マリンピア日本海

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※入館



もうお盆も過ぎているし、そんなには混んでないだろと思ったが大間違い。
入り口付近にゴンズイ玉のごとく群れている家族連れとカップルの集団を目の当たりにして
いきなりきびすを返したくなる気分に駆られる。
それにしても混みすぎだ、新潟市内における娯楽施設の分布状況を本気で心配したくなるほどの
集中っぷりに、ミーは新潟市の未来を憂うのを禁じ得ない。
夏休み中ということで、
「水生動物のサバイバル術」と称した特別コーナーが設置されているようだ。



入り口に入った途端、「ドカベン」と「犬夜叉」のほぼ等身大ポップが僕らをお出迎え。

この看板は新潟市出身の漫画家の御協力を得て、新潟市を県内外にアピールするとともに、
親しみやすい市政推進のため、「マンガ活用事業」の一環として作成したものです。

うーむ。あざとい、あざとすぎるぞ新潟市。
ただ両者とも一昔前は圧倒的な人気を誇った漫画だけに、そのご威光にあやかりたくなる気持ちは分かる。
個人的には「犬夜叉」より「めぞん一刻」の響子さんを… 


※小さくてもエースの風格



入ってすぐのところに、おそらくはこの水族館一番の売りであると思われる「マリントンネル」なる大水槽が。
新潟近海に棲む数々の大型魚がゆらゆらと泳ぐ様はなかなかに壮観だったが、
何よりも目を惹いたのは普段なら単なる雑魚の一つにすぎない筈の「マイワシ」。

食物連鎖ピラミッドにおいてもっとも弱い存在であるマイワシは、その弱性を数で補うため大群で行動し、
キラキラと体を輝かせ形や方向を変えて泳ぐことで、外敵を困惑させ群れの中の一匹に的を絞りにくくさせる習性が
あるそうで、確かにその様は圧巻であった。
マダイやカンパチなどの中型魚がその陣形に突っ込ンだ時など、その形が一瞬にして変化を遂げる様は特に興味深かった。
コミケ開場前の行列待ちにヤンキーとか突っ込ませたらたぶんこんな感じになるんじゃないだろうか。


※お姉様ごきげんよう.

新潟市の姉妹都市周辺に住む魚を展示している「姉妹都市の魚達」なる、郷土愛をグローバルな視野から
「マリみて」的に絡めとった、なかなかにマニアックなコーナーがあった。




まずは左から。中国はハルビン、松花江付近に住まう魚で「ダントンファン」。
揚子江中流域の湖沼群が原産のコイ科の魚で、
成長が早く味が良い為、食用として重宝しているらしい。

お次は右。これはわりと有名。ロシアはウラジオストクから「
アムールチョウザメ」。
中生代白亜紀出現以降、独自進化を経て、サメのような尾鰭の形態・板状の硬鱗・骨格など、
今なお様々な原始的特徴を備えている、いわば生きた化石。一応サメと名がついてはいるものの、
実際にはサメやエイのような軟骨類ではなく、それ以外の
硬骨魚類に屬しているもどき魚でもある。
一般的にはキャビアの元として有名だけど、実物がこんなとんでもないフォルムしてるのを
知ってる人はわりと少ないンじゃなかろうか。チャームポイントはドラえもんちっくなその髭。



ラストのお姉様都市はガルベストン(メキシコ湾岸)。そこから2種類を。

左が「
ターポン」。間近で見るとかなりのド迫力。
最大で2メートル程になる上、かなり激しいファイトをすることで有名らしく、海外のフィッシャー達の間で
一度は挑んでみたい魚として名が通っているそう。
まー確かにそのフォルムは勇壮だが、基本的に名前がヤバすぎると思う。

 「由乃ー、生理用品切らしちゃったンだけど、持ってないー?」
 「んーあるよー、ターポン。令ちゃんオラー!」
 「アギー」
 「しかも動く!くねる!」
 「由乃ォ〜」

姉妹ってとこから「マリみて」ネタに展開してみた。正直ファンにゃ御免なさい。

でもって右の魚は「レッドドラム」。
これまた、とてつもなくデカくなる魚らしく、記録によると50Kgを越える大物もいたそう。
黄色を帯びた赤褐色という非常に変わった体色と、尾柄部にある大きな黒斑が特徴。

2魚とも日本レベルじゃちょっと考えられないような成長ぶりである。
説明文によると、
北米大陸最大のミシシッピ河をはじめ多くの河川が注ぎ込むメキシコ湾は、
栄養塩類が豊富かつ海岸線は複雑に入り組んでおり、また海水温も一年を通じて温暖なので、
非常に魚が住むのに適しやすく、また暖かい環境で豊富に餌を得られるため、このようにデカくなるらしい。
いい環境に豊富なエサ、やっぱこれが全ての基本であるか。が、何事もデカけりゃいいってもんじゃない。
全てにおいてこと足りぬ環境こそが生のエナジーの源。男子たるもの、
たとえ武蔵の野辺につきぬとも
とどめおかまし大和魂的気概を持ちつつ、カゲロウのごとく細々と生きるが華であると、そう考えたい。
断じて負け惜しみではない。


※館内散策.

毎度おなじみアラカルト。目にとまった魚を淡々と記録していくよコーナー。



まずは「冷たい海の生き物」というコーナーから。

左が「タナカゲンゲ」。
主に日本海の深海、それも固有冷水と呼ばれる水温が低い海域に生息している、かなりのレアもの。
餌を仕掛けたカゴを海底に沈め翌日引き揚げるカゴ漁により、たまに捕獲されるらしい。
それにしてもおかしな名前だ。もともとは味噌汁の具にされる程度の扱いで、つまり「下の下の魚」
だから「ゲンゲ」という名がついたという逸話があるそうだが、これが食ってみるとそのみかけに
よらずなかなかいける上にクニュクニュした食感が面白いということで、最近その存在が見直され、
山陰の3大珍味になったり、中にはゲンゲをわざわざ「幻魚・幻華」という当て字で売りにしている
ところもあるそうだ。本来なら下の下の魚の筈が随分な出世っぷり、魚類の世界にもドラマありだ。
が、どっちに転んでも結局は人間様に食われてしまう辺り、魚からしてみればまったくもってして、
はた迷惑な話しである。

で、右。「ウサギアイナメ」。これまたヘンテコな名前だなオイ。
主に北の海の深海に生息し、全長は60センチ程にまで成長するそう。その名の通りウサギのツラに
似ているからそう名付けられたそうだが、正直異常なくらい似ていない。いい加減にも程がある。
繁殖期になると、体の表面にある色素胞に性ホルモンが作用することで現れる婚姻色でもって、
その身を真っ赤に染めあげるらしい、ってこの状態がたぶんそうじゃないか?オナニー覚えたての
サルかリアル恋愛したてのオタのごとき落ち着きの無さで、水槽中を泳ぎ狂っていた。



お次は「温帯の海水魚」より。まずは左から。「ヒゲソリダイ」。
タイの語源は「平たい」に由来すると言われているが、似たような体型の魚が「〜ダイ」と
呼ばれたり、そのネームバリューにあやかってそう名付けられることはわりとあるそうで、
この魚もまたしかり、タイに似てはいるけどタイじゃないそう。
ここの説明文で面白かったのは、生活様式と体型の関連性についてのお話で、例えば外洋を
高速で回遊するマグロ・カツオなどはちょっと太めの魚雷のような紡錘形になり、海底の砂に
素早く隠れる必要性からエイやヒラメは上下に平たくなり、この似非タイは水中で急な方向
転換をする必要性から左右に平たい構造になったそうで、つまりは生活こそが体型と最も密接な
関係を持つ最重要因子であると言いたいわけだ。それはどうやら人間にも当てはまるっぽい。
つまりオタのそのコロコロとしたダルマのような体型は、アニメ鑑賞の際の抜群な安定感を保証
するとともに長期間の引き蘢りに耐える為、体の中に大量の栄養分を溜め込んでいるからに他ならず、
全ては必要性から生じているというわけなのだ。言い訳じゃないぞ、そうじゃないぞ。

ここらで一つド迫力系を。最大3メートルにもなる大魚「タマカイ」さん。
一説によると中には100年以上生きるヤツもいるそうで、まさに南海の主と言うに相応しい。
が、今回の主役は彼じゃない。タマカイの首筋辺りにまとわりついている小まっちいのがメイン。
ホンソメワケベラ」君。
この小魚は他の魚の体に付いた寄生虫を取って食べる習性があるので通称「掃除魚」と呼ばれ、
魚達もコイツのことをよく知っていて、ホンソメワケベラが近付くと、自らヒレを広げたり、
体の横を見せたりして身を任せる姿勢を取るそうだ。猫の咽下をゴロゴロするとよがって腹とか
見せんのと同じ理屈だろうか。コイツはたかが魚類の分際で相手の好みがあるらしく、特に大型の
ハタ類(タマカイもそう)を積極的に掃除したがるとか。このように大型の強そうな魚に取り
入ることで敵から襲われにくくする習性を「清掃共生」というそうだ。ヒト科のメスが本能的に
備えている機能をコイツも同じようにもっているというわけ。そして持たざるオスは確実に干上がる
システム。まったくもってして世間はせちがらい。


※今、そこにある危機.

で、こちらが夏期限定の特別コーナー、「水生動物のサバイバル術」。
サバイバル競争の激しい自然界における最重要項目である「防御」にスポットを当てて、
逃げる・隠れるなどの行動面、棘や殻を持つなどの形態面、体内に毒を持つなどの生理面に分別し、
具体例として、それらの対象魚をディスプレイしていた。



まずは行動的一次防御より「警告」モデル。
危険な、あるいは嫌な味の動物が、目立つ色や模様で周囲に広告することを「警告」と言うそうで、
例えば「ゴンズイ」には背びれと胸びれに毒のあるトゲがあり、過去にゴンズイを食べようとして痛い
目をみた捕食者が二度と同じことをしないように、他の魚とはっきり区別できる黄色と黒の縞模様で
アピールしているらしい。ホモサピエンスで言うならば、893屋さんの刺青やヤンキーのトサカなどが、
それに当たるのではなかろうか。

次のモデルは同じく行動的一次防御より「ベイツ型擬態」。
写中は「シマキンチャクフグ」「ノコギリハギ」だが、両者ともにほとんど見分けがつかない
くらい酷似している。これを「ベイツ型擬態」と言い、危険な、あるいは嫌な味のする魚に姿を似せて、
自らの身を守る手法らしい。オリジナル・モデルを食べて嫌な思いをし、それを避けることを学習した捕食者は、
あざむかれて擬態者をも避けるようになるというわけ。
いわば虎の威を駆る狐のようなもの。極めてセコくはあるものの、生きる為にはやむを得ないと言ったところか。



ランクを一つあげよう。行動的二次防御より「威嚇」。
捕食者に発見された時に独特の姿勢や音で捕食者を脅すことを「威嚇」と言うそうで、
写中の「ホウボウ」体色とはまったく違う色の胸びれを隠しもち、危険が迫った際にそれを
ババっと広げて相手を脅かそうとするらしい。これをフラッシングと言うそうだ。
そして進化は常に必要性から生じる。夜道の一人歩きに悩む女性の未来を切り開く可能性は
ホウボウにあると見た。数万年後の女性は脇の下から羽とか生やしているかもしれない。

行動的集団防御より「共生」を。
「イソギンチャク」の仲間は触手に刺胞と呼ばれる小さな毒針を無数にもっている。
ヤドカリの天敵であるタコの仲間もこれを嫌う。そこでヤドカリの仲間の何種類かは
イソギンチャク類と共生関係を結んでタコから身を守るそうだが、写中の「ヤドカリ」君の
ソレはいくら何でもやりすぎ、お前欲張りすぎだろと言わざるを得ない。や、重装甲な
感じでカッコいいけど、それじゃまともに歩けもしないだろ。本末転倒とはまさにこの事、
過ぎたるは及ばざるがごとし。ゆめゆめ忘れるなかれ。



次は行動的一次防御より「隠蔽」モデル。
隠蔽の一つとして、ものを体につける方法があるが、特にカニの仲間にはこの方法で身を隠す
種類が多くいるらしく、写中の「サメハダヘイケガニ」も周囲にある石や木片など、手頃なものなら
何でも後ろ2対の歩脚を使って器用に背負い、敵から見つかりにくくするらしい。
うーむ、だんだん間抜けっぽくなってきて、畜生の浅ましさがもろに露呈し始めた。
だけど三度笠かぶっているみたいでちょっとラブリーなので、ここはあえてスルーしておこう。

最後の防御スタイルは、形態的防御より「武器」。
写中の「ナンヨウハギ」、いわゆるニモで言うところの記憶障害魚ことドリーは、尾びれの付け根、
主に尾柄と呼ばれる場所に棘のナイフを隠しもち、近付いてくる馬鹿共を次から次へとサックリやっちゃう、
実はとても怖い魚らしい。キチガイに刃物とはまさにこのこと。その上コイツは死んだフリまで駆使して
我々を欺こうとしやがった。水槽一突きでものの見事に馬脚を現わし、水槽の中を狂ったように暴れ回る
その様は、見ていた私の心胆を心底寒からしめた。
水槽ごしに「ドリーかわいー」とか言ってるといつかとんでもない目にあうと思う。


※なにげない工夫こそが.

その水族館ならではの、独自工夫を施していると思われる箇所を、ピンポイントでフォーカスしてみる試み。



多少奥まったところに、様々な魚関連のビデオライブラリーを集めた、ミニシアターがあった。
全18タイトル、1作品10〜15分程度。その中でも興味を惹かれたタイトルを幾つかあげてみる。

「毒針発射!イモガイの餌取り」
「使い方いろいろ・ザリガミのはさみ」
「サバイバル対決・イシガメvsミドリガメ」
「動くジュータン?ミナミコメツキガニの大行進」
「海底の怪魚・ヒラタエイの集団出産」

ヤバいくらいに見たすぎる。が、このミニシアター、肝心のユーザーインターフェースが
博物館系においてはお約束のシンプル系(セレクトと再生ボタンのみ)を採用していた為、
前の作品が終わらない限り次の作品を見ることができず、その待ち時間の間、ミーは見たくもない
タガメの交尾を延々と凝視させられる羽目に。
で、その作品が終わったのを見計らい、それでは早速とばかりにセレクトボタンに手を伸ばすや否や、
いきなり傍から強制インタラプトをかましてきたどこかのクソお子様が、大負け食らって発狂寸前になった
パチスロッターのごとく、スタートボタンをバシバシバシ!
再び画面に流れ出すはおなじみタガメの交尾画像…
というわけで、怒りで顔を真っ赤にしながらその場を後にするクズ男がそこに1人。

自らの未来に何の疑問も抱くことのないような屈託のなき明るき声が、傷心のミーに駄目をおす。
「ねえ、あのお兄ちゃん怒ってる?」「ねえ、怒ってるの?」 
怒ってねーよ、怒り心頭じゃねーよ、断じて。


※麗しのペンギン君.

この世に生けとし生きる全ての万物の中で、最もラブリーなのはペンギンである、と。ミーはそう信じてやまない。



そんなわけで、まずはそのラブリーショットから。
その場を微動だにせず虚空の一点のみをただ呆然と見つめるという、あからさまに前頭葉欠如っぽい
その立ち振舞いから始まり、たまにプールに飛び込んだかと思いきや、いきなり自らのアナルをペロペロ
やりだすという生粋の前立腺愛好家っぷりまで見せつけられた日にゃあ、マジ見てるこっちの方がたまらん
というお話。本当にペンギンは見ていて飽きないナァ。

ちなみに彼等はペンギンの中でも由緒正しい「フンボルト」家のものだが、伝統あるその血筋は、
今や絶滅の危機を迎えているらしい。原因は以下の通り。

 ・グアノ層(海鳥の糞が積もって化石化した地層)の採掘によって、ペンギンが巣穴を作りにくくなった
 ・餌であるアンチョビの、乱獲による激減。
 ・一部の心のない密猟者による捕獲
 ・レジャーボートなどの接近による、集団メダパニってのヒナや卵、放棄プレイ。

全部、人間が原因である辺りがサイコーすぎて笑えない。フンボルト君の未来は暗すぎる。



ちなみに皆さんは、ペンギン・コーナーでよく目にする、あの洞穴の奥がどのようになっているかをご存じだろうか?
ミー自身、長年抱いていたその謎が遂に解き明かされる時がきた。まずは右のフォト参照。
その中は幾つものパーテーションで仕切られた、いわばアパートのような構造になっていた。
しかもかなりの高密度、ほとんどタコ部屋に近い。人口過密都市と同じくペンギンさん達の
住宅事情もあまり良好とは言えないようだ。


※レッツ・ミー・エンターテイン・ユー



イルカショーのお知らせアナウンスが流れたので、いそいそとイルカ・スタジアムへ足を向ける。
で、着いてみたらそこは人・人・人の嵐。なんだこの芋洗い状態。
冒頭にひき続き、新潟にはおおよそ娯楽と呼べるものが存在しないのではないかと本気で心配して
しまうほどの盛況っぷり。
イルカ・ショーと言えば、ガラガラの客席の前で引きつった笑顔を浮かべながら、
それでも全力パフォーマンスを見せんとするお姉さんとイルカの葛藤、それをいたたまれない気持ちで
見つめる我々客という三位一体の屈辱プレイが一つの醍醐味だが、今回は正面から真っ当に鑑賞するしかないようだ。



ショーそのものの内容は、なかなかに本格的でかなり楽しめた。
最前列から3列までの座席ゾーンをオレンジで塗りつぶし、水がかかっても文句たれるなよ的暗黙の了解をうながす、
アメリカ式水かぶりシートを採用しているところなどもかなりポイント高し。
イルカショーたるもの、イルカ君が巻き起こす妥協なきストリームに巻き込まれてこそ、
ズブ濡れになってこそナンボであるのだと、ミーはそう強く主張したい。

「濡れるからヤダー」などとのたまうガキを膝の上に強制確保し、ザブザブふりかかる水と
ワンワン泣きまくるクソガキをものともせず、息子よ強くあれとただただ願う、最前列親父のその姿には
正直涙がチョチョ切れた。新潟県民やるじゃない。


※哀愁の磯コーナー



水族館におけるお約束的アイテムであるところの、愛と怒りと悲しみの磯コーナー。

大海に浮かぶ岩山をイメージして作られたと思われるこの磯コーナーの形状は、なかなかに
力強さを感じさせる、うむ、悪くない。が、ポイントはそこじゃない、
この磯コーナー、なんとおみやげコーナーのすぐ真横に設置されていた。

生命体ヒエラルキーの上部から下位を見下ろしざまに蹂躙し、自らの優位性を再確認するとともに、
いまここに自分が強者として存在していられることへの感謝を促すことを主目的とする磯コーナーの
設置においては、残虐行為が平然と行われるというその性質上、周囲への影響を配慮し、極力 生活感を
感じさせるような場所とは隔離しておくことが求められるものだが、そんなマニュアル糞くらえとばかり、
イルカさんやラッコさんのぬいぐるみを販売しているすぐ横にてお魚さん達がビタンビターン。

その凶悪さは設置場所のみにとどまらない。
「ウニの棘に注意!!」と書いてある看板に注目。そんな物騒なモンはじめから入れるなよ
この一見親切を装いつつ、しかしその裏、本末転倒に満ち満ちた、矛盾ヘルレイザーの連鎖の前に
ミーはただただおののくばかりである。



そしてお魚さん達に迫る悪夢。情け容赦なく伸ばされる手・手・手。
隅っこに押しやられ、そこでブルブル震えるか弱きお魚さん達。
チラチラと我が子の方を見やりつつ、売店でおみやげを選ぶお母さん。
「汚れるからやめなさい」 これがもうやめないやめない、ビタンビターン。

物販コーナーという本来ならばピース溢れるべき空間にて、我々の奥底に存在するむきだしの
野生の姿というものをまざまざと見せつけられ、ミーはすっかりその毒気に当てられてしまった。
これは一体なんだろう。「
ピースな愛のテナントでインフェルノな感じでお願いしますよ」とか
そういう部類のものであろうか? マンションの7階辺りからダイブがせいぜいであると思った。
何の救いもない。


※そこにある憩い



「森の展望広場」なる、なかなかにオーガニック溢れるネーミングの休憩スペースがあったので行ってみる。
そして呆然。なんだこの無機質ぶり。何?鉱物とかそういうの?加えて生命反応ゼロ。
もはや意味がさっぱり分からない。フロア一面を覆うグリーンのペイントが表わしているらしき
「森」イメージの意図はかろうじて汲み取れないでもないが、その安易な発想が及ぼすあまりの閑散っぷりには
もう言葉も出ない。隣の「海の展望広場」と比べるとその過疎っぷりはより一層際だつ。

この完全無欠にノーピープルなグリーン・ゾーンにて唯1人ゴロンと寝転びながら、隔離と憩いの相関性
及び孤立性とともにある癒しの意味を考えていたら、マジで発狂しそうになってきた。

確かにグリーンという色には心を落ち着かせてくれる効果があると言われているかも知れないが、
それはあくまで自然色の場合であり、ここまでくるとむしろペイントはイエローの方が好ましいと思われ。
そのまま発狂の先にある真の開放、つまり究極の癒しを目指して、どこまでも突き抜けてほしいと思った。
よし、いけ…!放たれろ…!(人生から)



※総合.

その規模・設備・展示点数、全てにおいて標準以上の水族館ではあるが、様々な分野において
平均点以上であるが故、ここ!というポイントがどこか希薄になっているような気がせんでもない。
が、存在意義がさっぱり分からない「森の展示広場」を除けば、文句なく楽しめるコンテンツが
充実しており、特に夏期特別コーナーである
「水生動物のサバイバル術」からは制作サイドの
こだわり及び思い入れが存分に伝わってきた。
地方都市における万能型レジャー施設と一つと見なして、ファミリー及びラバーとともに、
正面から正々堂々、真直ぐに楽しむが吉だと思う。

ファミリー ★★★★☆ 跳梁跋扈
カップル度 ★★★☆☆ まあそこそこに
わびさび ★★★☆☆ その外観にて、多少感じさせるものが
学術度 ★★★☆☆ 多彩ではあるが、まとまりには欠ける
お得感 ★★☆☆☆ 多少、割高感あり
建物装飾 ★★★★☆ 水族館のソレでないのが良い
水槽装飾 ★★★☆☆ そのシンプルさが雰囲気にマッチ
総合調和 ★★★☆☆ 小さいので、まとまりはある
憩い場所 ★★★☆☆ グリーンな癒し
磯コーナー ★★★★☆ 地味ながらもコンセプト秀逸
ペンギン度 ★★★★☆ 説明パネルに個性あり
レア度 ★★★☆☆ 標準的
総合 ★★★☆☆ あくまで私的観点と個人的意見から


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