッと目についたインパクト勝負の魚類を4点ほど紹介してみよう。
サンゴ礁に住む魚達ゾーンより、左は「ニシキエビ」。
紀伊半島以南の西大西洋からインド洋に分布するイセエビの仲間。
エビの中では特に美しい部類に入るらしいが、その長所は見た目のみであり、食すと結構な勢いでマズいらしい。

で、右の「ガンダム・エピオン」ちっくなフォルムしている奇天烈魚は「ハナミノカサゴ」。
これまたえらく艶やかだが、獰猛な性格かつひれに猛毒を持つ為、かなり注意が必要な魚とのこと。
ただこちらは先ほどのニシキエビとは異なり、味噌汁とかにすると案外おいしいらしい。
いつものことながら魚類における姿形と旨味との関連性はあまりに読めなさすぎる。



最も目を惹いたこちらの左は「センネンダイ」。
ただでさえめでたいタイであるところに加えて、その華やかさがその効果を更に助長、
まさに最上級形容詞「お」付きの「お」めでたさを誇るタイだと思う。

隅っこの方の水槽では「エラブウミヘビ」が壁際をのたくっていた。
説明文によると
 「
エラブウミヘビの毒はハブやコブラより強く、ハブの70〜80倍の猛毒です。
  毒はコブラと同じ神経毒で、噛まれた時の痛みはほとんどなく腫れません。
  その後15分〜8時間くらいの潜伏期をおいて筋肉の硬直がおこり、痛みを感じます。
  時間がたつにつれてひどくなり、重症の場合は死亡することもあります
」だそうで。
漫画キャラでいうなら「ハンター×ハンター」における「山犬」っぽい。

「タフな野郎だ、ようやく効いてきたか。牙にしこんだ神経毒は超速効で体の自由を奪う筈なんだがな」
「首から上は無事だから痛みも恐怖も自覚できる。まあ楽しんでくれや」

観察物を2次元キャラに投影させての観賞もまたなかなか面白いものだ。


※哀愁の磯コーナー



こちらは水族館に付きものの「磯コーナー」、ここでは「タッチングプール」という名前で隅の方に設置されていた。
そこにて、かなり残虐度高めの磯プレイを協力しあいながら楽しむ父と子の姿を発見。
4本の腕にしつこく追いかけ回され、軽々と水面に叩きつけられるヒトデや名も無き魚達よ、
ミーは貴魚らの勇姿を忘れない。ただ叩きつけられて壁面と完全同化し、見た目的にも意味あい的にもまんま
「星」と化しているヒトデさんには正直苦笑せざるをえなかった。


※悲しみの放浪者



こちらは魚類展示が主であるがゆえ、妙に目立っていた「ホシガメ」展示。
カメのくせに水気がない低木林や砂漠の周辺に住む変わり者らしい。
説明文には
ホシガメは現在、乱獲や環境破壊などにより原産国の多くで絶滅に瀕しており、
 ワシントン条約で保護されています。展示しているホシガメは無許可で日本に持ち込まれ、
 緊急保護された約300匹のうちの一部で、現在通産省より委託を受け飼育しています

とあった。
心無い業者達の最大の被害者たる彼らの顔色は、やはりどことなくすぐれないようにも感じる。


※麗しのペンギン君



屋外皆無のビル内に設置された水族館施設だけに、まさかペンギンはいないだろうと思っていたのだが、
ちゃんといた。しかもペンギン展示の中ではレア度高めの「マゼラン」ペンギンさんとは恐れいった。
同属の「フンボルト」君によく似ているが、胸に完全な2本帯があるのはこの種だけだそう。

で、右のお方は「キング」ペンギンさん。
ペンギン族内においてはトップ級の体格を誇るだけあり、その威圧感は隣のマゼラン君との対比作用も
相成ってかなりのものだった。

ちなみにここのペンギンさん達、あまり広くないコンクリ張りルームの中にて飼育されていたせいもあってか、
どこか息苦しそうにも見えた。この限られた敷地面積内にて「ペンギン」や、はたまた「ラッコ」や「アザラシ」
まで閲覧可能にしていることは大いに評価した上で、今後はその展示方法にもう一工夫、具体的には海獣達が
映えるようなオブジェなり演出なりを加えてほしいとも思う。


※グレイシーの血筋



国内ではまずお目にかかれないような怪魚達との出会いもまた楽しからずや。
というわけで、こちらはその代表格である「アマゾン河」展示から「コロソマ」及び「アリゲーター・ガー」。
長老格の「ピラルク」に次いで肉厚と思われるその巨体は、周期的に水槽内に発生するスコール演出の効果もあって、
実によく映えていた。


※電気ウナギの憂鬱



こちらもまた水族館ではお馴染みの部類に入る「電気ウナギ」コーナー。
大抵の場合「叩くな」という貼り紙があるにもかかわらず、子供も大人もまあ水槽を叩く叩く、
…の筈がここにはその注意書きがなく、「電気ウナギは発電すると水槽が明るくなります」という、
むしろ発電推奨よりの貼り紙がしてあり、更に水槽内部にはその発電量の目安となる電球型インジケーターが
ドンと設置されていた。
一般的にも電気ウナギ限定ジャンルにおいても、かなりインパクト大のコーナーだと思う。


※ポケモン、ゲットだぜ!.

「珍しい魚達」を集めたゾーンがあったので、ポケモンのレアものゲット気分で早速赴いてみる。



まずは左から…の筈が、印象度高めにもかかわらずこの魚の名前が皆目分からなくて、サイト上にて
答えを募る羽目になってしまった。ちなみに正解は「オウム貝」、正面アングルから撮ったせいで
分からなくなってしまったものと思われ。情報どもサンクスです。

で、右側は「スポッテッド・インディアンナイフ」、
その独特の形状から「ナイフ・フィッシュ」または「ナギナタ・ナマズ」と呼ばれる淡水系古代魚の一種、
普段は大人しい魚だが自分と同型のナイフ型魚類には攻撃的になる同属嫌悪魚とのこと。
ヒューマン的には思春期の厨二属性的な何かに当たるものと思われ。



こちらの左は「ヒポストムス・プレコストムス」、てか名前、長。
南米に生息するナマズの仲間にして、未だに新種が発見されるほど多岐にわたる生態系をもつ魚だそう。
とりあえず見た目で「メトロン君」と名付ける。ウルトラマン世代以外には理解不能なネーミングなので、
これについての詳しい言及は避けておく。

右は「フラミンゴ・シクリッド」、ミー命名「ケンシロウに秘孔つかれて爆裂まであと3秒魚」、
短縮形で「たわば魚」。水槽内にて派手に動き回っていたがゆえ撮影に四苦八苦、とりあえず盛り上がるのは
その頭骨だけにしておけといいたい。

この「珍しい魚達」展示の他に目立っていたものとして、「魚のサーカス」と題した「イシダイ」を
使っての曲芸ショーや、回遊水槽を使っての「マリンガール餌やりショー」などの催しもの系の存在があった。
この水族館一番の見どころだと思うので来訪される方においては、前もってのイベント時間の確認を推奨しておく。



※総合.

豊富な種類の魚達を明確にテーマ分けして各エリアにバランス良く配置、
この水族館基本原則をきっちりおさえた上で、人気者であるペンギンやラッコ展示などもしっかり揃えたあたり、
また短時間でお手軽に見物出来るプチイベントを複数設定するなどの工夫に、「手狭な敷地面積」というハンデを
常に抱える都市型水族館を上手に作る上でのノウハウのようなものを感じたような気がする。
あえて言うなら「刺激」という名のフックが少々欲しいところだが、今のままでも十分な完成度を誇る
「良」水族館だと思う。札幌近郊に住む皆様方は是非ともお訪ねあれ。

ファミリー ★★★★☆ 立地が便利なだけあって
カップル度 ★★★☆☆ これまたかなり
わびさび ★☆☆☆☆ 「趣」は特にない
学術度 ★★★☆☆ 一般的
お得感 ★★☆☆☆ 標準
建物装飾 ★★☆☆☆ 映画館っぽい
水槽装飾 ★★★☆☆ 特にサンゴゾーンは素晴らしい
総合調和 ★★★★☆ エリア毎のテーマ分けに優れている
憩い場所 ★☆☆☆☆ これは、という場所みあたらず
磯コーナー ★★☆☆☆ 開放感のある造り
ペンギン度 ★★☆☆☆ 閉塞感がマイナスポイント
レア度 ★★★☆☆ かなりの品揃え
総合 ★★★☆☆ あくまで私的観点と個人的意見から


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