※入館
ほとんど車の停まっていない広大な駐車場スペースを、カラカラと転がる空き缶…
ふと右を見れば、そこにはまさに「ザ・団地」というべきコンクリート群が。さらに視線を右に移せばそこには…
水族館が!? ということで、工業地帯のド真ん中にいきなり屹立というその唐突さには少々驚いた。
更には敷地内の中央に見える巨大ペンギン像、ミー命名「青の衝撃」の圧倒的存在感に追い討ち
インパクトをかけられる。もしこれらの立地及びオブジェクトを印象付けのギャップ手法として
狙っているのだとしたら、このコンセプトを考えた奴はおそらく天才だ。
ちなみに近づいて調べてみたら、この巨大ペンギンは遊具のひとつであり、
内部の空洞内に仕込まれたトランポリン仕掛けにより、思う存分飛び跳ねられて遊べるということだった。
巨大ペンギンさんの中に入れて、しかも楽しめる?…だと?
ペンギン愛好家のミーにとってこれほどキラーな遊具もそうそうないと思われるので、
思いきってチャレンジしてみようかとも思ったが、流石に1人でそれをやる勇気はなかった。
ミーにあとほんのちょっとの勇気があれば… 正直今でも後悔している。
※麗しのペンギン君
巨大ペンギンのインパクトからようやく立ち直ってきたので、早速ペンギン池に赴いてみた。
そこで「フンボルト」さんがワサワサとひなたぼっこしている様子をじっと見つめる「ゼニガタアザラシ」君と遭遇。
とりあえずドサクサにまぎれて一匹のバックに取り付いている、つがいペンギンのラブラブっぷりが
気になっているのでは、という結論に達したので、トランペットが欲しい黒人の子供ばりにペンギンを見つめる
アザラシを更に熱烈に見つめることでバランスをとってみた。てか、なんなのだこの構図。
※今回のダブル・インパクト
文字を書く芸を持つ「トド」がいるというので、トド池にも行ってみる。
なるほど貴方がそうですか。その巨体から受けるインパクトは確かにデカかった。
が、ただひたすらにボーボー吠えているだけなので、とにかくうるさくもあった。
文字が書けるのは良いことだが、それ以前にもっと空気を読んでほしいなァとも思う。
で、本館内入り口にてミーを迎えてくれたのが右の巨大「オサガメ」標本。
この水族館の守り神的な存在かと思われたのでとりあえず拝んでみた。
水族館から出た直後、ネズミ捕りにつかまって容赦なく罰金を徴収されたところから察するに、
どうやらミーの願いは歪んだ方向で聞き入れられたらしい。
※哀愁の磯コーナー.
隅っこの方に小じんまりとあった磯コーナーにも行ってみる。
どうやらメイン生物はヒトデとヤドカリだけのようだ、高速稼動型の魚類系がいないところが残念ではある。
妙に際立つメイン・オブジェのブリッジは、この水族館の近くにある白鳥大橋をイメージしたものだろうか。
細かい部分に郷土愛が感じられ、少々微笑ましい気分になったところで橋の上にヤドカリを配置してみた。
で、30分後に見たらピクリとも動いていやがらないときたもんだ。ここのヤドカリさん、まるでやる気ないわー
「登別マリンパークニクス」のそれにおける水圧プレイのようなダイナミックさは皆無だが、
まあささやかな触れ合いプレイは楽しめるようだ。
普段我々が気にも止めないような弱小生物の命の大切さにスポットライトを当ててくれる「磯コーナー」、
「憩い場」と同じく地味ではあるが、水族館になくてはならない設備の一つであると思う。
※館内散策
続いて1階部分から散策… と、ここで思った。「怖い」。
水槽から洩れるバックライトの光がホール全体のライティングの暗さを補っていたのだが、
その意図せぬ効果が見事なまでにフィアー度を助長させている。
壁にハメこまれた水槽の土台が何の飾り気もないコンクリート壁であることも、その効果増幅に一役
買っているようだ。
で、もっと怖いのがこの無人状態。
午後2時でこの状態、これはもはや「寒い」を超越して圧倒的な「怖さ」であると言えよう。
水族館というピースフルなステージ上にホラー要素を取り入れたこのコンセプトもまた際立っている。
先程の巨大ペンギンといい、このメインホールといい、これを考えた人物はやはりただ者ではないと思われる。
そこへ追い討ちをかけるようにディスプレイされている生き物までもが怖かったりするものだから、
もはや無意識ではなく、確信犯であると思わざるをえない
こちらの左が「エラブウミヘビ」で右が「ウツボ」。
ぼんやりとした明かりの下、のたくるウミヘビの薄気味悪さも相当だが、口をカッとあけて今にもこちらへ
噛みつかんばかりの威嚇を見せるウツボの直接的恐怖もよっぽどである。
アマゾン系の魚から感じる本能的な畏怖とは別種の、和風ホラー的な精神面から迫りくる何がここには確かにある。
※エースの風格
さて、ここらでこの水族館のシンボル、かつ最大の見どころである「アブラボウズ」を紹介してみよう。
何年か前まで、このアブラボウズを見られるのは全国でもここだけだったそうで、
そういう意味でも非常にレアな部類に入る深海魚の一つだと思われる。
見た目そうとう巨大な上に日本魚とは思えぬ威圧感があり、その味は「大変美味しい」という説もあれば
「油分が強すぎて食えたもんじゃない」という説もあるとのこと。かなり正体不明な感じだ。
深海、そこは人間にとって禁断の領域であり、また神秘のヴェールに包まれた幻想的な世界でもある。
そんな深海ロマンへの想いをかきたててくれる、このアブラボウズやサケビクニンといった種類の魚は
眺めているだけでも実に楽しいものだ。
(このアブラボウズさんは、2005年5月に大往生なされたそうです、合掌)
※俺を踏み台に…
2階には「クジラ」の骨格や生体標本の展示コーナーがあった。
エンタ成分薄め・学術的要素多めの演出比率であることが多いこの手の標本系コーナーは
ともすれば退屈に見られがちなだが、少し視点を変えればそこそこ面白くなったりも… するのかなァ…
右は一つでもお腹一杯なのに、それが連弾で3つも並んでしまっているのが怖すぎる「コイワシクジラ」の胎児標本。
とりあえず左からガイア・オルテガ・マッシュと投げやりに名前を付けてみた。
アニメになぞらえてソフトなニュアンスを演出しては見たものの、やっぱり怖いものは怖い。
まったく、この水族館の「怖い」コンセプトはどこまでも徹底していると思う。
で、こちらはクジラさんのコック。
フレームに入り切らない程のダイナマイツな大きさを見て、一応拝んでおくことにした。
この祈願が少しでもミーの役立たずなマイ・サンの刺激になることを切望してやまない。
※電気ウナギの憂鬱
2階ホールの螺旋型展示コーナーにて、一際目立つ水槽「電気ウナギのビリビリ・コーナー」を発見。
各水族館によって設置メカや配置オブジェ、ディスプレイ装飾が異なるので、その辺りを比較しながら
鑑賞するとわりと面白いコーナーだ。ちなみにここの設置メカの仕掛けは、電撃の強さによりサークル上の
電気表示灯が点滅するという標準タイプのものだった。
電気ウナギと言えば当然皆が期待するのは「発電」であり、大抵の場合は「叩くな」という貼り紙が
してあるにもかかわらず、ガキも大人もまあ叩く叩く。
さぞかし電気ウナギ君は憂鬱なことだろう。ゆえに時々ブチ切れてビリビリやるわけだが、結果としては
観客を喜ばすだけ。やりきれないよなあウナギ君… などとテキトーなことを考えつつ、おそるおそる水槽を
突ついて見たが、表示灯はピクリともしなかった。磯コーナーのヤドカリと同じく、この人もやる気ないわー
※そこにある憩い.
.
おおかたの見物を終えたので、疲れを癒すために休憩場所を探索…
と、そこには「つぶやき」の四文字が。しかも左の方に小さく「水族館名物」とまで書いてある。
「つぶやき」? 皆がひたすらブツブツと呟いているだけのスペース?
もしそうだったらミーにとってはピッタリの憩い場所となった筈なのだが、そんなことがあるわけもなく、
「つぶやき」の意は、つぶ貝を焼いた食べ物の事だった。
人当たりのいい売店のおばさんに「隙のないつぶやきの食しかた」をレクチャーしていただき、
その身から中のスープに至るまで全てを味わい尽してみる。
つぶやき屋さんの店内の雰囲気にもどことなく人をほっとさせるような何かがあり、
ここならではの心あたたまる憩いを得られたような気がした。
ファミリー | ★★★☆☆ | ペンギン内にて子供達がワラワラ |
カップル度 | ★☆☆☆☆ | 皆無に近い |
わびさび | ★★★★☆ | かなりの無敵感 |
学術度 | ★★☆☆☆ | クジラコーナーにおいて高し |
お得感 | ★★★★☆ | ¥300は安い |
建物装飾 | ★★★☆☆ | 寂れかたに味あり |
水槽装飾 | ★★☆☆☆ | よくいってシンプル |
総合調和 | ★★★★☆ | 怖いコンセプトに脱帽 |
憩い場所 | ★★★☆☆ | 優しい気分に |
磯コーナー | ★★☆☆☆ | 地味 |
ペンギン度 | ★★★★☆ | 巨大ペンギンが全てを圧倒 |
レア度 | ★★★☆☆ | アブラボウズでポイントアップ |
総合 | ★★★☆☆ | あくまで私的観点と個人的意見から |