葛西臨海水族園

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入館



え?サンダードーム? 
そんな「マッドマックス3」的なクエスチョンととも突如眼前に現れたる巨大ドーム。
ティナ・ターナばりに「WE DON,T NEED ANOTHER HERO〜♪」などと歌いたくなってしまう程のシチュエーション、
気分はもうすっかりメル・ギブソン。そんな怪テンションで進む足取りはきわめて軽い。



そして右を見渡せばそこには広々たる大海原、水平線の彼方よりこちら側に射し込むサンライズ。
左におもむけばそこは確かなる摩天楼がウォータフロントとしての在感を控えめに誇示ときたもんだ。
なんというロケーション、まさにクール、つまりはモテだ、モテすぎる、
と、盛り上がっていたところへ最初の矢がザックシ突き刺さった。



 よりにもよって、マンボウしなす。
「予め、ご了承ください」の「予め」に、ほんの少しの違和感を感じつつ、
この時点でドームを見た瞬間の盛り上がりがみるみる引いていくのを如実に感じるミー。
あ〜もう息をすんのも面倒くせー



そンなダウナーノリを瞬時にして吹き飛ばしてくれたのが右、館内への唯一の侵入口。
狭っくるしさ満点の地底行きエスカレーター、そして水族館本体が地下にあるということへの
秘密基地的スメルがいやがおうにも期待感を高めてくれる。
そしてミーは再チャージ完了と相成った、アイム・レディ!


君は人間魚雷「回天」を知っているか?



地下におりたった瞬間、目に飛び込んできたものがコレ、「アカシュモクザメ」@魚雷系。
頭部に装填されたダブル・カッターのフォルムが極めてクール。ザックシいっとく?とかそんなエッジなフィールだ。
たぶん触るものみな傷つけるねコイツ。絶対15で不良と呼ばれたね、間違いない。



そして後ろを振り返ればそこには圧倒的という他ない程の存在感を示す超巨大水槽が。
その中を「マグロ」や「カツオ」が、魚雷ばりの凄まじい勢いで回りまくっていた。
それを見るうち、いたずらにその軸点の周囲を回るのは、なにも下半身に装着されたオナニーカップだけ
ではないということを何故か強く認識してしまったミーの性根、どことなくほのかに腐っているかもしれない。


館内散策



こちらは「世界の海、大平洋」というコーナーの1ショット。
岩礁地帯を優雅に泳ぎまわる色とりどりの魚群内に重MA「サザビー」っぽいフォルムをディテクト。
テングハギ」というその魚の額に装着されたハイメガ粒子砲は何を思い何を夢みたのか?
そんなことを考えつつ説明文を読み進めるうち、実はその角、ただの無用の長物であることがあっさり判明。
まったくロマンもへったくれもあったもんじゃない。
「しかしこれはナンセンスだ!」 彼も自分の角の存在意義をそう感じているに違いない。



で、こちらの左は紅海にお住まいの「リーフィシードラゴン」君。

 
リーフィ(葉っぱのような)という名前の通り、ちぎれた海藻の葉のような姿をしていて、 
 泳ぎ方もまるで海藻がただよっているかのようです。
 よく見ると透明なひれをうまく使っているのが分かります。
 こうして敵に襲われにくくし、また餌のプランクトンや小魚などに気づかれないように近付きます。
 まさに変装の達人。

ふむ、それにつけてもコイツの姿形のそのカッコ良さたるやパないすなとひたすら見入っているところへ、
農協だか婦人なんとか会だか存在意義のよくわからない団体に「早くどいてくださらない?」的プレッシャーを
かけられて少々ビビくる。
お前等にこのドラゴンの何が分かるのよと憤慨しつつも、仕方なく右の水槽に目を向ければ、そこでは
ステゴザウルスの出来損ないみたいなお魚さんがゆらゆらと。北海にお住まいの「ランプサッカー」さんだそうで、
そのやる気なさげな泳ぎが今のミーの心境を明確に描写していてなかなかによろしいなァと、さりげなく感じ入る。



こちらは「世界の海、カリブ海」全景。
魚そのものよりもむしろ側面に配置されたドデカイ石の方に目がいくほどの豪快ディスプレイ。
この巨大石に代表されるように、ここの水族館の水槽内装飾には、いわゆる見た目インパクト勝負な直球ものが多かった。
これぞまさに資本主義の縮図、たぶん施行予算が相当巨大だったのだろう。
願わくば持たざるものより持てるもの側に行きたいものだが、それを考えている時点で既に手遅れであるということに
何故我々は気づかないのだろうか。つまりは願うより行動、何時でもそうありたいものである…

そんな自己批判の世界から現実世界へとミーを誘ったのは右の「グレイエンゼルフィッシュ」さん。
そのかっぷくのいい巨体から繰りだされる優雅かつ余裕ある泳ぎが、マイペースという言葉を思いださせてくれた。
「自分のペースで1歩1歩、積み上げようじゃないか」 そうであるな、やっぱり自分のペースが一番であるな。
そして世間ではそれを現実逃避と呼ぶ。ままならないこと、このうえない。


哀愁の磯コーナー



「磯コーナー」と呼ぶにはあまりにもダイナミックすぎるコーナーを見て、そこに佇むことしばし。
よせては返す波打ち際の浅瀬をそのまま再現してしまった巨大プール内を泳ぐ主戦力は「ベラ」「シロギス」「カサゴ」
などの小魚系。あまりにも規模が大きすぎるがゆえ、彼らとの「直接接触による肌と肌との触れあいプレイ」はかなり
困難と思われるが、それでも側面からのピーピングを思う存分楽しむことは出来た。
「上部から石を落下させての慌て驚き逃げまどう様を鑑賞プレイ」もまあアリだ(ナシだぞ)。

そのあられもない様をサイドからパシャリ激写と洒落こむも、アクリル面の反射効果により、
ただのマイセルフ羞恥プレイと化してしまったのは御愛嬌。実際やりきれないものがある。



おや?水槽の中に妙なギミックを発見。
説明文には「
水槽に入っているビンはタコだけに餌を与えるための道具です。
タコはフタを回して開けられるので、他の魚に邪魔されることなく中にあるエサを食べる事ができるのです

とあるが、完全にフタが開きっぱなしじゃないか、意味なさなくないかコレ? 

存在意義そのものがいかがなものかといった感も否めないこのギミックにふと自らを当てはめ、
必死に存在していることへの理由を探しだそうとするも、何一つ思い浮かばなかったので、すかさずエスケープ。
ミーは逃げる。誰でも逃げる。


そこにある憩い



「海藻の林」というコーナーにて「ジャイアント・ケルプ」なる巨大な海藻がディスプレイされているのを発見。
カリフォルニア沿岸の岩礁地帯に広がる海藻の一種で40メートル以上に成長する上、葉の付け根部分の「浮き」により
海面を覆うように広がり、その海域に海藻の森とも呼べるものを形成するらしい。
要はなんということもない只の海藻なのだが、水槽全体に広がってゆらゆらと揺れるその大きな葉っぱに
水槽上部から射し込む太陽光が綺麗に反射して、何ともいえない幻想的な雰囲気を形つくっていた。

この風景にどことなく立ち去りがたいものを感じ、しばし見いること3分。
水族館が本質的に持っている癒しの要素、与えてくれるのは何も生物だけではない。
鑑賞者自身の感じ方、またその時の心境により、与えられる癒しは千差万別に変化する。
それもまた水族館の持てる可能性の一つか。


東京ヘッド



「東京の海」なる、これまたえらくローカルなコーナーがあった。
さすがは東京湾に面した水族館、郷土愛に溢れている。
だが、これだけ汚れている東京湾で郷土愛も糞もないだろうと思いきや、実は東京湾は全然マシな方だそうで、
今後の成りゆき次第ではまだまだ可能性を秘めている海なんだそう。
それでも着実に汚染されつつある東京近海、そんな中をけなげに生きるお魚さん達を何点かご紹介。



左のは、え〜と「テングタイ」。大きい背ビレに黄色と黒のストライプ、とんがった口が特長。
東京湾近海でこんなにも色鮮やかなヤツが見られるというのは、どことなく嬉しくもある。

で、右のが「カエルウオ」。水を避けるようにして岩の上を飛びはねまくり。ウザすぎる。
説明文によると「
実はえらだけでなく体が濡れていれば皮膚を通して呼吸ができるのです 」だそうだが、
それ以前にこいつ等には落ち着きが足りなさ過ぎると思う。ニボシ成分欠乏症だろうか?


いつかのメイン



東京湾コーナーの端に梯子が設置してあったので昇ってみる。
そこは各水槽管理および作業エリアになっていて、下部水槽に沿って通路が設けられており、
各水槽周辺に様々な飼育機材が設置されていた。

ここにあったのは確かなるリアリティ。
我々ギャラリー側からしてみれば鑑賞して「わ〜綺麗」で終わりがちな完結空間の裏側にある「飼育」という
名の生々しい現実。生命を維持させることへの大変さが様々な機材の煩雑さを通してひしひしと伝わってくる。

こういったシーンにこそ水族館の本質としてのロマンがあるとミーは信じてやまない。
そして本来なら隠蔽スタイルが基本のこのような場所を一般公開しているこの水族館はなかなかに肝っ玉がデカい。
ガキやババアが誤って落ちたらどうするんだということが心配にならないでもないが、
その下で鑑賞している客達はおそらく大喜びすると思われるのでまあアリか。そんなゲス妄想にふけっていたところ、
飼育員の方が餌をやるシーンにちょうど遭遇することが出来た。



これは!とばかりにものすごい勢いで梯子を駆けおり、対象水槽の前にてそのシーンを激写。
どうやら長いパイプのような器具を使って、その先端から餌を噴射しているようだ。
苦労したわりにはえらく地味な感じの写真になってしまったが、貴重なショットであることは間違いないと思う。


麗しのペンギン君



屋外のペンギン池へと赴いたら、そこはもう大変なことになっていた。
ペンギン族の中では最もメジャーな存在である「フンボルト」君がゴンズイのごとく群れまくり、レミングスよろしく大暴走。

オラァ、全員右へ進めエ!そしてお次は左ィ!
アギアギアギアギアギアアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギアギ…!
誰か止めろ誰か。

その破竹の勢いたるや、卵子へ向かって一斉に特攻をかける精子の群れのごとし。
止まらない、とにかく止まらない。



水中でも容赦しねえ! アギアギアギアギアギアギアギアギアギアギ…! 
でもってエサだ!エサよこせエサァ!ブチ殺すぞジジイ!アギアギアギアギアギアギアギアギアギアギ…! 
火に油。まさにそんな勢いだ、もはや誰にも止められない。



餌やりタイム終了と同時に飼育のおじさんが退場しようとするも、そうは問屋がおろさないとばかりに
その後をペチペチとホーミングして、じじいの長靴を突つきまくるペンギンが続出。
オラオラ餌よこさんかいエサァ!とばかりに突つく突つく突つく突つく突つく!
そこまでしても飼育のおじさんを振り向かせることすら出来なかった彼等の存在そのものにミーは涙する。
でも彼等はあきらめない。結果じゃなく過程なんだということを主張するがため諦めない。



そして若干空回り気味の勝利の雄叫びが大地を揺るがすというわけである。
「我が生涯に一片の悔いなし!」 ズドォォォォォォォン!
たぶんそんな感じだ。間違いない。すげえ。ペンギン無敵。


まだだ…まだ終わらんよ



本館とは少し離れたところに、どう見てもトイレにしか見えない建物があった。
ちょうど用を足したいところだったのでこれはしたりとばかり、すかさず内部に入ってみて驚く。
いや確かにトイレそのものもあったが、本来の役目は「淡水生物館」なる立派な水族館だった。

わざわざ本館と離して設置してあるところに何となく隠れ家っぽいスメルを感じる。
自然環境に似せて作った池や沼などの様子を内部側からガラス越しに観察できるようになっているその造りは、
鑑賞性・エンタ性ともにかなり高ポイントなのではなかろうか。



こちらは「沼」か「池」がテーマと思われる1コーナー。主戦力は「タナゴ」や「コイ」など。
水面上部より見る池そのものの姿と、ガラス越しの水面下から見る池内部の様子、
池という一つの対象物から伺いしれる外面と内面という2要素のシンクロ具合が実に面白い。
中央に配置されている枯れ木の形状・位置ともにオダ(魚を集める目的で水中に沈めておく木の枝)
としての役割をしっかり担っているところも趣き深くて実に良しだ。



こちらは「川&滝」がテーマの別コーナー。
激しい水流の中にあっても水の勢いに翻弄されることなく、流れの弱い淀みポイントを的確にサーチ、
そこで姿勢をキープ、体制を整えて上流へゴー。お魚さん達はわりと頭がいい。

流れに逆らうのがパンクだろ?と思っている若者や、現状に流されまくりの中堅リーマン辺りに
是非とも見せたい光景だが、じゃあ実際にどうすればいいの?というそこから先への明確な解は確かに得難く、
結局のところ世の中は面倒くさいなァ、とかそういったありふれた言葉で纏められてしまうが人生。
そしてそれもまた良しであるところがさらに世の中を面倒臭くしている点でもある。

この「淡水生物館」はアレだ、
本館の華々しい雰囲気とは対極的な、実に静閑かつ純朴な雰囲気が漂っているので、
ついつい余計なことを考えてしまいがちになる。まあそれはそれで楽しいが。


モ…モテてますか?モテてますか?



そして水上バスでさようなら。葛西から一気に品川へとワープ。
その間、周囲に展開されていくモテ風景。そこはかとなくソロウな雰囲気。
モ…モテだ、モテすぎる。まさにモテのモテによるモテのためのロケーションと言えよう。

そしてつくづくミーは思うのだ。ダメだ、ダメすぎると。
この空気には耐えきれんと。頼むから舟底に穴ボコをあけさせろと。
ゆえにダメのダメによるダメのためのモテをミーは目指したい。
答えはあの橋の下にきっとある。(石を抱いてドボーン)



総合.

環境・外観・内容・その他すべての要素において国内トップクラスの水族館。
場所や面積的制約を受けがちな都内において、これほどの規模の水族館を造れたこと自体が一つの奇跡とも言えよう。
まあ、あるがままな状態、もしくはあくまでも素朴なムードが好きなミーからして見れば、
この手のエンタ側面に90%以上傾けたコンセプトで造られた施設は、わびさびと相反するコジャレ系路線に
なりがちであるがゆえ、多少の不自然さを感じてしまったりもするのだが、その内容の素晴らしさそのものは
やはり認めざるをえない。そしてむしろ水族館と言うよりも何かこうシンボルとしての要素を強く感じた。
開発進行とともに環境汚染が進む東京湾内をただ見つめるだけのモノリスとして、いつまでもそこに静かに
佇んでいてほしいと思う。

ファミリー ★★★★☆ 万遍なく分布
カップル度 ★★★★☆ 多数
わびさび ★★☆☆☆ 別館にてかなり
学術度 ★★☆☆☆ 必要最低限という感も否めない
お得感 ★★★☆☆ 妥当なところ
建物装飾 ★★★★★ インパクト満点
水槽装飾 ★★★★☆ ゴージャス
総合調和 ★★★☆☆ 全体完成度、高し
憩い場所 ★★★☆☆ オーガニックな憩い、あり
磯コーナー ★★☆☆☆ ちと大味か
ペンギン度 ★★★★★ 無敵
レア度 ★★★☆☆ 規模が大きい分、レアもの多し
総合 ★★★★☆ あくまで私的視点と個人的意見から


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